【おごる平家は久しからず②】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
※僕が英検1級にトライして合格した後のストーリーの続きです。
 
(→前回のつづき)
 
英検1級に合格してすぐに申し込んだTOEICテストの本番の日がやってきました。
 
 
僕は、自信に満ちあふれていました。
 
 
「TOEICで出てくるボキャブラリーの2倍の英単語力を手に入れた自分にとっては、満点は必ず取れる!!」
 
 
と思っていたのです。
 
 
ただ、同時にプレッシャーもありました。周りの人たちに「今度は満点取りますよ!」と言いふらしていたからです。
 
 
そして、周りの人たちも、僕が満点を取ることを信じて疑わない様子でした。
 
 
この時の僕は、自分も他人も「満点を取って当たり前」と思っている状態で本番に臨んだのです。
 
 
これは一見、精神的に有利に見えますが、実はそうではありませんでした。
 
 
それは、本番が始まってから痛感しました。本番には「魔物」が住んでいたのです!
 
 

魔の本番スタート!!

テストが始まりました。いつも通り、リスニングのパート1は楽勝で答えられました。
 
 
改めて聞いてみると、パート1はなんともシンプルでカンタンな文章です。僕は、自分の答えに絶対の自信を持っていました。
 
 
間違えようがないくらい、ハッキリとクリアに聞こえました。
 
 
そして、パート2に入りました。パート2も楽勝の予感がしました。
 
 
ところが、このパート2に魔物が住んでいたのです!!
 
 
この時の「魔の問題」は、今でもハッキリ覚えています。
 
 
それは、5問目くらいに差し掛かった時でした。
 
 
イギリス人女性の声で、
 
 
Wh~ did you park your car?
 
 
という質問が聞こえました。この一番最初のWh語が、僕の耳にはハッキリと聞こえませんでした。
 
 
僕は、TOEICの声優さんの中で、一番苦手なのが、実はこのイギリス人女性です。しゃべるスピード自体はゆっくりなのですが、けっこうなまりが強くて、聞き取りづらいのです。
 
 
僕は自分が北米の発音をベースにトレーニングしてきているので、イギリスの発音が苦手でした。
 
 
TOEICのパート2では、最初のWh語を聞き取れないのは致命的です!
 
 
でも、僕はまだ落ち着いていました。
 
 
 

常套手段

というのも、僕は当時、英会話スクールでTOEICの「戦略コース」を教えていました。そこでさんざん口を酸っぱくして言っていた戦略がありました。
 
 
それは、「パート2で最初のWh語を聞き逃しても、慌ててはいけない」というものです。
 
 
「もし聞き逃しても、文脈から可能性を絞り込んで、さらに答えの選択肢をしっかり聞き取れば、必ずひとつに絞れる。だから、慌ててはいけない。」
 
 
というものです。僕は、その戦略を、今こそ自分自身に応用する時が来た!と思いました。
 
 
フッフッフッ!俺様は英語力を上げただけではないのだ!TOEICで勝つ戦略もちゃんと心得ているのだ!
 
 
さぁ来い!TOEICよ!!返り討ちにしてやる!!
 
 

文脈から考えた可能性

Wh~ did you park your car?
 
(あなたは~自分のクルマをとめたのですか?)
 
この文脈から考えられるのは、
 
 
どこに?(Where?)
 
 
いつ?(When?)
 
 
の2択です。
 
 
つまり、3択の答えの中から、場所か時間を答える文章を選べば良いのです。
 
 
さすがに、場所を答える文章と時間を答える文章の両方が選択肢に出てくることは考えられません。
 
 
僕は、落ち着いて答える準備をしました。
 
 
 

魔物、発動!!

ところが!!次の瞬間!!僕は自分の耳を疑いました。
 
答えの3択が流れたのですが、
 
 
A: Near the park.(公園のそばです)
 
 
B: Arond 3:00.(3時頃です)
 
 
という選択肢だったのです!!
 
まさかの!!場所と時間、両方を答えてきたのです!!
 
 
3つ目のCの選択肢は、明らかに違うのが分かりましたが、AかBかを特定できませんでした。
 
 
な、なにぃーーーーー!!そんな!!そんなバカなぁーーーーーーーーーー!!
 
 
僕は動揺して、急に手が汗ばんできました。
 
 
心臓がドキドキして、うろたえているのが自分でも分かります。
 
 
その時、僕の心に鳴り響いてきた声は、こんなセリフでした。
 
 
「何をやっているんだ!こんなところでつまずいて、どうする?まだ始まったばかりだぞ!こんなカンタンな問題でつまずいているようじゃ、この先が思いやられるぞ!
 
 
俺は満点を取らなければならないんだ!満点を取るためには、1問もミスしてはならない!こんな凡ミスは許されない!何をやっているだ!気を抜くな!バカヤロ-!!」
 
 
この声は、明らかに自分で自分を責める声でした。
 
 
「ミスを許さない完璧主義の自分」が、「あわてふためている自分」を叱りつける声でした。
 
 
困ったことに、この「お叱りの声」は、ただ責めるばかりで、解決策を提示してはくれませんでした。
 
 
これじゃあ、とんだ迷惑です!!慌てている自分の心をさんざんかき乱しておいて、解決策をくれないのです!何の役にも立ちません。
 
 
ところが、このパート2の問題は、今回のテストの魔物の中のほんの一部に過ぎませんでした。
 
 
・・・つづく。
 
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