From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回までの記事では、仕事上で英語を使うパターンの多い例として、
・英語で接客する
・英語でメールのやりとりをする
パターンをお伝えしました。
この2つに関しては「定型文の丸暗記」で乗り切れることが多いです。
また、必要な英単語を覚えることで乗り切れることもあります。
僕が病院で体験した例をお伝えします。
病院での通訳
僕が大手英会話スクールで講師として働いていた頃、同僚のネイティブ講師のWさんが自転車で転んでケガをしました。
転んだときに道路にヒジをついてしまい、ヒジ関節をひどく痛めてしまったのです。
そこで僕は、昼休みにWさんと一緒にスクールの徒歩圏内にある整形外科に行きました。
その病院の先生は50代ぐらいの男性で、とても優しい雰囲気でした。
どうやら外国人の患者さんにも慣れているらしく、僕が一緒に診察室に入った時に、
「私もできるだけ英語でガンバってみますね。」
と笑顔で言いました。
そして日本語と英語が混じったカタコトの英語でWさんに話しかけました。
僕はそれを見て、「おぉーー!これはスゴい!」と思いました。
先生はリスニングは苦手なようで、Wさんがどこでどんな風にケガをしたか?に関しては僕の通訳に頼っていました。
でも先生自身が話す時には、僕に向かって日本語を話すのではなく、Wさんの目をしっかり見ながら英単語をつなげて話しかけていました。
レントゲンを撮った結果を説明する時にも、先生は専門用語の英単語を並べながら、Wさんに話しかけていました。
日本語&英単語のミックス解説
診断結果はヒジの骨にヒビが入っている状態でした。
僕は当時英検1級に合格してから数年たっていましたが、基本的なケガや病気の用語は覚えていました。
「骨にヒビが入っている」ぐらいのことは英語で言えましたが、先生が説明する「ヒジ周りのスジの部位」とか「損傷の度合い」などを的確に説明するのは難しく感じました。
でも先生は、そこを「日本語と英単語のミックス解説」でWさんに伝えていました。
日本語と英語を混ぜながら話すのは、英会話の世界ではよく「邪道」と呼ばれます。
でも、先生はその邪道をバッチリ実践していました。
先生:「あなたのエルボーの○○は○○の状態ね。あと○○も○○になってるからね。」
みたいな感じです。○○の部分は、僕の知らない医学用語の英単語です。
さらに「人体の筋肉や骨の書いてあるイラスト」を机から出して、指さしながら説明していました。
Wさんの様子を見ると、どうやら先生の言っていることをほぼ理解しているようでした。
「おぉー!!先生、スゴいですね!」
僕は思わず先生にそう言ってしまいました。
すると先生は照れくさそうな表情で言いました。
先生:「いや~そんなことないですよ。私なんて知ってる単語を並べてるだけです。」
僕:「いえいえ、それがスゴいんです!今の自分にできる最大限のことをして、メッセージを伝える。完璧じゃなくても、言いたいことを伝える。これはすごく大事なことです。」
先生:「ありがとうございます。まあ、私ももうちょっと英語勉強しようかな(笑)」
そんなやりとりをして診察が終わった後、僕がWさんに「先生の話した英語がどこまで聞き取れていたか?」聞いてみました。
すると、こんな答えが返ってきました。
Wさん:「最初は分からなかったけど、英語と日本語がミックスしていると気付いてからは、英語だけを拾って理解できたよ。
あと、イラストの説明があって分かりやすかった。
ただ最後に先生とShinyaが話している日本語は全然聞き取れなかったけどね。」
僕はこの時の体験談から、
「お医者さんが外国人の患者さんを英語で診察する」
という仕事に対するハードルの高さのイメージがだいぶ下がりました。
その英会話スクールのテキストにも「英語の診察シーン」が出てきて、かなり難しいイメージがありました。
でも「こんなに完璧に英語でスラスラ言えなくても、目的は達成できるんだな」と気付きました。
きっとあの整形外科の先生が毎日30分の音読トレーニングを始めたら、覚えたフレーズをすぐに診察で使うことができるでしょう。
その方が伸びが早いことは間違いありません。
仕事の英語は「使いながら覚える」「覚えたらすぐ使う」方が効率が良いのです。
・・・つづく。
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