【トロントからのドキドキ電話】

From  師範代Shinya(新村真也)

(※僕がカナダにビジネス留学していた頃の体験談の続きです)

(→前回のつづき)

 

僕は、トロント在住のカナダ人、ジェフの電話を待っていました。

 

ジェフは、僕が日本で通っていた英会話スクールの先生のオーストラリア人、サラの友達で、サラがジェフに僕を紹介してくれました。

 

僕は、バンクーバーでの3ヶ月間のビジネス留学を終えた後、1週間くらいひとり旅をすることにしていました。

 

ジェフは、僕をトロントの家に泊めてくれると言ってくれたのです。

 

1度だけやりとりしたメールでは、

 

「○○日の○○時頃に電話かけるから、よろしく!」

 

みたいな感じで書かれてました。

 

なぜ電話なのか?

そもそも、なぜ僕とジェフがメールではなく電話で話すことになったか?

 

というと、それには緊急の理由がありました。

 

僕がトロントに到着する予定の日に、ちょうどジェフが自宅にいない可能性が出てきたからなのです!

 

どうやら最近、ジェフの親戚が亡くなったらしく、ちょうど葬儀がその日に重なる可能性が出てきたから、ということでした。

 

僕は、飛行機のフライトの予定を変更して、むこうに行く日を1日ずらすことを考えましたが、ジェフはこんなことをメールに書いてきたのです。

 

「俺がいなくても家に入れるようにしておくから、心配いらないよ。」

 

え??どうやって??しかも、僕がむこうに到着するのは夜の9時頃です。

 

ジェフのメールは続きます。

 

「家の玄関の鍵がプッシュダイアル式なんだけど、それをシンヤに教えるから、着いたらその番号押して中に入って、その日は家で寝てくれ。」

 

えぇーーーー!!マジすか??

 

一度も会ったこともない僕を、家に泊めるだけでなく、自分がいない日に玄関の鍵を開ける秘密の番号を教えるとは!!

 

メールは続きます。

 

「でも、その番号をメールに書いて送るのは、セキュリティー面で危険だから、直接電話して口で伝えるよ。」

 

それが、ジェフがメールではなく電話をかけてくる理由なのです!

 

電話が来た!

ついに、僕の携帯電話が鳴りました。知らない番号が表示されています。ジェフからに違いありません。

 

仕事でも毎回そうなのですが、英語の電話を受ける時には、緊張します。

 

僕は、おそるおそる電話に出ました。

 

僕:「Hello…」

 

ジェフ:「Hi, this is Jef.」

 

僕:「Hey! Jef!」

 

その後、僕らは手短にあいさつをして、僕は今回の件に関してお礼を言いました。

 

会話の中で、ジェフは僕と同い年だということが判明しました。

 

それを知ってから、お互いにちょっと親近感がアップした感じがしました。

 

そして、ジェフが電話ごしに言いました。

 

ジェフ:「じゃあ、俺の家の鍵番号を言うから、メモしてくれる?」

 

僕:「了解!」

 

ジェフ:「○○○、○○○、○○○だよ。」

 

僕:「ありがとう!」

 

ジェフ:「俺がその日に家にいないことは確定したから、申し訳ないけど、一人で入っててくれ。

 

たぶん、次の日の朝には一度帰ってこれると思う。そこでまた話そう。

 

空港からは、タクシーに乗って俺の家の住所を伝えてくれ。住所はまた後でメールするよ。」

 

僕:「うん!ありがとう!」

 

ジェフ:「ところで、住所だけでは同じ場所に同じような色の家が並んでいるから、探すのが難しいかもしれない。

 

わかりやすくするために、俺の家の玄関のドアに、風船をくくりつけておくよ。そうすれば、間違いなく見つけられるでしょ?」

 

僕:「おぉ!それはナイスアイデアだね!風船が玄関にある家は他になさそうだしね。」

 

ジェフ:「あともうひとつ目印は、俺の家の右隣の家には変わった人が住んでて、庭と外のカベに変な装飾がいっぱいしてあるから、たぶんわかりやすいと思う。」

 

僕:「了解!右隣が変な家ね!」

 

そんなやりとりをした後、僕らは電話を切りました。

 

信頼の文化

僕はこのとき、本当に驚きました!!

 

なぜ、こんなに僕を信用してくれるんだろう?

 

いくら友達の友達とはいえ、一度も会ったことはありません。

 

なぜ、あかの他人で、しかも外国人の僕に、自宅玄関を開ける鍵の番号を教えてくれるんだろう?

 

これが日本だったら、きっとあり得ないでしょう。

 

日本文化では、常に「リスク」を重視します。

 

他人を家に泊めるとなると、「危険な要素」ばかりに目がいくはずです。

 

しかも、「外国人は危ない(怖い)」といった偏見もあります。

 

日本は世界トップレベルで安全な国ですが、それでも知らない人(特に外国人)に対しては常に警戒心を抱きます。

 

日本人が海外に行くと、よく「ホームステイ」をします。

 

でも、日本では外国人をホームステイさせるのはあまり一般的ではありません。

 

単に家が小さくて狭いという物理的な理由だけでなく、日本では「自宅には家族か親しい友人しか入れない」という、文化的な側面があるのかもしれません。

 

欧米文化

それにしても、今回のジェフの寛大な対応は驚きです!!

 

なんということだ!これが欧米文化か!!それともジェフ自身の人柄か?

 

たぶん、どちらもあると思いますが、僕はここでもまた大きなカルチャーショックを受けました。

 

・・・つづく。

 
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