from 師範代Shinya
僕がこの本を読んで衝撃を受けた内容のトップ3のうち3つ目は、
「叱ることには、ほとんど効果がないことが脳科学的に証明されている」
ことです。
僕は、自分の娘がご飯を食べなかったり、朝なかなか起きずに着替えをしようとしない時に、厳しめに叱ることで習慣をつけさせようとしていました。
でも、これはどうやら効果がないそうです。
大人が子どもを叱る目的は、
「社会で生きていくためのルールを学ばせて、良い習慣をつけさせる。最終的には子どもが自分自身で学びを応用しながら、自立して生きていくため。」
だと思います。
会社で上司が部下を叱る目的も、
「部下が自分の頭で考えて適切な行動ができるようになること」
でしょう。
でも、その目的で見た場合、叱るという行為はほとんど効果がないそうです。
これはけっこう衝撃的でした。
防衛モード VS 冒険モード
人は叱られると、恐怖や不安といったネガティブな感情を引き出されます。
すると、脳が「防衛モード」に突入するそうです。
防衛モードに入った時の脳は、目の前の脅威から逃げることだけに意識を100%集中させるようになります。
すると、記憶や学びを司る脳の機能は、停止してしまうそうです。
防衛モードの時には、とりあえず自分の身の安全だけを最優先するからです。
そのため、叱られた時には「この状況から脱出するにはどうしたらいいか?」だけを考えるようになります。
そして、最善の策はたいていの場合、叱ってきた相手に謝って、言われた通りのことをすることです。
これは叱っている側からすると、「ちゃんと学んで実行した」と思いがちです。
でも、実は叱られた側の人の脳は、何も学んではいないのです。
苦痛から逃れるために、目の前の出来事に脳が反射しただけなので、苦痛がなくなれば、また忘れてしまいます。
「そんなことはない!上司にキツく怒られた時のことは、今でも覚えているぞ!」
という反論があるかもしれません。
でも実は、覚えているのは「怒られた体験だけ」であって、その先にある自主的な行動をするための「学び内容」ではありません。
部下を叱り飛ばすことが日常的になっている上司の元では、部下は何も学んでいないので、
・何度叱っても、同じミスを繰り返す。
・上司がいない場所では、言われたことをサボる。
という現象が起こります。
脳が反応するのは、あくまで「苦痛の排除」なので、上司がいなければ、
「苦痛を感じない=何もしない」
という選択を、自動的に脳が行ってしまうそうです。
反対に、叱られない状態になると、脳が「冒険モード」に入ります。
冒険モードは、自主的に考えて動くモードなので、学ぶ意欲や記憶力がアップするそうです。
僕の「防衛モード」の体験談
確かに、僕も自分の過去を思い返してみると、防衛モードが極端に強くなった時のことは、何も覚えていません。
僕が今でも強烈に覚えている「防衛モード」の体験があります。
それは、高校時代の剣道部でした。
体育会系の部活では、1つ年上というだけで、めちゃくちゃ上下関係が出ます。
僕がいた剣道部にも、ビシッとした年功序列がありました。
学年ごとの階級と力関係を表すと、
1年生(僕)=人間
2年生=妖怪
3年生=鬼
OBの先輩=龍
顧問の先生=神
という順番です。
当時は、全員が「叱る依存」になっていた気がします。
先生が直接1年生を叱ることはなく、上から順番に降りてくる感じでした。
たとえば、1年生が不手際をして、先生の逆鱗に触れたとします。
でも、先生は言葉に出しません。
すると、OBの先輩が先生の顔色をうかがって、「先生が言葉にしていない不満の真意」を読み取ります。
次に、OBが3年生に「1年の教育がなっとらん!」と叱りつける。
↓↓↓
3年生が2年生に「1年の教育がなっとらん!」と叱りつける。
↓↓↓
2年生が1年生を「何やってんだ!」と叱りつける。
という順番で「お叱り」が降りてきます。
当時1年生でまだ人間の階級だった僕は、龍であるOBや、神である先生が来たら、必ず練習後に「防具を外すお手伝い」をするためにダッシュしていくのがルールでした。
自分の防具を外す前に、先生やOBの防具を外しに行く必要があったのです。
もし、少しでも行くのが遅れれば、妖怪の2年生から怒鳴られ、頭を叩かれました。
OBの防具を外し終わったら、その防具を大きな袋に入れて、OB専用の更衣室まで「カバン持ち」をするのです。
OB専用更衣室は、部室からかなり離れた所にあるので、歩く時間は5分はかかります。
その道中、OBから「ありがたいお言葉」が聞けることがあります。
剣道上達のためのアドバイスです。
何も頭に入ってこない
でも僕の脳内はその時、完全に「防衛モード」に入っていました。
1つでもOBの意に沿わない行動をしたら、僕はその後2年生の鬼に厳しく叱られるからです。
だから、道中でOBに言われたことは何も記憶に残りませんでした。
自分の学びよりも上達よりも、とにかく「この瞬間を、何事もなくやり過ごす」ことが最優先だったのです。
その結果、僕は言われたことができないループにハマりました。
「この間、OBの○○さんに言われたことができてない!上達してない!」
と2年生に怒られ続けるという、悪循環を繰り返していました。
反抗的なA君
一方で、僕と同じ1年のクラスメイトの部員で、こういったタテ社会にすごく反抗的な「A君」がいました。
A君は表面上はおとなしく従っているのですが、彼の心の底では常に怒りがうずまいていました。
僕とA君の2人だけで話している時には、A君は2年生、3年生、OBまでも呼び捨てにして、「あいつら、威張り腐ってるだけで、たいしたことねー!」と不満をぶちまけていました。
僕はそんなA君の辛口トークを聞くのが楽しく感じて、いつも聞きながら笑っていました。
そんなある日、A君がとんでもない事件を起こしたのです。
それは、その剣道部始まって以来の「土一揆」のような反逆でした。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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