From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
ジェフの実家の2階の部屋で朝目覚めた僕は、一階がすでに騒がしくなっていることに気づきました。
もう、みんな起きているようです。
さっそく着替えて下に降りると、朝食が始まろうとしているところでした。
「Good morning!」
と元気よくあいさつすると、みんな笑顔で返してくれました。
パンやスクランブルエッグ、ミルクやシリアルなどがテーブルの上にところ狭しと並んでいます。
きっと、ジェフの両親にとっては、子供達が久しぶりに帰ってきたのでたくさん料理を用意しているに違いありません。
今回亡くなった親戚は、もうだいぶ高齢だったようで、突然亡くなったとかいうわけでもなく、予想の範囲内だったようです。
特に悲しいムードは漂っていません。
僕は今まで、バンクーバーでホストファミリーと一緒に暮らしていましたが、ホストファーザーとマザーの間には子供はいなかったので、基本は3人で食卓を囲んでいました。
ホストブラザー
正確には、台湾から来た18歳のホストブラザーが同じ家にいたのですが、彼はちょうど反抗期の年頃でした。
心配してあれこれ口出しするホストマザーを嫌って、ほとんど顔を合わせないようにしているようでした。
彼は朝早く家を出て学校へ向かい、放課後は外で友達と遊んで、夜中に帰ってくるような生活をしていたので、僕が彼と顔を合わせたのは3ヶ月中、最初と最後だけでした。
そんな感じだったので、こうして一家5人でテーブルを囲むシーンを見たのは初めてでした。
なんとなく、アメリカのドラマや映画などのイメージで、
「明るくワイワイしゃべりながら、ジョークを言い合って笑い合う」
みたいなシーンを想像していましたが、そうでもありません。
みんな淡々とご飯を食べています。
男性陣3人(僕含めて4人)は、しゃべらずにひたすら食べている感じで、女性陣2人は、たまに話す程度です。
僕の日本の実家での風景とそんなに変わりません。
(そうか、やっぱりあの賑やかでジョークばっかり言い合う家族像は、ドラマの世界の作り物だったのか。
こうやって見ると、国や文化を問わずに、家族の食卓ってそんなに変わらないな。)
と内心、彼らに親近感を感じていました。
みんな外出
朝食が終わると、みんな葬儀に行くために、喪服っぽいフォーマル服に着替え始めました。
僕は家の中で留守番していればいいのかな?と思ってジェフに聞いてみました。
そしたら、意外な答えが返ってきました。
ジェフ:「あぁ、シンヤは自由にしてていいよ。せっかくだから、この辺を散歩してみたら?まあ、田舎だからそんなに見る物もないけどね。」
僕:「え?でも俺、家のカギ持ってないよ?」
ジェフ:「大丈夫。カギはかけなくてOK。」
僕:「え??マジ?」
ジェフ:「マジ。心配いらないよ。ここら辺は田舎だから安全さ。」
僕:「え~!!そうなの?」
ジェフ:「うん、だって、隣の家からは距離があるし、家の周りは隠れる場所が何もないから、もし不審者がうろちょろしてたら目立つしね。
それに、ここは田舎で近所の人たちはみんな知り合いだから、俺の家から何を盗もうとする人もいない。この辺は都市部に比べて犯罪は起きにくいよ。」
僕:「へぇ~!」
僕は驚きました。てっきり、
「外国は危ない」
「日本は世界一安全な国だから、外では気を抜いてはいけない!」
と思っていたのに、ドアを開けっ放しで一家全員外出するなんて、しかもまだ良く知らない部外者の外国人の僕をひとり置いて・・・
なんて平和なエリアなんだ!!
どうして外国人の僕をそこまで信用してくれるんだ?
日本だったら、外国人がここまで信用されるなんてことは、まずないでしょう。
外を散策
せっかくなので、僕は外を歩いてみることにしました。
バンクーバーの街並みとは全く違う光景が目に飛び込んできます。
見渡す限り、緑の芝生!芝生!芝生!
どの家も、広大な芝生エリアの真ん中に、大きな家がドーン!と建っている感じです。
クルマ用の道路から家まではだいぶ離れているので、騒音問題もなさそうです。
それに、そもそも車道をクルマがほとんど通りません。
人ともすれ違いません。
人口が少ないのでしょうか?
平日だからかもしれません。
この広い土地を、独り占めしたような気分になってきます。
小さな公園が見えました。めちゃくちゃ広いです!
公園だと思ったら・・・
白いブランコが見えます。
よし!あれに乗ってやろう!誰も見てないんだし!
そう思って近づいたら、近くに家が見えました。
あれ?
もしや!!
これは・・・
庭だ!!
僕が小さな公園だと思っていたのは、近所の家の裏庭でした。
そういえば、ジェフの家の裏にもトランポリンが置いてあったのを思い出しました。
なんてスケールがデカいんだ!!
これだけのデカさの庭があれば、ブランコやら滑り台やらゴム製プールやらを置いて、ちょっとした「ミニ遊園地」を作れそうです。
このスケール感は、本当に異国情緒を感じるポイントです!
この光景は、都会や観光地では見られません。
僕は、さらに色々と見てみたくなりました。
・・・つづく。
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