【日本の「自然を愛する文化」が、英語リスニングのハードルを上げる理由②】

 from 師範代Shinya

(→前回の続き)

「自然を愛する文化」が、日本人の英語リスニングのハードルを上げていると知った時、僕は色んなことが腑に落ちました。

僕はこれまで色々な世代の英語圏の人たちと話してきて、ビックリするぐらい自然界へのこだわりが感じられないことを、実感してきました。

たとえば、ホタルは英語で fire fly と呼びます。

「火のハエ」なんて、情緒も何もありません(笑)

当然、英語圏の国では皆でホタルを見に行くことはなく、ましてやホタル祭りなんて開く文化もないそうです。

これはアメリカ人の先生に聞いたのですが、ホタルは子どもの頃、裏庭で飛んでいるのをたまに子ども達どうしで見て楽しむ、ぐらいの感覚だったそうです。

それ以上でも、以下でもない、という感じです。

また、英語では、クワガタとカブトムシとカナブンを、まとめて beetle と呼びます。

beetle は甲虫という意味ですが、それ以外のくくりはありません。

辞書で調べると、クワガタは stag beetle 、カブトムシは beetle となっています。

でも、僕の経験上、この使い分けがネイティブ相手に通じたことはありません。

stag beetle と言っても、ポカンとした表情をされるだけです。

よほど昆虫に詳しい人でない限り、通じません。

日本人からすると、クワガタとカブトムシを同じ呼び名にするなんて、信じられないことです。

ましてや、カナブンと一緒にするなんて!

beetle たちの序列

日本文化の序列で言うと、

1位:カブトムシ

戦国武将たちがこだわってデザインしていた武具である「兜」という名を冠した、王者の風格を持つ虫。というイメージです。

2位:クワガタ

昔からカブトムシのライバルとして君臨し続ける、カッコいい虫の代表格、というイメージです。名前の由来は、カブトムシと同じく戦国武将のかぶっていた兜と言われています。

オスのクワガタの持つ大きなアゴが、兜の前面についている「鍬形」に似ていることから、そう呼ばれるようになったそうです。

クワガタは種類の多さも魅力で、特にミヤマクワガタやヒラタクワガタは、見た目がイカつくて人気です。

3位:カナブン

カブトムシのような立派なツノや、クワガタのような大きなアゴもなく、丸っこいイメージがあるカナブンは、夏の林の中では脇役のようなイメージです。

「カブトムシ&クワガタが集まっている木に、一緒にいる虫」ぐらいの認知度な気がします。

その証拠に、夏になるとカブトムシやクワガタはスーパーやペットショップなどで売られていますが、カナブンは商品として見かけません。

こんなに階級に差がある虫たちを、まとめて beetle と呼んでしまう英語圏の文化は、日本とはだいぶ違いますよね。

「虫の音色」も存在しない

さらに!ここからが本題なのですが、英語圏には「虫の音色」や「鳴き声」といった概念が存在しません。

・真夏のセミの元気な「鳴き声」

・秋の鈴虫のしっとりした「音色」

・カエルの「合唱」

すべて英語では、noise (雑音)と言うそうです。

ネイティブの耳は、虫たちの音色を、「雑音」として処理しているのです。

音に対して、情緒を見いだしていません。

もちろん、たまに鳴き声をマネした擬音語(ブーンなど)で表現することもありますが、やはり日本語のように美しい表現はしません。

もし、僕たち日本人が海外旅行先で、聞き馴染みのない虫の鳴き声を聞いた場合、おそらく「ん?なんの虫の鳴き声だ?」というリアクションになることが多いでしょう。

でも、英語圏の人たちはそう思わないようです。

同僚のPさんの悩み

僕が以前、日本で同僚として一緒に働いていたアイルランド人の男性のPさんは、初めて過ごす日本の真夏に、セミの声に悩まされていました。

ある朝、寝ているPさんのアパートの網戸に、セミが止まって鳴き始めました。

Pさんは、その音の大きさで目が覚め、ビックリして飛び起きました。

何の音なのか分からなかったPさんは、セミの鳴き声を「非常事態のサイレン」だと勘違いしました。

Pさんは、パジャマのまま家を飛び出して、避難場所に指定されている近所の公園に走って行ったのです。

公園に着くと、さらに先ほどのサイレンの音がさらに強くなっていました。(同じ種類のセミが公園の木に止まっていっせいに鳴いていただけですが)

Pさんは、汗をダラダラ流しながら、他の人たちが非難しに集合してくるのを待ちました。

でも、周りの人たちは、何も焦っていません。

Pさんは結局、意味が分からず家に帰り、着替えて出勤しました。

そして、職場に着いてすぐに、その話を僕にしたことで、その朝のサイレンの正体がセミだったことを知ったのです。

ちなみにPさんは、その夏にセミの鳴き声に悩まされることになりました。

早朝からセミの鳴き声に耳が反応して起こされ、寝不足になりました。

休みの日に昼寝したくても、セミの鳴き声がうるさくて眠れません。

その後、Pさんは寝不足から体調不良になり、仕事を何日も休むようになりました。

そしてついに、夏が終わらないうちに本国に帰ってしまいました。

おそらくPさんにとっては、セミの鳴き声はまさしく noise で、恐怖を感じたんだと思います。

僕はこの時、英語圏の人たちと日本人の音の感じ方違いを実感しました。

そしてそれが、日本人が英語リスニングが苦手な人が多い理由になっていることを、最近知ったのです。

 

・・・つづく

 

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