From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事では、英語が上達してネイティブの友達が増えるにつれて、「外国人」や「外人」という言葉に僕が感じ始めた差別的な違和感についてお話ししました。
今回は、僕自身が色んな国の人たちに「外人」「外国人」と呼ばれることに対してどう感じるか?を聞いてみたアンケート結果をお伝えします。
正解はない
最初にお伝えしておきます。おそらく、この問題に正解はありません。
英語圏の国々では「宗教」や「政治」と並んで、炎上しがちな3大トピックの1つに、「人種差別」があります。
言っている本人がそんなつもりはなくても、聞いた人が「差別された」と感じれば、それは差別になります。
なので、「こうすればいい!」というような、明確な正解はないと思います。
言葉のニュアンスは相手の受け取り方で決まります。だったら日本人同士でとやかく議論するよりも、当の本人=在日外国人たちに聞いた方が早いと思いました。
質問内容
質問はすべて同じです。
「外国人、外人と呼ばれることに対して差別的な響きを感じますか?また、外国人と外人という2つの表現に違いを感じますか?」
です。
その結果、答えが3つのパターンに分かれたので、分けてお伝えします。
(※この調査は、あくまで僕の周りにいるネイティブに個人的に聞いただけなので、偏りがあると思います)
①「外人」はNGで、「外国人」はOK派
このタイプの人は、日本に住んでいる期間が割と長く、日本語をかなり熱心に勉強しています。
漢字もしっかり勉強しているので、たまに日本人より漢字の意味に詳しかったりします。
このタイプの人に言われたセリフはこんな感じでした。
↓↓↓
「外人」という言葉は、「外の人」だから、「人」にフォーカスが当たっている。だから、差別用語に聞こえるね。でも、「外国人」という言葉は、「外の国」にフォーカスが当たっているから、差別的な響きは和らぐよ。でも、それを意識して使い分けている日本人は少ないと思うな。そもそも、「外人」という言葉を差別用語だと強く意識しながら僕の前で使っている人は多くない気がする。
という感じです。
「外人」は人にフォーカスしてて、「外国人」は国にフォーカスしている。
言われてみれば、「なるほどー!」と思いますが、僕自身は言われるまでこの違いに気づかずに使っていました。
おそらく彼の言うように、この違いを意識して使い分けている日本人は、そう多くはないでしょう。
どっちもNG派
このタイプの人も、同じように日本語が堪能ですが、2つの単語に違いを感じていないようでした。
このタイプの人に言われたセリフはこんな感じでした。
↓↓↓
「外人」も「外国人」も、俺にとってはあまり変わらないな。「外」って付いてる時点でもう差別用語だよ。日本はまだ国民の外国人比率が少ないから、新しい言葉を開発する必要性に迫られてないんじゃないかな。あと10年もすれば、日本も変わらざるをえなくなると思うよ。そうなったらきっと、新しく差別的な響きのない言葉が生まれるんじゃない?
という感じでした。
この意見も、「ほぉー!」と思いました。
どっちもOK派
このタイプの人は、カジュアルな性格の人が多いです。
「堅苦しいこと抜きにして、人生楽しもうぜ!」
みたいなスタンスの人たちからは、この意見が出ました。
このタイプの人に言われたセリフはこんな感じでした。
↓↓↓
まあ、「外人」でも「外国人」でも、どっちでもいいんじゃない?俺は日本に来る前からむこうで「ガイジン」って単語を習ったよ。だから、そう呼ばれても別に驚かないし、気にしないよ。それに、「外人」とか「外国人」て呼ぶ人たちと話しても、別に俺のことをバカにしながら言っている感じは受けないな。本当の人種差別は、もっとタチの悪いものだよ。呼び方だけじゃなくて、わざと不快にさせることを言ったり、私物を壊したり、暴力を振るわれたり。日本では、そういう経験をしたことはないね。俺の場合は、相手から悪意を感じなければ、外人と呼ばれようが外国人と呼ばれようが、差別だとは思わないよ。
という感じでした。
人それぞれ
以上が、僕が個人的に実施したアンケート結果です。
傾向を分析すると、
①日本に長く住んでいる人、日本語を深く勉強している人ほど、「外人」や「外国人」という呼ばれ方に敏感に反応する。
②その反応は、「日本文化に溶け込みたい」「日本人と同じに見られたい」という欲求から来ている。
③呼ばれ方を気にする一方で、日本人が「外人」や「外国人」という言葉を、あまり意識せずに使っていることも知っている。
とうことが分かりました。
現時点で最も無難なのは?
この「外国人の呼び方問題」は、相手ありきの問題なので、やはり相手に直接聞くのが一番手っ取り早い気がします。
「気にしない」という人は置いておいてOKですが、「気になる」という人とは話す必要があります。
そこで、最初のタイプの
「外国人」の方が響きが和らぐ、と言ったアメリカ人の友達と、「英語がしゃべれる日本人」の友達のグループ内で、さらに議論を重ねました。
その結果、こんな結論に落ち着きました。
↓↓↓
やっぱり、「外国人」という言葉にも、「外」が入っている以上、どうしても差別的な響きはぬぐえないなぁ・・・英語には、foreigner(フォーリナー)という言葉があるけど、これには差別的な響きはないんだよね。日本語には、foreignerと同じような言葉はないから、ここはカタカナで「フォーリナー」でどうかな?一応、日本語発音でも言いづらくはないだろうし。
という結論に達しました。
こうやって書くとサラッと終わっていますが、実際にはかなり長い期間、議論を重ねました。
この話し合いの結果、僕らのグループの日本人の間では、「外国人」や「外人」という言葉を使うのをやめました。
代わりに、「フォーリナー」というカタカナ語を使うようになりました。
相手に合わせて調整
ただ、僕個人がブログやYouTubeで情報発信する時には、「フォーリナー」というカタカナ語は使っていません。
なぜなら、初めて僕のブログを読んだ人が、「フォーリナーって何だ?」となったら、それ以上読み進めてもらえなくなってしまかもしれないからです。
ブログ記事を読みやすくするには、
①日常会話で使っている「話し言葉」を使って書く。
②短い文章で区切る。
③難しい漢字やカタカナ表記の横文字の割合を減らす。
という3原則があります。
「フォーリナー」という横文字は、この3原則に照らし合わせた場合、どうしても使いづらいのです。
このブログは、「日本人の英語学習者向け」に書いています。実際、読者の9割以上が日本人です。
なので、あえて「フォーリナーへの配慮」は抜いた表現を、このブログでは使っています。
正解はない
以上、2回に渡って、「外国人」「外人」という単語について僕が経験したことをシェアしてきました。
最初にお伝えした通り、この問題に正解はないと思います。
人それぞれの考え方があり、それぞれに正しいです。
言葉の誤解を防ぐには、やっぱり「相手と直接話し合うこと」だと僕は思います。
そすれば、「お互いの間での正解」を見つけることができて、フォーリナーの友達とも仲良くやっていくことができると信じています。
Shinya先生、私の質問に対してかなり詳細にご説明頂きありがとうございます。
貴重な情報として受けとめます。人間は感情を持つ動物です。先生が仰るように人によって、色々な受けとめ方があると思います。このような微妙な感覚を、英語で話せるようになることを目標に日々学んでいきたいです。
貴重な情報ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございます。
このトピックは、本当に気を遣いますよね。
人によって受け止め方が違うからこそ、自分なりの方針を持っておいて、説明できるようにしておくことは大事かもしれません。
さらに、自分の経験の中で、方針も変えていく柔軟さも必要な気がします。
記事がお役に立てて良かったです。