from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
この本の英文は、すべて「自分で考えさせる内容」になっていることをお伝えしました。
本の中で「~すべきだ」と断言するのではなく、あくまで判断材料になる情報を与える感じです。
「○○という観点から、~すべきと言う人もいる。一方で、○○という観点から~する必要はないと言う人もいる。あなたはどう思うだろうか?」
というようなスタンスで書かれているのです。
だからこそ、この本の英文をそのまま丸ごと覚えて英会話で使った場合、「先生との議論を楽しむきっかけ」になります。
章の最初に投げかけられる質問
実は章の最初にも、これから始まるテーマについて、「読者に英文をジブンゴトとして捉えさせる仕掛け」が施されています。
著者の松本先生から、「日本語での質問」が投げかけられるのです。
たとえば、第三章の「学びから見た世界と日本の違い」というテーマを見てみましょう。
この章には、
・早期教育ーする?しない?
・褒める教育 VS 批判する教育
・塾は子どもの成長に必要なのか?
というようなトピックの英文が入っています。
こういったトピックは、普通に考えれば、「子育て最中の世代」にしか響かなそうです。
そうなると、他の世代の人たちとっては「他人事」に感じられやすいです。
「自分は独身だから、早期教育は自分には関係ないや」
「子どもはいないから、教育について考えたことはないなぁ~」
といった感じの思考回路になるかもしれません。
そこで、章の最初には、こんな問いかけが用意されています。
↓↓↓
(一部を引用)
まず、自分たちが受けた教育を振り返ってみましょう。
例えば、あなたは、早期教育(early education) や教育の先取りを体験しましたか。
それは自分から望んだからですか、それとも親に言われてしたのでしょうか。
結果として、自立的な学習姿勢(autonomous attitude toward learning) は培われましたか。
(中略)
あなたは、受験準備などのために学習塾(cram school)に通った経験はありますか。
日本のみならず、大学入試(university entrance exam)が一発勝負である国々では、塾に通う子どもたちが多いようです。
しかし、塾に通うという選択肢は、住んでいる地域や、経済的に恵まれている(economically privileged)か否かなどの要因によっても強い影響を受けます。
これらの点を考慮して、中国では学習塾通いを減らす措置を講じています。
日本はどうすれば良いと思いますか。
(引用終わり)
というような問いかけです。
このように、「読者自身の子ども時代」を振り返らせることで、これから読むトピックを「ジブンゴト」として捉えるようにする仕掛けが施されているのです。
これにより、子育て世代の人にも、興味を持ってその先の英文を読み進めることができます。
ちりばめられた英単語が絶妙
僕がこのパートを読んでいて感じるのは、日本語文の中にちりばめられた英単語が絶妙なバランスになっていることです。
先ほどの文章を見ても、
・早期教育(early education)
・自立的な学習姿勢(autonomous attitude toward learning)
・学習塾(cram school)
・大学入試(university entrance exam)
・経済的に恵まれている(economically privileged)
などの、重要キーワードには英訳が付いています。
このキーワードの選定が絶妙なのです。
「あれ?塾って英語で何スクールって言うんだっけ?」
「早期教育って日本語ではよく口にする言葉だけど、これって英語で何て言うんだろう?えっ!early education で良いのか!そのままじゃん!」
というように、読みながら英単語を学ぶことができます。
・知っているはずだけど、パッと思い出せない英単語
・言えそうで言えない英単語
・日本語で書くと難しそうだけど、英語にするとシンプルな英単語
が選ばれているので、楽しみながら読み進めることができるのです。
また、日本語と英語の比率も絶妙です。
あくまで日本語ベースで読みやすさを優先し、要所要所で英単語が入っています。
もし、このページがすべて英語で書かれていて、横に日本語訳が載っているスタイルだったら、おそらく僕だったら面倒だと感じて読み飛ばしてしまうか、日本語訳だけをサラッと読むだけになってしまうでしょう。
でも、日本語ベースの文章の中に、キーワードだけ英単語も入っているこのスタイルは、読みやすさと学びを両立させています。
こういう書き方をしている英語テキストはとても珍しいので、新鮮です。
個人的には、僕はこの「問いかけページ」がすごく気に入っています。
・・・つづく。
p.s.この本を音読で仕上げたい場合は、自分の好きなテキストを用意して受ける、こちらの動画セミナーがおすすめです。無料で受講できます。
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