from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
※大人が英語のリズムを身に付けるのに最適な本「英語はリズムで伝わる」のレビューの続きです。
前回の記事までで、リズムの3つの要素、
①シラブル(音節)
②アクセント
③イントネーション
をお伝えしました。
この3つを効率よく練習できるのが、「チャンツ」と呼ばれるリズム練習法です。
この本では、チャンツを使った「大人のリズム練習」をすることができます。
本の著者であるカン・アンドリュー・ハシモトさんは、アメリカ生まれ&育ちのバイリンガルです。
日本に移住して以来、これまでに200冊以上の英語教育本の製作に関わってきているそうです。
英語の先生とミュージシャンという2つの顔を持つ、ユニークな経歴の持ち主です。
ミュージシャンとしては、NHKのみんなの歌に楽曲を提供したり、英語教材としてはチャンツ系の教材をたくさん作ってきた実績があります。
この本に収録されているチャンツも、カンさん自身による作曲です。
収録されているチャンツは、10種類もあります。
実際に聞いてみましたが、とてもリズミカルで、耳に残るサウンドです。
また、音楽のテイストも1曲ずつ違っていて、学習者を飽きさせない工夫がちりばめられています。
チャンツはリズムを習得しやすい
この本のチャンツ練習では、音楽の乗った状態で、お手本のネイティブ発音に合わせてリピートしていきます。
やってみると、これが面白いのです!
もともと、人間は「リズムに乗って身体を動かす本能がある」と聞いたことがあります。
小さな子どもに音楽を聴かせると、教えたこともないのに、リズムに合わせて身体を動かすのです。
僕の娘も、まだ歩けないほど小さな頃から、音楽を聴くと身体を揺らしてリズムを取って、ご機嫌になっていました。
この本能は、大人になっても残っています。
本格的なダンスや歌を習うのは抵抗がある人でも、チャンツなら気軽に楽しめます。
特に何の練習もなく、いきなりリズムに乗ることができるからです。
僕は音楽的なことに関してはまったく知識がないので専門的な解説できないのですが、チャンツの音楽と、歌の伴奏(カラオケの音楽)とは種類が違う気がします。
歌の伴奏は、音程が激しく変化しますが、チャンツは一定のリズムを刻みながら、音程が変化することなく進んでいく感じです。
かといって、メトロノームのようにただ単調にリズムを刻むだけではありません。
ちゃんとメリハリのある曲になっているので、聞いていて楽しいし、気分が乗りやすいのです。
僕は今回、チャンツのジャンルの曲を初めて聞きましたが、とても不思議な魅力を感じました。
チャンツを使って練習すれば、歌と違って「上手い or ヘタ」を意識せずに、英語のリズム練習ができます。
シラブル、アクセント、イントネーションを分けて練習
この本のよく出来ているところは、リズムの3要素のシラブル、アクセント、イントネーションを分けて練習できることです。
本のページは、とてもシンプルで見やすく作られています。
英単語や文章の中で、強く読まれる場所に大きな赤丸が付いていて、視覚的に分かりやすくなっています。
・1シラブルの英単語だけ練習するページ
・2シラブル以上の英単語だけを練習するページ
・アクセントを意識して練習するページ
・イントネーションを意識して練習するページ
というように、ページごとに、どこを意識するかを分けて作られています。
このステップ・バイ・ステップの構成が、とても練習しやすいのです。
チャンツはキッズ英会話では定番
先日、キッズ英会話を長年教えている先生が教えてくれたのですが、チャンツトレーニングはキッズ教育の世界では何十年も前からあるそうです。歴史の長い英語習得法なんですね。
よくテレビ番組などで、「日本で生まれ育ったのに、こんなにペラペラ!」みたいに紹介されるキッズたちは、発音も良いのが特徴です。
小さい頃から英語を学べば発音が良くなる、というのもあるかもしれませんが、もしかしてキッズたちが「チャンツで発音のリズムを学んでいる」のも一因かもしれないと感じました。
でも、大人の英会話スクールではチャンツを使った練習はあまり使われていません。
僕は以前、大手英会話スクールで大人クラスを8年間教えていましたが、全9レベル中、チャンツを使った練習はレベル1の初心者クラスのみで行われていました。
しかも頻度は、数ヶ月に1回程度です。
でも、大人ももう少し多めにチャンツをやれば、英語のリズムを身に付けやすくなるかもしれない、と感じました。
そこでこの本が登場したわけです。
しかも、大人向けにあらゆる工夫が施されています。
次回は、子ども向けチャンツとこの本の大人向けチャンツの違いにフォーカスしてレビューしていきます。
・・・つづく。
今回紹介した「英語はリズムで伝わる」はこちら
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