From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき:※人間関係のマトリックスを日常生活や仕事に応用する方法シリーズの記事です。)
「英語力をアップするには、大きな目標がないとダメですよね?」
「英語力を上げた人は、きっとすごい目標を掲げて努力した人なんでしょうね。」
英語学習者の方から、よくこんな声をよく聞きます。
「目標がなくてボヤッとしているから英語力が上がらない」と感じている人は多いと思います。
実際、僕が今までお話ししてきた英語学習者の生徒さんからは、そういうコメントを聞くことが多くありました。
それまで僕は、生徒さんに代わって自分が大きな目標を立てたりしていました。
資格試験にあまり興味のない人に、
「せっかくの英語力なんだから、資格を取って目に見える形にしましょうよ!今年中にTOEICで〇〇点を取ってみませんか?」
とかハッパをかけてみたり。
シャイで人の集まる場所に出るのが嫌いな人に英会話の経験値を積んでもらおうと、外人バーに強引に連れて行ったり。
でも、それらは「その人らしくない」行動を「僕の基準」で押し付けているに過ぎないことに気づきました。他人から与えられた目標なんて、しょせん一時的な借り物に過ぎません。
かといって、「目標がないからモチベーションが上がらないと言っている人を放っておくわけにもいきません。相談された以上は、何か力になりたい!と思うのが、ポジティブ自立の僕の望みです。
そこで僕は、こういう場合の相談にも「人間関係のマトリックス」を応用して、センターに寄ってみるという実験をしてみました。
すると、いろんな人と話をする中で、目標がない人に共通する話の流れに気づきました。僕がセンターに寄ろうとすると、ほとんど毎回、こんな感じの流れの会話が展開されました。
スゴい目標がないとダメなのか?
生徒さん:「私は、目標がなくてボヤっとしているんです。きっと、それがダメだからやる気が起きないのかもしれません・・・」
僕:「なるほど。○○さんは、具体的な目標がないからやる気が起きないんじゃないか?と感じているんですね。」
生徒さん:「そうですね。他のクラスメイトを見ていて、そう思います。みんな、TOEICで○○点取る!とか、海外で英語を使う部署に異動する!とか、スゴい目標を持った人ばかりじゃないですか。
そんな中に、私がいていいんだろうか?ってたまに思うんです。私みたいなモチベーションで英語学習を続けていていいのかな?って。」
僕:「そうですか。○○さんも、もっと高い目標を掲げて取り組まないとダメだと感じているんですね。」
生徒さん:「はい・・・なんか、高い目標を持ってやっている人に対して申し訳なくなってくるんです。」
僕:「たしかに、高い目標を掲げている人はすごく見えますよね。○○さんも、その仲間入りをしたいと思いますか?」
生徒さん:「いえいえ、私はそんなのムリです。TOEICも別に日常生活で必要じゃないですし。旅行でたまに使えればいいかなと思ってるんですけど、そもそも旅行もここしばらくあんまり行ってないですし・・・・」
僕:「なるほど。じゃあ、逆に、○○さんがここまで英語学習を続けられてきたモチベーションはどこにあるとご自分で思いますか?」
生徒さん:「え?ここまで続けられた理由・・・ですか?」
僕:「はい。ここまで1年間も続けてこられた理由です。TOEICや仕事で使うなどのハッキリした目標がない状態で英語学習を続ける方が、僕にはスゴいことのように思えますよ。」
生徒さん:「そんなことないですよ。そうですねぇ・・・最初に英会話を始めた理由としては、海外旅行であんまりしゃべれなかったとか・・・あとは、趣味として楽しそうだなぁ、と思ったからですね。続けられたのは、特に理由はなくて、なんとなくダラダラここまで来た感じです。」
僕:「そうなんですね!たしかに、海外旅行でしゃべれなくて悔しい思いをしたから英語を始めた、という方は多いですよ。趣味として楽しそうだと思ったということは、もともと英語が好きだったということでしょうか?」
生徒さん:「はい、そうですね。好きでした。」
僕:「英語が好きになったのは、いつ頃からか覚えていますか?何かきっかけがあるんでしょうか?」
生徒さん:「う~ん・・・そうですね・・・たぶん、中学校の時の英語の先生がおもしろい人で、授業が楽しかったからだと思います。」
僕:「へ~!そうだったんですね!学校の英語の授業が楽しかったなんて、ラッキーですね!ふつうは学校で英語アレルギーになってしまう人が多いのに。」
生徒さん:「そうですね。楽しかったから、覚えられて、先生が毎回よくできたところをホメてくれて、それでテストでもいい点取れて、自分もうれしくなって、っていうサイクルができてたんじゃないかと。」
僕:「それはいいですね!いい先生に恵まれましたね!」
生徒さん:「そうなんですよ!本当によかったです!まあ、高校に行ったら途端に難しくなってついていけなくなって、英語嫌いになっちゃいましたけど。」
僕:「そういう人は多いですよね。逆に高校の英語が楽しかったって人を捜す方がむずかしいくらい。」
生徒さん:「そうですよね~。」
僕:「じゃあ、○○さんの中で、あの頃の楽しい感覚をもう一度取り戻してみたいと。」
生徒さん:「そうですね。あの頃のちょっと自信があった時の気分を、もう一度味わいたいのかもしれません。」
僕:「いいですね!それは素敵ですね!それって、英語学習の目標になりませんかね?」
生徒さん:「え?それって、どれですか?」
僕:「英語を好きだった頃の気分をもう一度味わいたい!っていう気持ちです。それも立派な目標になると思いますよ。TOEICで700点取るぞー!っていうのと同じくらい良い目標じゃないですか。」
生徒さん:「え?そんなのでいいんですか?」
僕:「もちろんです!立派な目標になりますよ!」
生徒さん:「なんか、ぼんやりしていますけど、こんなんでいいんですね?」
僕:「たしかに、TOEICで何点取る!とかいう目標に比べれば、ぼんやりしたように見えるかもしれませんが、英語学習のモチベーションの原点としては十分だと思います。それに、英語学習の目標って、そもそも人と比べるものじゃない気がします。自分の心の中にあれば、それでいいんじゃないですかね。」
生徒さん:「そうなですね。なんか少し気持ちがラクになりました。」
僕:「よかったです!僕は今まで、たくさんの英語学習者を見てくる中で、気づいたことがあるんです。それは、『具体的な目標があるか』どうかと、『実際の英語力の伸び』はあまり関係がない、ということです。」
生徒さん:「え?そうなんですか?」
僕:「はい。具体的な目標って、自分の中から湧き上がってきたものではないことが多かったりするんです。
たとえば、『2年後までにTOEICで700点以上取る!』とか、『来年までに仕事で英語が使えるレベルにまでなる!』とかいう目標って、自分で決めるよりも、会社や上司から与えられる目標の一部だったりすることが多いみたいです。」
生徒さん:「たしかに、そうかもしれませんね。」
僕:「もちろん、会社や上司から言われる前に、先を見据えて自主的にビジネス英語を学びに来る人もいますけど、そういう人はあまり多くはありません。」
生徒さん:「そうなんですか。」
僕:「人は自分の意志で動いてる時の方が、大きな力を発揮できますからね。特に大きな目標がなくても、誰からも強制されずに、楽しみながら英語をやっている人の方が、伸びるスピードも速いし、伸び率も高いと僕は思いますよ。」
生徒さん:「たしかに、楽しんでるときが一番上達する気がします。」
僕:「〇〇さんは、誰からも強制されずに自分の意志で英語をやってるんだから、楽しまなきゃ損ですよ。」
生徒さん:「そうですね!目標がなくても、楽しめればいいんですもんね!」
「目標」に対する誤解
こんな感じで、センターを取りながら会話をするうちに、「目標設定」に対する考え方のフレームが変わっていくのを感じました。
「目標」と聞くと、「より上を目指すこと」や、「スゴいこと」、「超具体的なこと」を言わなければいけないような気になります。
みんな仕事上ではそういう目標設定をすることが多いので、英語学習でも同じ感じになります。
でも、本来目標設定というのは、自由なはずです。自由に決めた個人目標は、むしろ数値化できないことの方が多いのではないでしょうか。
ちなみに、左下の「ネガティブ依存」の深い位置でモチベーションが落ちている人たちとの会話のほとんどが、これと同じパターンになりました。
これはきっと、偶然ではないと思います。
ホームポジションが「ネガティブ依存」の人は、人間関係を重視します。なので、中学校の英語の先生が好だった場合は、英語も好きになる傾向があります。
ハッキリした目標は危険?
そして、僕の経験上、「デカい目標」や「ハッキリした目標」を掲げる英語学習者の多くは、その目標が期限までに達成されなければ、落胆して英語学習そものもを辞めてしまいます。
また、期限までに目標を達成すると、こんどは満足して英語学習を辞めてしまうことが多いです。
つまり、ハッキリし過ぎた目標は、達成しても、しなくても、その後に英語学習を辞める率が上がるのです。必ずそうなるわけではありませんが、僕がこれまでの9年間でたくさんの英語学習者を見てきた経験上、そういう傾向がありました。
世の中では、「目標」という言葉に対するイメージは「ハッキリしたもの」「大きなもの」でなければならないような空気がありますが、そんなことはないと思います。
「英語が好きだから、英語を楽しむ」でも、十分に目標になると思います。
特に、「ネガティブ依存」のホームポジションの人にとっての英語学習の目標は「途中の目印」くらいに考えて、あまり「TOEIC○○点取るぞ!」みたいな具体的な目標を掲げないことをオススメします。
P.S.
この「4つの性格」の考え方は、本田健さんの「人間関係のマトリックス」をベースにしています。「人間関係のマトリックス」についてもっと詳しく知りたい場合は、こちらの本をぜひお読みください。
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(英語の達人養成ジム 師範代)
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