【中南米のダンス・サルサの世界32ダンス編167】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
 
※僕が20代の頃、初めてサルサダンスを経験した時の体験談の続きです。ダンス編は毎週日曜日に更新中。

 

サルサパーティーで偶然、久しぶりにウッチーに再会した僕は、テンションが一気に上がりました。

お互いの性格をよく分かっているからこそ、サルサダンスでの不満も同じだったのです。

「自分が派手な動きをして、注目を浴びたい」

という願望が一致したことで、僕らはお互いが1人ではできないことをする決意をしました。

「サルサのダンスフロアに飛び出して、HIPHOPやブレイクダンスを踊っちゃおう!」

というプランです。

とはいえ、いきなり僕とウッチーだけが男2人で出て行って、全然違う動きをするのは難しい雰囲気です。

そこで僕たちは、タイミングをはかることにしました。

曲の変わり目

ダンスフロアでは、曲のつなぎ目で人が入れ替わるタイミングがあります。

「ジャジャジャン!」みたいに、フィナーレっぽい雰囲気の、切れ目が分かりやすい部分で一瞬曲が止まり、1秒後ぐらいにまたすぐ次の曲が流れ始めます。

すると、今踊っている人たちがゾロゾロと退場していき、次に踊る人たちが入ってきて、入れ替わります。

1曲はだいたい5分ぐらいで、同じような雰囲気のサルサの曲がいくつも続きます。

でも、ずっと同じ調子の曲が続くとパーティーが間延びしてしまうので、途中で変化をつけて盛り上げる工夫がされていました。

30分に1回ぐらいのタイミングで、全然違う雰囲気の曲が流れるようになっていたのです。これはおそらく、DJの人の個人的チョイスだと思われます。

その、「雰囲気の違う曲」のジャンルの名前は忘れてしまったのですが、とにかくサルサ音楽に比べて、明らかにノリが違いました。

サルサが流れるような滑らかな音を奏でるのに対して、たまに入る曲は、タテ乗りで思わずジャンプしたくなるような雰囲気なのです。

この曲が流れる時には、それまでサルサをガッツリ踊っていた人たちも、ペースを落として、ゆっくりした動きをしながら楽しく自由な動きをします。

手をつながずに向き合って自分の好きな動きをする男女もいました。

僕とウッチーは、この曲のタイミングを待って突撃することにしました。

HIPHOP&ブレイクダンスパワー炸裂!

曲が変わった瞬間、僕とウッチーは目を合わせて合図しました。

僕:「行くか!」

ウッチー:「ぶちかましましょう!」

そして、長年練習してきたHIPHOPのタテ乗りのステップを踏みながら、フロアに飛び出しました。

男2人でフロアに出てくる人はいません。

そのため、僕らは目立っているようでした。

僕とウッチーは、向き合いながら思い切り自分がやりたい動きをしました。

それまでたまっていた「自分が動けないフラストレーション」を爆発させるかのように、僕たちは元気に激しく踊りました。

すると、DJの人がこちらに満面の笑みを向けながら、親指を上に向けてGood!のポーズをしてくれました。「おっ!いいねー!君たち!」と言っているのが伝わってきました。

DJの人は、フロアを盛り上げる役割なので、僕らのようなノリで乱入してくる輩も、歓迎のようです。

ウッチーは、僕の動きを見ながら言いました。

ウッチー:「あ~!懐かしい!新村さんの動きだ!」

僕:「ウッチーも、大学のサークルで習ったブレイクダンスを見せてよ!」

ウッチー:「いいっすよ!」

するとウッチーは、フロアに手をついて、足を広げてグルグル回り始めました。

アクロバティックで高度な技です。

それを見た他のサルサダンサーの人たちも、

「おぉーー!!スゲー!!」

と驚いて拍手してくれました。

僕とウッチーは、全力で踊りながら、最高に気持ち良い5分間を過ごしました。

終わった後には汗だくになって、フロアから退場した時には、すがすがしい気分になっていました。

僕:「やっぱ、これだよな~!これが気持ちいいんだよ!ダンスは!」

ウッチー:「そうっすね!気持ちいいっすねぇ~!」

僕:「ウッチーしばらく見ないうちに、すごい技を身に付けたね!俺たちが憧れて練習したけど誰もできなかった技を、できるようになるとは!」

ウッチー:「大変でしたけどね!いっぱいケガもしたし。」

僕:「分かるよ!俺もケガが続いて他のステップが練習できなくて困るから、あきらめたんだよね。だから、続けて身に付けるスゴさが分かる!立ってる時のステップもすごい上達したよね。高校生の頃とは別人みたい!」

ウッチー:「あざす!俺の過去を知ってる新村さんに言ってもらえると、嬉しいっすね!」

僕たちは、昔に戻ったようにダンストークを楽しんで、その後も30分おきにかかる曲になるたびにフロアに出て、HIPHOPとブレイクダンスを踊りました。

その夜はウッチーに再会したことで、パーティーに行く前にはまったく予想しなかった流れになって、僕は久しぶりにスカッとする爽快な夜を過ごせました。

 

・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む

 

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