【カナダの「デキる人」の生活スタイル】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
クラスルーム内には緊張感が漂っています。予定時間きっかりに、クラスルームのドアが開きました。
 
仕立ての良い青いスーツに身を包んだ白人男性が、さっそうと部屋に入ってきました。
 
短い金髪に、青い目。細身のスーツが似合う絞られた身体。ピンと伸びた背筋。さっそうとした歩き方。
 
いかにも「デキる男」という典型的なイメージです。
 
そして、見た目が若いです!
 
僕のこれまでの経験では、白人男性は日本人の目には、見た目年齢が上に見えることが多いのですが、今回の人は、見た目は20代に見えます。
 
先生が彼の紹介をしました。30代という若さで、バンクーバーの大企業のCEO(最高経営責任者)に上り詰めた、「デキる男」です。
 
僕の留学先の学校のビジネスコースには、実業界で活躍する人たちと直接対談できるというコーナーがあります。
 
ひとり目は、バンクーバーでコーヒーチェーン店を展開している起業家でした。
 
そして今回は、バンクーバー内で最も成功している企業のひとつと言われている、貿易会社のトップに立っている人です。
 
企業の昇進のハシゴを最短ルートでトップまで上り詰めた、30代の若きCEO。
 
そんな人が、僕らのクラスルームに来て講演&質疑応答をしてくれるのです!!
 
僕らは大きな拍手をしました。
 
そのCEOは僕らをゆっくりと見渡したあと、口を開きました。
 
「聞き取りやすい!!」
 
それが僕の第一印象です。
 
彼の話す英語は、ハッキリ&クッキリ発音で、僕の耳にもすごく聞きやすいものでした。
 
話すペースも速すぎず、理解しやすいです。
 
きっと、大企業の昇進のハシゴを登るには、聞きやすいスピーチ能力も重要なスキルのうちのひとつなのでしょう。
 
 
 

驚きのライフスタイル

僕がそのCEOの話の中で一番興味を引かれたのは、ライフスタイルでした。
 
なんと!彼は1日8時間以上は絶対に働かないというのです!家に仕事を持ち帰りません。アフター5は家族と過ごす時間と決めているそうです。
 
休みも、週休2日は必ず取っています。休みの日には、よほどの緊急事態でない限りは、仕事の電話をかけてこないように部下に言ってあるそうです。
 
さらに年に2回、奥さんと子供を連れて2週間のバカンスを海外で楽しむとのことでした。
 
これがもし、典型的な日本のCEOだったら、自分がこれまでいかに仕事に身も心も捧げてきたかを、自慢げに語ることでしょう。
 
いかに自分が休みなく長時間働いてきたか、いかにプライベートの時間を削って会社に身を捧げてきたかを語ると思います。
 
そして最後には、
 
「私もこんなに長時間仕事に人生を捧げてきたのだから、君たちも成功したかったら甘ったれたこと言ってないで仕事に人生を捧げる覚悟を決めなさい。」
 
みたいなニュアンスのことを言うかもしれません。
 
でも、このCEOは真逆のことを言っています。
 
 
 

僕がカナダに来た目的

僕は留学前まではジーンズショップの店長をしていました。12時間労働や深夜残業、休日出勤も当たり前のようにありました。
 
年齢を重ねても、いっこうにラクになる気配はありません。僕は次第にそんな働き方に疑問を持つようになりました。
 
だから、西洋の
 
「サービス残業や休日出勤なしでも、ちゃんと給料がもらえて生きていける世界」
 
を経験してみたい!というのも、目的にありました。
 
そんな理由があったので、僕はこのCEOの話にすごく興味を引かれました。
 
 

質疑応答タイム

最後の質疑応答タイムに入ると、僕は真っ先に手を挙げました。
 
僕は彼が日本の労働文化の違いについてどう思うか、どうしても聞いてみたくなったからです。
 
誰よりも早く手を挙げた僕は、一番に指されました。
 
そこで、思い切って聞いてみました。
 
僕:「僕は日本から来ました。日本ではまだ、サービス残業や休日出勤をして長時間働くことが自分のキャリアの成功につながると信じている人が多いです。
 
また、上司が部下にそういう働き方を強要することもよくあります。これについて、あなたはどう思いますか?」
 
彼:「そうなんですね。たしかに日本では長時間労働が良いとされる文化がある、と聞いたことがあります。実際、日本はそのやり方で世界第2位の経済大国まで上り詰めたので、それを否定するつもりはありません。」
 
僕:「でも、あなたのように1日8時間しか働かないと決めて、それを守りながら成果を出すこともできるわけですよね。」
 
彼:「はい。カナダの文化の中では、長時間労働は能力の低い人のすること、というふうに考えられています。全員平等に与えられた8時間という制限の中で、いかに効率よく成果を出すか?それができる人が有能だと判断されます。」
 
僕:「なるほど!」
 
彼:「人より2倍長く働いて、2倍の成果を出しても、何の自慢にもなりません。それは当たり前だからです。それに、2倍長く働いたら、途中で集中力が切れるので、実際には1.5倍くらいしか成果は出ないでしょう。」
 
僕:「たしかに。」
 
彼:「大事なのは集中力です。いかに集中して働けたか?それがすべてです。そして、集中力は1日8時間以上使うことはできません。人間には休息が必要です。」
 
僕:「そうですよね。でも、どうやったら1日8時間しか働かずに、人より多くの成果を出せるんですか?」
 
彼:「そうですね。これは、目的意識の違いだと思います。私は今まで、どうやったら1日8時間の中で人より多くの成果を出せるか?という質問を自分自身に投げかけ続けてきました。そして、その答えを考え続けたのです。
 
たとえば今日仕事が残ってしまったら、それを残業して片づけようとするのではなく、どうして仕事が残ってしまったのか?今日のスケジュールに無理があったのでは?もっといいやり方があったのでは?と原因を分析します。
 
次に、どうすればまた同じことが起こるのを防げるか?を考えます。
 
最後に、この残ってしまった仕事を、どうやって明日の仕事時間8時間の中で片づけられるだろう?と自分に問いかけるようにします。そうすると、自然に答えは出ます。
 
それを繰り返しながら働き方を改善していくうちに、どんどん効率が良くなってきます。」
 
僕:「なるほど!スゴいですね!じゃあ、せっかく効率が良くなっても、もし自分の周りの同僚や上司が長時間労働を強要してきたら、どうすればいいのでしょう?」
 
彼:「もし私がその環境に身を置いたら、おそらく私は今日中にその会社を去るでしょう。
 
そういう考えを持った人たちに囲まれていては、生産性は上がりません。周りの人たちの考えを無理に変えようとするより、自分と考え方の合う人たちの中に身を置く方がずっとラクで確実です。
 
 
変えられない他人の言動をあれこれ批判しているヒマがあったら、自分のできることにフォーカスして行動した方が、早く目標に近づけます。
 
あなたが今いる環境は、あなたが自分で決断した結果手に入れたものです。だから、周りの人たちがあなたの足を引っ張るようなら、それはその職場で働くことを選んだあなた自身の責任でもあるのです。今もその職場から離れないという選択をしているのも、あなた自身です。」
 
僕:「なるほど。でも、日本では転職しても、どこの会社も似たり寄ったりなところがあると思います。」
 
彼:「そうなんですね。きっとそれは、文化的なもののかもしれませんね。もし、あなたが僕のようなライフスタイルを目指すなら、今のあなたに取れる選択肢は3つあります。
 
一つ目は、自分が入った会社でトップに上り詰めてから、自分の影響力を使って社内の働き方のルールを変えてしまうこと。
 
二つ目は、自分が理想とする会社をゼロから自分で作ること。
 
三つ目は、カナダに移住すること。
 
おそらく、あなたにとって一番手っ取り早いのは三つ目ですよ。今ここに住んでいるわけですから、明日から仕事を見つけて働いてみることです。カナダでは、すでに残業しない文化が根づいていますからね。
 
でも、どの選択肢もあなたなら実行可能です。
 
あなたは西洋のビジネス文化を学ぶためにわざわざカナダまで来て勉強しているんですよね?それほどの行動力がある人なら、この3つのうちどれでも実行できるでしょう。」
 
僕:「あ、ありがとうございます!!」
 
やっぱり、言うことが違うな~!と感じました。
 
それに何より、「覚悟」が違うな!と感じました。
 
 
・上司や先輩が無理やり命令するから・・・
・今の会社のルールがそうだから・・・
・日本文化がそうだから・・・
 
 
これらは、みんな言い訳にすぎないことが分かりました。本気で自分の望むライフスタイルを手に入れたいのなら、何でもする覚悟を決めなければならない。そのためには、自分で会社を作ったり、住む国を変えるくらいの覚悟がなければならない。
 
そういう覚悟なしで周りの人たちが変わってくれることを祈るだけでは、環境はそう簡単には変えられないと知りました。
 
また、その覚悟があれば、きっとどこに住んでいても、他人に流されずに自分の価値観に従って生きていけるんだろうな・・・と。
 
 
 

起業家と従業員の違い

そのCEOは、1時間きっかりに質疑応答セッションを終了して、去っていきました。
 
僕は、前回のコーヒーチェーンのオーナーとの違いをつくずつ実感しました。
 
コーヒーチェーンのオーナーは、自分でゼロからビジネスを始めた起業家です。
 
今回のCEOは、大企業に従業員として入社し、圧倒的な成果を出し続け、昇進の階段を最短で駆け上り、トップに立ちました。
 
どちらもお金持ちで、どちらも成功しています。
 
でも、ふたりのスタイルは真逆です。
 
・起業家オーナーは、時間にルーズで僕らの待ち合わせ時間に30分以上遅刻してきました。
 
・CEOは、時間きっかりに来て、時間きっかりに去っていきました。
 
・起業家オーナーは、ラフでカジュアルな服装をしていました。
 
・CEOは、高そうなスーツをビシっと着こなしていました。
 
・起業家オーナーは、早口でぞんざいなしゃべりで、僕にはほとんどの内容が聞き取れませんでした。
 
・CEOは、ゆっくりハッキリしゃべるので、僕でもほぼ内容は聞き取れました。
 
ふたりから受ける雰囲気は、真逆と言ってもいいくらいです。
 
 
僕が想像していた「デキる人」の典型的イメージは、CEOの方です。
 
このふたりの違いは、「起業家として成功する要素」と、「従業員として成功する要素」の違いを表しているのでは?
 
と、僕はこの時おぼろげながらに感じました。
 
そして、どちらかというと「従業員として成功する」方が、ハードルが高いような気がしました。求められる能力の数が多そうだったからです。相当頭が良くなければ、ここまで徹底していけないだろうと思いました。
 
ただ、ふたりに共通していることがひとつだけありました。
 
それは、「働きすぎないように気をつけている」ということでした。
 
僕がこのビジネスコースを受けて本当に良かったことは、英語力のアップではありません。
 
こういう人たちと「会って話す経験」が積めて、新しい気づきが得られたことに、留学した価値を感じました。日本にいたら、彼らの生の話を聞く機会なんてありません。ただ海外に住んだだけでも絶対に得られない機会です。
 
そしてその後、僕はバンクーバーの成功者の最後のひとりを見ることになりました・・・
 
・・・つづく。
 
 
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