【僕が最近読んで衝撃を受けた本:叱る依存が止まらない⑥】

from 師範代Shinya

(→前回のつづき)

僕がこれまで経験した中で、最も印象に残っている「叱られる体験」は、高校1年の時に剣道部に所属していた頃の出来事でした。

当時はすさまじい年功序列のタテ社会で、先輩からの「ヤキ入れ」と呼ばれる体罰が当たり前だったので、叱られる時には、肉体的なダメージを伴うことがよくありました。

練習中に叱られる時には、防具が付いていない場所(足など)を竹刀でひっぱたかれたりしました。(これがめちゃくちゃ痛かったです)

そんなタテ社会に反抗心を抱いていたのが、僕の唯一の同期のA君でした。

この年には、1年生は僕とA君の2人しか入部しなかったのです。

そのため、先輩達の目は、僕ら2人だけに集中しました。

2年後には、部長は僕らの中のどちらかになるので、今からビシバシ鍛えなければならない!と気合いを入れていたのかもしれません。

中学時代から剣道をやっていて、すでに初段を持っていたA君が、おそらく先輩達の中では将来の部長候補だったのでしょう。

でもA君は、その期待に応える気はゼロのようでした。

A君は僕と2人だけの時には、2年&3年生やOBの先輩を呼び捨てにしながら文句を言っていました。

一方で僕は、2年&3年生やOBの先輩が怖すぎて、反抗するなどまったく考えていませんでした。

でも今振り返ると、当時の僕の脳内は「防衛モード」に入っていただけだと思われます。

とにかく僕は「自分が叱られないこと」を最優先していて、「剣道の腕を上達させたい」という意識は、まったくと言っていいほどありませんでした。

自分から考えてあれこれ試すのではなく、「とりあえず、言われたことは守るように努力する。それ以上は余計なことはしない。」という姿勢でした。

A君と僕の性格タイプは正反対のようでいて、似ている部分もあったりして、不思議と気が合いました。

A君のささやかな反抗

A君は、たまに先輩達に反抗的な態度を取ることがありました。

反抗的と言っても、さすがに叱られている最中に直接口ごたえをするのは危険すぎます。

何をされるか分からないからです。

そうではなく、「叱られても響いていないような生返事で、のらりくらりとやり過ごす」ような反抗の仕方でした。

また、A君は剣道男子としては珍しく、「大声を出すのがキラい」なタイプでした。

先輩達からよく「声が小さい!」と叱られていました。

そして何度叱られても、A君は「声のボリュームを一切上げない」という、ささやかな反抗をしていたのです。

先輩たちも、何度もA君を叱るのですが、あまりにも変わらないため、だんだん諦めモードに入っていきました。

僕はそんなA君の行動が面白くて、防具の面の中で、バレないようにクスクス笑っていました。

そんなA君が、ある日、ものすごい反抗プランを企てたのです。

大きな反抗

それは、剣道部にとって大事な試合の日のことでした。

2年生と3年生が、他校が集まって行うトーナメントのような試合に出場しました。

僕たち1年生はまだ試合には出ないのですが、当然、応援要因として呼ばれました。

横にいて大声で応援せよ!という指令です。

大声を出すのが苦手なA君にとって、これはかなりの苦行だったに違いありません。

さらに、試合の日は日曜日です。

普通だったら、家でゴロゴロしながらスーパーファミコンのゲームをやっている時間帯に、暑苦しい試合会場に駆り出されるのです。

しかも、試合には恐怖のOBの先輩たちの中でも、最も怖いTさんが見学に来るという情報がありました。

A君のストレスは、朝からマックスに達しているようでした。

2年生の先輩の試合が終わって、しばらく時間が空くことが分かりました。

3年生たちは、自分の試合の準備に集中しています。

OBのTさんも、最初に挨拶した以降は別行動で、会場のどこかで見学しているようですが、広くてたくさん人がいるので、見つけられません。
そこでA君が、僕に耳打ちしてきました。

A君:「おい、このスキに抜け出そうぜ!」

僕:「え?抜け出す?」

A君:「こんなむさ苦しいところで今日一日をムダにしてたまるか!せっかくの日曜なんだから、楽しもうぜ!もう俺は、ここにいるのがイヤだ!おまえはどうなんだよ?」

僕:「俺だってイヤだけど、見つかったら大変なことになるぞ!絶対にヤキ入れられるぞ!」

A君:「どうせ3年の試合が始まるまでは、やることないんだから、問題ないだろ?今は誰も俺たちのことを監視してないし。」

僕:「でも、後から先輩に、『おまえらどこにいたんだ?』って聞かれたらどうすんだよ!」

A君:「そん時は、『俺たち2階にいましたよ。先輩たちを探したけど、見つかりませんでした。』ってシラを切ればいいんだよ。」

僕:「そんなにうまくいくかね?」

A君:「大丈夫だって!なんだおまえ、ビビってんのか?」

僕:「別に、ビビってねーよ!行ってやろうじゃねえか!でも、ここを出てどこに行くんだよ?」

A君:「この近くにゲーセンがあるらしいぜ。ちゃんと調べといたんだよ。」

僕:「ゲーセンか!いいね!」

僕たちはそんなやりとりをした後、こっそり試合会場を抜け出して、ゲームセンターに遊びに行きました。

先輩達の大事な試合の日に、こっそり抜け出してゲーセンに行くなんて、剣道をやっている高校男子としては、かなり異色というか、異端の行動に出たのです。

バレなきゃいい、という思考パターン

このように、厳しく叱る教育を受けている場合、叱られた側の人は「バレなければいい」という思考になりがちです。

それも、この本に書いてあったことの1つです。

叱られる恐怖がないのであれば、自律性を失って、ふだん言われているのとは真逆の行動に出てしまうのが、人間の脳の仕組みだそうです。

もちろん、「もしバレたら、もっと激しく叱られるかも」という恐怖が、抑止力につながることもあります。

でも、「バレないだろう」と確信が持てたら、抑止力は働かなくなるでしょう。

当時の僕とA君も、まさにそんな心理状態になっていました。

僕らの脳は「バレる確率が低い」と判断し、「ストレスからの解放」を求めて、試合会場の外へ飛び出したのです。

過去最大のピンチ

汗と熱気でムンムンしていた会場から抜け出して、外の空気を吸うのは、とても気持ちよく感じました。

会場から抜け出てしばらく歩いているうちに、僕はすがすがしい気分になっていました。

そして、さっきまでの恐怖心は消えて、ワクワクしてきました。

ゲームセンターに着くと、A君と一緒に格闘ゲームをやって盛り上がりました。

当時はストリートファイター2というゲームが大人気で、僕と腕前が同じぐらいのA君との対戦は、最高に楽しく感じました。

その後僕たちは、それぞれ自分がやりたいゲーム機を、別々にやり始めました。

ゲームを始めて1時間ぐらい経った頃、僕は自分の制服の後ろエリをグイッと強くつかまれるのを感じました。

てっきりA君がふざけてやっているのかと思って振り返ったら、なんと僕をつかんでいたのは2年生のI先輩でした。

I先輩の反対側の手には、同じようにエリをつかまれた状態のA君がいます。

(な、なぜここがバレた?!しまった!!戻る前にバレるとは!!)

I先輩は、鬼のような形相で、僕たちをにらみつけています。

現行犯で捕まった僕とA君は、もはや言い逃れできない状況になりました。

僕とA君は、剣道部入部以来、過去最大のピンチを迎えたのです!

 

 

・・・つづく

 

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