From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
①声出し系トレーニング(音声データ付き)
②ネイティブのイメージ英文法の解説
を組み合わせた本、「一億人の英会話」の中身をチェックしてみましょう。
この本が何より画期的なのは、大西先生によるイメージ英文法の解説を読みつつ、例文を音読や瞬間英作文トレーニングで仕上げられるようになっていることです。
ふつうは、音読系のテキストと文法解説のテキストは別々に揃える必要があります。
この2つを融合したところに、このテキストの価値があります。
もちろん、くまなく探せば似たような作りのテキストもこれまでに出ているかもしれません。
でも、何と言ってもこの本は、本家の大西先生が書いているのが魅力です。
僕にとっては、やっぱりイメージ英文法と言えば大西先生なのです。
1億人の英文法との違い
この「一億人の英会話」は、有名な文法書「一億人の英文法」のシリーズとして出ています。
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でも、作りはまったく違います。「一億人の英文法」は、どちらかというと辞書的な使い方を想定しているように思えます。
これまでの大西先生の本を1冊にまとめて、探しやすくしたような感じです。もちろん、新しい要素も加わっています。
この1冊で、文法は完結する!と言ってもいいぐらいのボリュームで作られています。
そのため、ページ数も500ページを超えて、厚みも重みも相当なものです。
社会人がビジネスバッグに入れて持ち歩くには、ちょっとキツいかもしれません。
一方で、今回出た「一億人の英会話」の本は、まったくの別物です。
本のページ数は250ページ前後なので、約半分になっています。
「~英文法」の分厚さに慣れていると、「~英会話」を手に持った時には「軽っ!薄っ!」と感じます。
このテキストは、持ち歩いてすきま時間に音読したりして使うことを想定しているのが分かります。
「並べる順番」に特化した解説
この「一億人の英会話」は、文法の中でも特に大事な「英語の語順=英単語を並べる順番」にフォーカスしています。
この点は、僕のお気に入りの本「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」と通じる部分があります。
僕は10年以上前に「ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力」を読んで、「英語は並べる順番で意味が決まる言語だ」ということが、深く理解できました。
並べる順番ということは、言い換えると「文章の型=文型」です。
文型ごとの解説
今回の「一億人の英会話」のテキストの構成は、「文型ごとの解説」がベースになっています。
「文型ベースの例文」というところが、瞬間英作文トレーニングと相性が良いと思います。
もちろん、このテキストには「瞬間英作文トレーニングで仕上げなさい」と書いてあるわけではありません。
でも、例文のシンプルさと文型ごとの並びという構造は、瞬間英作文トレーニングの素材としてピッタリです。
(ただ、英文のすぐ下に日本語訳の文があるので、瞬間英作文トレーニングで使うにはちょっと工夫が必要です)
すべての文型解説ページに見やすいイラストが入っているので、イメージでとらえやすいです。
この本は全部で6つの章からできてます。
1つ1つの章は、こんな作りになっています。
↓↓↓
チャプター①:基本の5文型のイメージの解説&例文
中学で学ぶ基本5文型のネイティブイメージを、分かりやすいイラストと解説文で学べます。
例文はどれも短くてシンプルなので、初心者にも頭に入りやすいと思います。
基本5文型と言っても、「第1文型」「第2文型」というような並びではありません。
ここは大西先生らしく、
・他動型
・自動型
・説明型
・授与型
といった感じで、各文型の役割イメージがわきやすい名前が付けられてます。
チャプター①には、全部で7レッスン分の例文が入っています。
5文型なのに7レッスン分入っているのには理由があります。
・be動詞を使った文型(例:She is happy.)の後に、be動詞以外で同じ型を取る文(例:She looks happy.)の解説が1レッスンとして入っている。
・授与型(あげる系)の文型(例:He gave me a present.)の後に、マイナスを与える系の文(例:This car cost me a lot of money.)の解説が1レッスンとして入っている。
この2つの解説が加わっているので、全部で7レッスンになっています。
英語学習者の「ちょっとした疑問」に先回りして答えてくれる作りになっています。
チャプター②:基本5文型の「拡張型」の解説&例文
チャプター①で学んだ文型をベースに、さらに豊かな表現をするための「部品」を学びます。
たとえば、
・~ing(進行形)
・to ~(不定詞)
・~ed (過去分詞)
・節(小さな文)
などです。
これらの部品が組み合わさることで、基本の5文型が彩り豊かになっていきます。
例文はチャプター①よりは長めになりますが、必要以上に複雑な構文は出てきません。
あくまで例文は「日常会話で使われる自然な表現」だけで作られています。
#チャプター③:リポート文、命令文、there文の解説&例文
基本5文型には出てこなかった変化球を学びます。
たとえば、
リポート文:I think he is right.
命令文:Think about it.
there文:There is a hole in my pocket.
のように、初心者にとっては「どれが主語でどれが動詞??」と疑問に思ってしまうような文型を学びます。
このチャプター③までが、基本の文型です。ここまで学ぶだけでも、「本当はシンプルな英語の語順ルール」が見えてくるはずです。
そしてここから先は、いよいよ大西先生の真骨頂とも言えるジャンルに入っていきます。
・・・つづく。
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