外国人バーで開催されたサルサパーティーで偶然、久しぶりにウッチーに再会した僕は、2人でサルサ音楽に合わせてHIPHOPダンスを踊りながら、ワクワク楽しい時間を過ごしました。
その楽しさがあったがゆえに、終わってまた通常レッスンに戻った時には、少しさびしさと物足りなさを感じました。
今振り返ると、これは年齢も理由だったと思います。
当時20代後半だった僕には、サルサで男性に求められる役割と、その楽しさが見えていなかったと思います。
女性をリードしながら踊るよりも、自分のペースで踊りながら、自分が派手な動きをして注目を浴びたい!という欲求の方が強くありました。
そうしている時の方が、僕は心の底から楽しめたのです。
サルサは、「大人の男女の踊り」のイメージが強いです。
男性メンバーは、ほとんどが僕より年上でした。
サルサパーティーやレッスンで一番多い男性の年齢層は、30代後半~40代後半ぐらいでした。
今の僕の年齢です。
今だったら、あの頃よりもずっとサルサを楽しめると思います。
「サルサダンスが、男女のパートナーシップの心理にどんな影響を与えるのか?」
「サルサダンスが生まれた頃の南米の国々の歴史や文化はどんな感じだったのか?」
そんなことに思いを馳せながら、踊れそうな気がします。
僕は今でもたまに、HIPHOPやブレイクダンスの動きを練習することがあるのですが、昔ほど楽しめません。
同じ動きをしても、20年前に比べて筋肉やスジを痛めやすくなっているのが分かります。また、1度痛めたら治るのに時間がかかります。
その点、サルサダンスであれば、男性はそんなに激しく動かなくていいので、身体も痛めにくい気がします。
年齢に関係なく、趣味としてムリせず長く楽しめるのは、HIPHOPよりもサルサの方でしょう。
サルサスクールがピンチに!
時間を戻して、僕がサルサダンスのスクールに通い始めて1年ほど経った頃のこと。
サルサスクールにピンチが訪れました。
生徒数が減って、存続できなくなった・・・
とかいう理由ではありません。
むしろ、人気はうなぎ上りで、生徒数は増えていました。
先生がパワフルで面白いキャラだったこともあると思います。
では、何がピンチになったかというと、
「練習場所が使えなくなる」という状態です。
それまでは、建設会社の敷地内の一角にある、プレハブ小屋の二階をレッスン会場にしていました。
もともと会社の社長が趣味で作った場所らしく、自分がダンスが好きなので、練習場として建てたのがきっかけだそうです。
でも社長個人で使う時間は少ないので、だったら他のダンスの先生たちにも、レッスン会場として活用してもらおう、という考えのようでした。
そのため、かなり格安料金で借りれていたそうです。
ところが、その会社の方針が変わりました。
商売繁盛により、木材を保管する倉庫エリアを拡大する必要性が出てきたのです。
その結果、社長が趣味で建てたプレハブを取り壊して、そのエリアも倉庫として活用せざるを得なくなったそうです。
サルサレッスンも、建設会社も、商売繁盛しているので良いことです。
でも両方繁盛しているがゆえに、両立できなくなってしまったのです。
レンタルスタジオはせまい
先生は、この「スタジオ引っ越し問題」で、とても頭を悩ませているようでした。
というのも、他になかなか選択肢がなかったからです。
まず、レンタルのダンススタジオは駅周辺にしかありません。
そして駅周辺にあるレンタルのダンススタジオは、アパートの一室を改造したところが多く、スペースが狭いのです。
僕もHIPHOPダンスを仲間で練習する時に、レンタルスタジオを使うことがあったので、駅周辺で探しまくっていた時期がありました。
でも、広いところは見当たりませんでした。
生徒数が10人以下だったら問題ないのですが、当時のサルサクラスは20人を超えていました。
とても全員入りきれません。
レッスンを2クラスに分けて、時間帯を変えて開催するしかないでしょう。
でも、そのためには今までの2倍の時間が必要になります。
「先生自身の時間が取れない」というジレンマがあったようです。
先生はサルサを教える仕事1本で生活しているわけではなく、昼間はダンスに関係ないフルタイムの仕事をしているようでした。
そのため、夜の時間がレッスン2コマ分も空けられなかったのです。
そういえば以前、僕が通っていたHIPHOPダンスの先生たちも、教える仕事1本ではなく、ディズニーのダンサーなどをして生計を立てていたのを思い出しました。
サルサの先生が時間を取れるのは、1コマ分だけ。
僕たち生徒全員が引っ越せる、広い場所を探さなければなりません。
すでにプレハブ小屋を取り壊す日は決まり、カウントダウンが始まっています。
いつもは明るく元気な先生ですが、さすがにこの時ばかりは焦りと不安が見えるようになりました。
僕たち生徒も、ドキドキしていました。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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