From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕が英会話スクール講師に転職してからの体験談です)
(→前回のつづき)
イメージ英文法を使って高校生の受験生に英語を教えるレッスンを始めてからしばらく経った頃のこと。
毎回のレッスンで、次々と「従来の文法ルール」をひっくり返していく僕のスタイルに、高校生のMさんは面白がるようになっていました。
僕が「学校では、これを○○というルールで習いますが・・・実はこれは、ウソです!」
と言うと、Mさんは、
「うわっ!出た!」
と言いながら笑います。
そして、僕の講義をニヤニヤしながら聞く・・・というパターンになっていました。
レッスン自体は僕にとっても生徒にとっても楽しく、今までとは違った視点で英語を見られるようになっているようでした。
でも、僕には心配事がありました。
それは、
「この教え方で、果たして本当に志望校の合格に導けるのか?」
というものです。
たしかに、Mさんの中での英文法に対する堅苦しいイメージはだいぶ取れた感じになってきたし、英語を楽しんでいるのが伝わってきます。
でも、最終目標は、紙のテスト上で良い点を取ることです。
そのためには、塾みたく問題をひたすらカリカリと解かせる方が効率が良いのかも知れません。
僕の教える方法は、「今後もずっと会話で使える実用英文法」がコンセプトなので、受験生にとっては遠回りに見えます。
でも、これ以外の方法で教えることは、僕にはできないし、やりたくもありませんでした。
始めての受験生
Mさんは、僕にとって初めて教える高校生の受験生でした。
志望校は、けっこう上のランクです。
受験の本番が終わり、結果が出るまでドキドキしていると、本人から報告がありました。
「シンヤ先生!受かりましたよ!ありがとうございます!」
おぉっ!!受かったか!!良かったぁ~!!
このとき、僕は初めて「自分の教えた高校生が受験で合格する」という経験をしました。
それまで大人をメインで教えてきましたが、学生を教えて成果が出るのは、また違った嬉しさを感じました。
後日談
先日、僕が友達と一緒にファミレスでご飯を食べていたら、通路をはさんで正面に座っていたカップルの女性の方が、僕に向かって歩いてきました。
スーツを着てマスクをしていたので、まったく誰か分かりませんでしたが、その女性はまっすぐ僕の方に向かってきて立ち止まると、大きな声で言いました。
「シンヤ先生ですよね?私です!Mです!覚えていますか?」
そう言いながら、マスクを取りました。
「おぉ!!マジで?!懐かしい!!久しぶりだね!」
Mさんは僕が教えていた当時は18才でしたが、今は大学を卒業して、立派な社会人になっていました。
Mさん:「高校生の頃は、本当にお世話になりました。」
僕:「いやいや、こちらこそ!俺にとっても良い経験をさせてもらったよ。」
Mさん:「私、営業の仕事をしながら、今でも英語も続けてます。休日は英語を教える仕事もしているんですよ。」
そう嬉しそうに言うMさんの表情は、高校生の頃とまったく変わっていませんでした。
記憶に残る喜び
何より嬉しかったのは、Mさんが僕のことを覚えていてくれたことでした。
きっと、Mさんが英語学習を続けている限り、高校生の頃に通っていた英会話スクールの思い出は消えないことでしょう。
そして、その中に僕も入っているのは、とても嬉しいことです。
教えることで、感謝され、そしてその人の青春の記憶の中に、ずっと残り続けることができる・・・
おそらく、学校の先生や塾の先生にとって、こういう部分が仕事のやりがいにつながっているのかな・・・と思いました。
と同時に、もし僕が28才の時に英語学習を始めていなかったら、今この仕事に就いて、こんな体験をすることもなかっただろうな、と思いました。
受験もけっこう面白い
話を過去に戻します。Mさんを教えた体験から、僕は受験生を教えることに対する恐怖や抵抗感がなくなっていきました。
そして、その後も受験生を教えることがチョコチョコありました。
高校生だけではなく、大学生を教えることもありました。
地元の大学から、東京の大学に編入したいという生徒を担当したこともありました。
予備校ではなく英会話スクールに来るくらいなので、行きたい先は、英語に力を入れている大学でした。
高校生や大学生の受験対策クラスを受け持つ時には、僕は自分のスタイルを貫きました。
「イメージ英文法を使ったネイティブ感覚」
「僕自身が実用英語を身につけるまでの体験談」
「英語を使って世界がどんなに広がるか?」
など、学校では教えてくれなさそうなことを中心にレッスンをしました。
その結果、僕の担当生徒全員とは言いませんが、かなりの高確率でが志望校に合格したり、編入に成功しました。
これは、すごく面白い経験でした。
経験ゼロでも教えられる
もちろん、僕の職場は塾ではないので、高校生や大学生の数はそんなに多くありません。
少ない母数だからこそ、エネルギーを注げたのかもしれません。
とはいえ、受験経験ゼロの高卒の僕が、受験生や大学生の志望校合格のサポートをできたことは、大きな自信につながりました。
僕はこの体験を通して、貴重な学びを得ました。
「自分が経験したことがなくても、教え方を研究して、情熱を持ってやれば、相手が望む結果に導ける」
ということです。
よく、名プレーヤーが名コーチになれるとは限らない、という話を聞きますが、逆もまたしかりです。
名コーチが、必ずしも名プレーヤーだったわけではありません。
教え方の上手なコーチは、教え方を研究した人です。
僕は、英語が好きなことは間違いありませんが、ぶっちゃけ、英語じゃなくても人に何かを教えている時は楽しいです。
今でも自分で英語を勉強していて新しい発見があった時には、
「これをどうやって自分の生徒さんに分かりやすく伝えようか?」
を無意識に考え出してしまいます。
僕はおそらく、「教えること自体」が好きなタイプなんだと思います。
それに気づかせてくれたきっかけは、「自分が興味ないものを教える」初めての経験となった、あの時の受験対策レッスンでした。
・・・つづく。
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