【SNSを見ると「自分だけ英語学習の成果が遅れている」と感じる仕組み】

from 師範代Shinya(英語学習のヒントをYouTubeでも発信中)

SNSで英語学習者の投稿を見ていると、たまに妙な気分になることがあります。

「TOEIC900点を達成しました。」

「半年で英語が話せるようになりました。」

「英検1級に合格しました。」

こういう投稿が次々に流れてくると、自分はちゃんと勉強しているはずなのに、なぜか取り残されているような感じがしてきます。

特に、自分の英語が伸びている実感があまりない時期に見ると、けっこう効きます。

「みんな、こんなに早く成果が出ているのか。」

「自分は勉強のやり方を間違えているのかな。」

僕自身も20年以上英語を勉強してきましたが、ずっと順調に伸び続けたわけではありません。

むしろ、何ヶ月勉強してもあまり変化を感じない時期の方が普通にありました。

それでもSNSを開くと、世の中にはものすごいスピードで英語が上達している人ばかりいるように見えます。

でも、これには少し仕組みがあります。

SNSには「何も起きなかった日」がほとんど投稿されない

たとえば、ある人が1年間英語を勉強して、TOEICの点数が600点から800点になったとします。

SNSに投稿されるのは、おそらく800点を取った日の話です。

「ついに800点突破しました。」

これはもちろん事実です。

ただ、その人にも途中には、

「今日も単語帳を20分やったけど、特に何も変わらなかった。」

「模試をやったら前回より点数が下がった。」

「今日は疲れていたので勉強できなかった。」

という日が何十日、何百日とあったはずです。

でも、こういう日はあまり投稿されません。

僕もYouTubeやブログで英語学習について発信しているので、これはよく分かります。

英検1級やTOEIC975点という結果だけを見ると、ずっと順調に英語力を上げてきた人のように見えるかもしれません。

実際には、英語がほとんどできない状態から勉強を始めて、31歳で初めて海外に行き、その後もかなり長い時間をかけて勉強を続けています。

その途中には、昨日と今日で何が変わったのか自分でも分からないような時期が山ほどありました。

SNSでは、その長い途中経過よりも、結果が出た瞬間の方が目に入りやすいのです。

だから、僕自身はYouTubeなどでも自分のTOEICの点数が前回より下がった時や、初めてトライした試験がイマイチな結果になった時にも、それをあえて公開しています。

その方が、リアルな上達過程を伝えられると思っているからです。

目立つ人ほど何度も表示される

もうひとつややこしいのが、SNSでは目立つ投稿ほど繰り返し目に入ってくることです。

短期間でTOEICの点数が大きく上がった。

海外経験ゼロから英語がペラペラになった。

難関資格に一発合格した。

こういう投稿は、普通に勉強を続けている人の日記よりも反応されやすいと思います。

すると、似たような投稿がまた表示されます。

さらに別の人の成功例も出てきます。

それを毎日見ていると、

「英語を勉強している人は、半年くらいで大きな成果を出すのが普通なのでは。」

という感覚になってきます。

でも、自分の周りに実際にいる英語学習者を思い浮かべてみると、そんな人ばかりではないはずです。

何年もかけて少しずつ話せるようになる人もいるし、しばらく停滞した後に伸びる人もいます。

資格試験だって、一度落ちてから受かる人も普通にいます。

目立つ例をたくさん見ることと、それが平均的であることは別です。

ここはSNSを見ていると、けっこう感覚が狂いやすいところだと思います。

他人の完成した結果と自分の途中経過を比べてしまう

さらに僕が厄介だと思うのが、他人については「結果」を見ているのに、自分については「途中」を見ていることです。

SNSで見るのは、

「英検1級合格。」

という一行です。

一方で、自分については、

「今日覚えた単語をもう忘れている。」

「オンライン英会話で言葉が出てこなかった。」

「昨日できた問題を今日は間違えた。」

という細かいところまで全部知っています。

これでは、自分の方が遅れているように感じるのも当然です。

他人の英語学習についてはダイジェスト版を見て、自分の英語学習については毎日のノーカット版を見ているようなものです。

僕も英検1級を取った時だけを切り取れば、「英検1級に合格した人」です。

でも、その前には当然、英検1級を持っていなかった長い期間があります。

そこを飛ばして合格したわけではありません。

昨日の自分と比べても分からないことがある

では、SNSを見ない方がいいのかというと、僕はそこまで思いません。

他の人の勉強法を知ることもできますし、「この人も頑張っているから自分もやろう」と思えることもあります。

ただ、SNSを見た後に妙に焦った時は、

「今、自分は他人のどの部分を見ているんだろう。」

と考えてみるだけでも、少し違うと思います。

英語は毎日見ていると変化がかなり分かりにくいです。

僕自身、長く英語を続けていますが、「先週より英語力が上がった」と毎週感じられるわけではありません。

むしろ、しばらくして昔の自分を振り返った時に、

「あれ、前より普通に聞き取れているな。」

「昔はここで詰まっていたな。」

と気づくことの方が多いです。

SNSには、ちょうどその「気づいた瞬間」がたくさん流れてきます。

その裏側には、何も変わっていないように感じながら勉強していた時間もあります。

僕もSNSを見ていて、英語に限らず「みんな進むのが速いな」と感じることがあります。

でも、たぶん見えているものがちょっと偏っているんですよね。

そう考えると、自分のペースが遅いのかどうかは、SNSを眺めているだけではあまり分からない気がします。

P.S.

SNSを見ていると、つい「もっと早く結果を出さないと」と焦ってしまいます。

でも、英語学習では、周りの人より早いかどうかよりも、自分の中でちゃんと英語がつながっているかどうかの方が大事だと僕は思っています。

単語や文法をたくさん覚えているのに、いざ話そうとすると出てこない場合は、勉強量が足りないというより、英語の捉え方を少し変えてみるのもひとつです。

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