From 師範代Shinya(新村真也)
大きくて重厚な木製の扉の前で、僕は心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていました。
これから僕は、カナダで仕事の面接試験を受けようとしているのです。
さっき話した受付の女性が厳しくて怖かったので、僕は完全にビビっていました。
この重厚な扉の先に、どんなに怖い人が待っているんだろう?
とりあえず、先へ進むしかない!
コン!コン!
おそるおそるドアを叩きます。
奥の方から、大きくて明るい声が聞こえました。
「Please come in!」(入ってきてください)
僕は、無理矢理笑顔を作ってドアを開けました。
すると、予想外の光景が目に飛び込んできました。
面接官登場!
濃いブラウンの大きな机と、黒い革張りの重厚な作りのイスに、小柄なアジア人女性が座っていました。
若く見えます。20代後半~30代前半くらいでしょうか。
さっきの受付女性とは、受ける雰囲気がまったく違います。その面接官の女性は、やさしい笑顔で僕の方を見つめています。
面接官「さあ、座ってください。」
僕「あ、ありがとうございます。」
面接官「緊張してますか?」
僕「え、えぇ、まあ・・・」
面接官「ですよね~!まあ、緊張するなって言っても無理だろうけど、できるだけリラックスしてね。」
僕「あ、はい!ありがごとうございます!」
面接官はしゃべり方がすごく明るくてフランクな感じです。ほっとしました。
面接官「私の名前はサラ。生まれは韓国よ。本当の名前はサラじゃないけど、韓国名の発音はむずかしいでしょ?だから、ここではみんなにサラって呼んでもらってるわ。」
僕「あ、はい!サラさんですね!」
サラ「私は、この会社のマーケティング部長をしているの。だから、もしあなたがここで働くことになったら、私の下で働いてもらうことになるわ。」
僕「そうなんですね!」
(スゲー!この若さで部長なんだ!あぁ、この人の下で働くなら、いいなぁ・・・この明るくて気取らない雰囲気は最高だ!)
サラ「あなたの仕事の経歴は全部見させてもらったわ。かなり職業経験が豊富なようね。管理職もやってたのね。」
僕「いえ、管理職と言ってもそんなに・・・(あっ!!やべ!)あ、はい!管理職を7年間やっておりました!」
(危ないところだった!つい日本の「謙譲の美徳」を出してしまうところだった!控えめな姿勢はここカナダでは通用しないぞ!単に自己イメージの低い奴っていうマイナスのレッテルを貼られてしまう!)
僕は気を取り直して、自分のキャリアに対して前向きな発言を繰り返しました。
練習の「型」
僕がしゃべった内容は、練習どおりでした。
「自分のこれまでの業績と今の能力&これから貢献できること」
をサラに話してみました。カバーレターに書いた内容と同じです。
サラは、ニコニコしながらそれを聞いていました。サラは大きなリアクションであいずちを打ってくれるので、僕もテンポよく話を進めることができました。
ひととおり僕の話を聞いたあと、サラが話し始めました。
サラ「もう知ってると思うけど、この会社はまだ始まったばかりで、これからいかにお客さんである生徒を集めていくかが重要課題なの。」
僕「はい!」
サラ「私たちマーケティング部の働き次第で、この会社の未来が決まるわ。」
僕「そうですよね!スゴい重要な仕事ですよね!」
サラ「あなたにはぜひ、うちのチームに加わって助けてほしいと思ってる。1ヶ月間という短い間でも、やってもらいたいことはたくさんあるわ。」
(おっ!この流れはもしや・・・合格か?)
僕「はい!ぜひ!やらせてください!」
サラ「じゃあ、決まりね!来月の1日から出勤できる?」
僕「はい!できます!」
不安を告白
僕らはその後しばらく話をした後、サラが締めの言葉に入りました。
サラ「OK!最後に何か質問ある?」
僕はここでポジティブなまま終わらせるつもりでしたが、サラのフレンドリーな雰囲気に安心して、不安を言って見ることにしました。
僕「あの・・・僕はマーケティングの経験がゼロなんですが・・・未経験の自分がチームに加わって大丈夫なんでしょうか?」
サラ「大丈夫よ!私だって、最初はマーケティング未経験だったのよ。でもね、やり始めたらなんとかなったわ。そんな私でもこうしてマーケティング部長になれたんだから、あなたもきっと大丈夫。」
僕「そうなんですね!それを聞いて安心しました!日本では、経験のない職種に転職するのはすごく難しいので・・・」
サラ「知ってる!韓国も同じ。でもね、ここはカナダよ。日本や韓国よりもずっと自由に新しいことにチャレンジしやすい文化があるわ。」
僕「そうですか!それはいいですね!」
サラ「まあ、リラックスして楽しみましょ!じゃあ、入社の書類を学校を通して送っとくから、後で記入して入社日に持ってきてね。」
僕「はい!わかりました!」
あぁ、聞いてみてよかった!!前半は学校で教わった通りの「強気な発言」ばかりしてきましたが、本当は自信がありませんでした。
(こんなデカいこと言って、実際に自分にできるのか?)・・・と。
でも、正直に感じている不安を言っても雇ってもらえることがわかり、すごく安心しました。
ウキウキ気分
サラの部屋を出たあと、僕はとても気分が良くなっていました。
さっきまでの緊張は、どこかへ飛んでいってしまい、リラックスしていました。
きっと苦労するだろうと思っていたカナダでの就活が、一発目であっさり決まってしまった・・・なんだから信じられない感覚です。
受付に戻ると、さっきの怖い金髪女性がいました。
あぁ~、この受付女性が面接官じゃなくて良かった!!
そう思いながら、僕はその受付女性に明るくあいさつをしてから、ビルを出ました。
改めてビルを振り返ってみました。来月からこのビルが、自分の職場になるのかぁ!!なんだか想像できないな!
僕はウキウキと帰り道をスキップしたい気分でメトロタウンを後にしました・・・
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(英語の達人養成ジム 師範代)
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