From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※最近、中古でニンテンドーDSと「もっと英語漬け」のソフトを買ったレビューの続きです。
「もっと英語漬け」は日常会話のシーンがたくさん出てきます。ドラマのワンシーンのようなセリフが多く、英会話に役立ちそうな表現が満載です。
これをやっていれば、なんとなく英語のスピーキング力もアップしそうな気がしてきます。
でも、残念ながら、これをいくらやり込んでも、スピーキング力はつかないと僕は思います。
なぜなら、これはあくまで「書き取り練習」だからです。
もちろん、無言ではなく声に出しながら英文を書き取ることで、発音もそれなりに定着するかもしれません。
でも、書くスピードとしゃべるスピードは10倍ぐらいの差があります。どんなに速く書けるようになっても、しゃべるスピードには追いつけません。
素早い会話のキャッチボールを必要とされる英会話の現場では、「何度も声に出して練習したフレーズ」しかとっさには出てきません。
スピーキングは「技術」
英語のスピーキングは、「知識」ではなく、「技術」です。スポーツと同じように、何度も繰り返し声に出して身体に刷り込んでいくことで、だんだん反射的に出てくるようになります。
よく英会話の世界では、「とっさのひと言」という言葉が使われますが、「とっさのひと言」が出てくるようになるには、そこまでに30回以上声に出して、無意識レベルになるまで刷り込んだバックグラウンドがあります。
知識を技術に高めるためには、「反復回数」がモノを言います。その回数の最低ラインが、30回と言われています。
30回以上声に出したものしか、身体に残らないのです。
30回以上書くのはしんどい
書き取り練習=ディクテーションは、それ自体に時間がかかります。それに、基本は手書きなので、何度も繰り返すと指や手首が痛くなってきます。
同じ文章を30回以上書き取るのは、想像以上にハードルが高いと思います。
よほど書くのが好きな人でない限りは、途中で挫折してしまうでしょう。
かといって、自分を飽きさせないために、次々と新しい英文に移っていったら、「とっさのひと言」が身につくことはありません。
以上の点から、「もっと英語漬け」をやっていると自然に英語がしゃべれるようになる、と期待するのには無理があります。
最高のモチベーションツール
だからこそ僕は、この「もっと英語漬け」を、「モチベーションを保つためのツール」として使うことをオススメします。
ふだんの英語トレーニング(音読トレーニング)の成果を試すマシンとして使うのです。自分をこまめにレベルジャッジしてくれるテストです。
堅苦しい例文が連発するTOEICなどの試験と比べると、「もっと英語漬け」に出てくる例文は、とてもカジュアルで、日常生活では実用的です。
海外ドラマを見ている感覚で、楽しくレベルジャッジができるでしょう。
上級者にもオススメ
ちなみに、この記事を書いている直前にも、僕は「もっと英語漬け」のメニューを1回分こなしました。
そして、レベルジャッジテストも受けました。
そこで思ったのは、「やっぱり難しい!」ということです。
僕の今の判定レベルは、「AA」です。上から3番目なのですが、このレベルでやるトレーニングメニューの内容がかなり高度です。
まず、音声スピードが速いです!ちょっと早送りしてるんじゃないか?と思うほど、速いです。
だいぶ音が消えて発音されるので、aやtheなどの冠詞や、in, on, at などの前置詞はほとんど発音されません。
でも、書き取りするには一字一句書かなければなりません。これは、発音や音のつながりに耳が慣れているだけではなく、文法力がないと書き取れません。
レベルジャッジテストも、かなり速くて難しく、最初の2問目の文章の後半が聞き取れずに何度も繰り返しリピートさせたら、制限時間ギリギリの正解でした。
後の問題はすべて時間内にソッコーで解けたのですが、英語力判定結果はそのまま変わらず、「AA」の状態にとどまりました。
けっこうシビアです!
これは、TOEIC900点以上の上級者でも楽しめると思います。
以上、数回にわたって「もっと英語漬け」をレビューしてきました。
もう一度まとめると、
①「もっと英語漬け」だけで英語力(会話力)をアップできる確率は低い
②ふだんのトレーニングの成果を測るテストとして活用するのがオススメ。
③TOEIC900点以上の上級者でも十分に楽しめる。
というポイントです。
使い方さえ間違えなければ、間違いなくあなたの英語学習の友になってくれるでしょう。
DS本体&ソフト両方合わせて2,000円台で買える今、「もっと英語漬け」がオススメです!
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