From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕が高卒で英会話スクール講師になってからの体験談です)
(→前回のつづき)
僕が英会話スクールの講師になったばかりの頃のこと。
慣れない仕事でしたが、僕は燃えていました。
「自分の人生を変えた音読トレーニングとイメージ英文法を使ったら、他の人たちの英語力もアップさせられるかどうか、実験してみたい!」
と思ったのです。
大手英会話スクールは個人スクールに比べて生徒数が多いので、たくさんの英語学習者の人たちに直に触れながら、教える経験値を積むことができます。
僕は、「ここなら自分の目的を実現できる!」と思いました。
クラスの前後に実験君
大手の英会話スクールでは、基本的にカリキュラムがしっかり決められています。
50分のレッスンの中で、どんな風に進めていくのか?すべてがマニュアル化されています。
レッスン内容は、僕自身が今まで生徒として受けてきたものと同じだったので、だいたい分かっていましたが、いざやってみるとけっこう冷や汗ものでした。
レッスンを受けるのとやるのとでは、大違いです!
レッスンは、基本的に英語のみで行われます。僕ら教師も生徒さんも、レッスン時間内は英語しか使うことを許されていません。
でも、僕が本当に試したいことは、音読トレーニングとイメージ英文法でした。
英語を使ったレッスンなら、ネイティブの先生がやるのと変わりません。
むしろ、ネイティブの先生の青い目で見つめられた方が、生徒さんのテンションは上がるはずです。
僕は、日本人講師の自分が本領を発揮できるのは、「英語で英語を教えるスタイル」の外側にあると感じていました。
かといって、ルールを破って日本語を使ったレッスンをするわけにはいきません。
なので、レッスン時間内はしっかりマニュアル通りに英語だけで進めて、クラスの前後の休み時間(10分くらい)に、補足説明として日本語でイメージ英文法を教える作戦を試しました。
そうやって、生徒さんの反応を見てみようと思ったのです。
ところが・・・
余計なことをするな
僕がレッスン後に、あれこれ日本語で補足説明をしているのを見た先輩の先生たちが、こんなことを言ってきました。
「あんまり余計なことをしない方がいいですよ。」
「下手に文法の話をして、もし間違いを突っ込まれたらシンヤ先生の立場がマズくなりますよ。」
「生徒さんの中には、先生よりも文法のウンチクに詳しい人がいることがありますからね。」
と、僕に忠告してきたのです。
もちろん、これは僕の立場を守ろうとして言ってくれたんだと思います。
でも僕は、とても悲しくなりました。
「失敗するかもしれないから、余計なことをするな!」
と言われているように聞こえたのです。
失敗してはダメなのか?
僕はこの時、思いました。
(間違った文法解説をして、生徒さんに突っ込まれたら、素直に
「それは知りませんでした!ありがとうございます!」
って言って、自分の引き出しの中にストックすればいいのでは?
それで生徒さんからの信頼が失われるのだろうか?
自分より文法のウンチクに詳しい生徒さんがいたら、色々と聞いて教えてもらえばいいのでは?
先生も知らないようなマニアックな文法を知っている人は、きっと聞いてもらえたら喜ぶのでは?)
と思ったのです。
僕は、仕事上の立場は先生というポジションになりましたが、意識の上では「英語学習者」だと思っています。
先生になったとたん、「何でも知ってるふり」をする必要はないと思います。
同じ英語学習者として、お互いが知らないことを教え合う関係を築ければ、自分も生徒さんも成長できるのでは?
もし、それで僕のことを「先生なのに、そんなことも知らないの?」なんてバカにする人が現れたら、それはそれで仕方ない。無理に戦おうとせずに、放っておけば良い。
と思ったのです。
余計なことをしよう!
そこで僕は、「余計なことをしよう!」と決心しました。
先輩たちの忠告を無視して、レッスン前後の日本語トークに全力を傾けるようになったのです。
英語でレッスンをしていると、たまに生徒さんから英語で文法や英単語のニュアンスに関して質問が来ることがあります。その時、
「あ~!ここを日本語を使ってイメージ英文法で解説したら、きっと10秒ですべてが分かってもらえるのになぁ・・・」
と思うことがあります。
そういう時には、ホワイトボードの片隅に聞かれたことをメモっておいて、レッスン後に日本語で解説するようにしました。
生徒さん達のリアクションは、僕の想像以上でした!
「今までこれを知らずに英語をやっていたなんて!」
「文法や英単語は、イメージで覚えるとこんなにラクなんですね!」
「シンヤ先生は、どこでイメージ英文法を学んだんですか?」
と質問がたくさん来ました。
さらに、僕の教室の隣でネイティブの先生のレッスンを受けている中上級レベルの生徒さんも、休み時間には僕の解説を聞きに来るようになりました。
穴を指摘されたら・・・
もちろん、中には僕よりも文法ウンチクに詳しい人もいました。
僕の解説の「穴」を指摘されることもありました。
でも、僕はそれを嬉しく思いました。
「それはナイスな視点ですね!調べてみます!」
と言っていったん課題を持ち帰り、指摘された穴を埋めるために、新しい情報を仕入れて、次回その生徒さんに会うときに、その情報をシェアしました。
「細かい文法ルール」を詳しく知っているタイプの人は、イメージ英文法のような「ネイティブ感覚で文法を覚えるジャンル」には詳しくないことが多いです。
僕はその反対のタイプで、受験英語のような細かい文法ルールには疎いので、その人から教わるようになりました。
僕らはお互いが知らないことを教え合う関係を築けました。
その結果、意外にもその生徒さんは僕のことを認めて、一目置いてくれるようになりました。
僕らは同じ「文法マニア」同士、とても親しくなりました。
僕はこの体験から、「自分の立場を守ろうとしたり、相手と戦おうとする姿勢をなくせば、敵はできない」ということを学びました。
余計なことこそ、将来に役立つ
実はこの時の体験が、数年後に僕の進む道を大きく変えました。
イメージ英文法と音読トレーニングを合体した僕のメソッドは学校内で口コミで人気になり、僕のプライベートレッスンを受けたいと言ってくれる生徒さんが増えました。
僕は今は独立して、自分のスクールを主催していますが、レッスン内容はまさに、8年前に先輩の先生から「余計なこと」と言われたメソッドをまとめたものです(笑)
今思い返すと、あの時、先輩の言葉を無視して、自分の「実験」を続けて本当に良かったと思います。
言われたことだけやっていたら、いつまでも自信が付かず、新しいメソッドも開発できずに、今頃こうして独立することもなかったと思います。
人生にムダなことはひとつも無いような気がしています。
・・・つづく。
P.S.
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