from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
前回の記事までは、英語のリスニングが難しい理由を詳しくお伝えしました。
リスニングの内容を理解するためには、
・6つものステップを通る必要があること。
・相手が滑舌良く発音してくれるかどうか?自分が分かるボキャの範囲内で相手が話してくれるかどうか?相手の話すスピードが速すぎないか?など、「相手依存」になってしまい、自分でコントロールできる要素が少ないこと。
という2つが、リスニングを難しく感じさせています。
では、スピーキングはどうか?というと、これもまた難しいのです。
スピーキングはリスニングと違い、自分のペースで話すことができます。
一方で、「脳内の負荷」で言うと、スピーキングの方が大きいと思われます。
スピーキングをしている時には、このようなステップを踏みます。
①頭の中で話したい内容を思い浮かべる。(日本語で思い浮かぶ)
②思い浮かんだ内容を、文章化する。(脳内にあるボキャ&文法データをフル回転させる)
③声に出してしゃべる。(相手に通じる発音スキルが必要)
ステップ的には3つなので、シンプルに見えます。
リスニングを理解する6ステップに比べたら、自分でコントロールできる要素が大きいです。
でも、実際にやってみると、とても負荷が高いのです。
特に、②の部分がすごくキツいです。
頭の中に思い浮かんだ内容を英語にする時には、自分がこれまで積み上げてきたボキャや文法のスキルを瞬時に引き出す必要があります。
この時に、必要な英単語や文法が、なかなか出て来ないことがあるのです。
後になって冷静に考えたら、「なんでこんなカンタンな英単語や文法が出て来なかったんだ!」と思うような英文でも、英会話をしている最中には出て来ないことがよくあります。
その理由は、①と②を同時に行っているからです。
英会話の最中には、①の部分が先行します。
「あ!これを言いたい!この内容を伝えたい!」
という気持ちがふくらみます。
その流れで、英文を組み立てる作業に入るのです。
この時に、言いたい内容が頭の中に渦巻いている状態で、同時進行で脳をフル回転させて、自分の中にあるボキャや文法のストックにアクセスします。
話したい内容の思い入れが強い時ほど、英語が口から出て来ない
これは僕が今で英会話を続ける中で実感していることですが、ステップ①で話したい内容が思い浮かんだ時に、その内容に対する思い入れが強い時ほど、英語が口から出て来なくなります。
「あー!それね!教えてあげたい!!これを伝えたい!!」
「そうそう!そうなんだよ!!めっちゃ共感する!それを伝えたい!!」
「あっ!それは自分も最近感じた!まさに!!この思いを伝えたい!!」
というような時ほど、英語が口から出て来なくなるのです。
英単語もなかなか出て来なくなり、文法もメチャクチャになりがちです。
「え~っと、あれは英語で何て言うんだっけ?あ~日本語しか出て来ない!前に英単語帳でやったのになぁ!なんでこのタイミングで忘れるんだ!今こそ必要な時だろ!!くそぉ~!!
うっ・・・先生が待っている・・・沈黙がきまずくなってきた・・・え~っと、まあ、いいや!とりあえずこの英単語で代用しよう。
あ、なんだか文法がめちゃくちゃになってきた・・・英単語を並べるだけになってる。それでも先生は理解してくれている。でも、自分的には納得できないな・・・」
なんて経験をしたことがある人は多いはずです。
僕もやり直し英語を始めて以来、これまで何百回、何千回もこの状況を経験してきました。
これはおそらく、話したい内容への思い入れが強いのが原因です。
「これを話したい!伝えたい!」
と思えば思うほど、脳のリソースが「内容を考える方」に割かれてしまいます。
そして、英文を作るためのリソースが不足してしまうのです。
「街を歩いていて、外国人に突然話しかけられた時に満足に話せなかった」
という経験をする人は多いですが、これはおそらく英語力そのものの問題というより、その瞬間の脳のリソースが足りていないのが主な原因です。
心の準備ができていない時に突然英語で話しかけられると、焦ってしまいます。
そして「話す内容」を思い浮かべることに脳のリソースが多く割かれてしまうのです。
その結果、英語のボキャや文法の知識を引き出す力が弱くなって、「言いたいことが口から出て来ない」という現象が起こります。
・・・つづく。
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まさに自分の事だ!と思って胸読みました。汗。Shinyaさんや流暢な人をみると、羨ましいし、自分の駄目さに落ち込みますが、皆んな、沢山、こんな経験をして、乗り越えてきたんですね。語学を学ぶって、やっぱり大変な事なんですね。でも、少しでも、話せる様に頑張ります。
上級者はあまりこういう事を言わない(苦労を忘れてしまったか、恥ずかしいか)ので、ぶっちゃけてみました。
海外で生まれ育った完全バイリンガルでない限りは、みんなこの苦労を乗り越えているはずです。
「最初に思っていたよりも、時間と労力がかかる」というのが、中上級者みんなが口を揃えて言う意見です。
Shinya さんのぶっちゃけに。救われます。感謝です。音読したは、瞬作したら、いつでも、どこでも、ペラペラにならないのは、センスないんじゃないかと、思って落ち込む事がありましたから。いつも、Shinyaさんの言葉で、モチベーションが上がります。ありがとうございます