【英検1級の新設問題をざっくり要約:前編】英検の問題が2024年に改訂⑥

 from 師範代Shinya

(→前回の続き)

いよいよ今回は、英検のラスボス、1級の問題を分析していきましょう。

もしあなたが、「今は1級なんて受けるつもりはないけど、試しにどんなに難しいトピックか見てやろう!」と思ったら、ご覧ください。

英文は一切出てきません。

すべて日本語訳で解説しますので、ご安心ください。

これまでの記事と同じく、「内容」にフォーカスするために、あえて英文ではなく日本語.付箋文訳で記載します。

さらに日本語訳も、細部まで正確に訳すのではなく、ざっくりした内容にとどめます。

ただ1級は要約問題になるため、あまり本文を要約してしまうと分かりづらくなります。

そのため、あくまで書き方をシンプルにするだけで、情報量は減らさないようにします。

(元の英文を見たい場合は、英検協会のサイトをご覧ください。)

1文を短くしました

1級に関しては、1つの英文がめちゃくちゃ長くなります。

文頭からピリオドまでが、2~3行になるのが普通です。

それを日本語の語順で訳すと、ものすごく分かりづらい文章になってしまいます。

そこで今回は、英文では1文で言い表されていることを、日本語文では2~3文に分けて書きます。

あくまで、内容の分かりやすさを重視するためです。

それでは、行ってみましょう!

1級の問題&解答例

英文の種類:記事(297語)

やること:内容を理解して、要約を書く。要約の語数は、90~110語。

【記事の内容】

テーマ:砂の採掘による生態系へのダメージ

(このタイトルは、僕が勝手に決めました。サンプル問題を見る限り、記事のタイトルは書かれていないようです)

【本文】

ポーヤン湖は、中国で一番大きな淡水湖です。
人々は、何世代にも渡って魚を捕ってきました。
しかし最近は、新しい資源が取られています。
それは、「砂」です。

ポーヤン湖の底から、砂が採掘されているのです。
その量はなんと、1時間あたり最大で1万トンにもなります。
採掘された砂の多くは、上海に送られます。

上海は、2007年以降、人口が700万人も増加しました。
ポーヤン湖の砂は、上海の高層ビルや道路、その他の建造物に使われています。

こういった大規模な採掘作業は、中国だけのものではありません。

アメリカやオーストラリアなど、他の国々でも行われています。

世界的に見ると、砂を最も多く輸入しているしている国はシンガポールです。

シンガポールは、砂を利用して国土の面積を20平方マイルも増加させました。

砂の採掘による湖への影響は、大きな心配事になっています。

砂の採掘作業で湖の底面をひっかき回されると、水の中にある堆積物が浮き上がります。
その堆積物が、日光を遮断してしまうのです。

水の中に日光が届かなくなると、水中植物が酸素を作れなくなります。
すると、魚や他の水生生物が死んでしまうのです。

ポーヤン湖の場合は、砂を取り過ぎたせいで、湖から出る水路が広がってしまいました。外に流れ出る水の量が2倍になったのです。

その結果、ポーヤン湖の水位が大幅に下がってしまいました。
水位が下がったことで、ポーヤン湖のそばにある湿地に水が十分に届かなくなりました。

湿地が乾くと、そこに生息しているたくさんの鳥や他の生物たちが、生きていけなくなります。

たくさんの国々が、砂採掘の悪影響に対して気付き始めました。

これまで砂の需要が多かったインドネシアやマレーシア、カンボジアは、今こういった自然破壊の打撃を受けています。

自然の生態系を守るために、これらの国々は今、砂の輸出を禁止しています。

しかし、需要が増している中で1つの地域で砂の採掘を止めると、他の地域がカバーしなければならなくなります。

たとえば、中国の長江は、以前は砂の採掘場でした。
でも、1990年までに砂が大量に採掘された結果、川岸の橋が崩れ落ちてしまったのです。

その後、砂の採掘場は長江からポーヤン湖に移動しました。

 

【要約の解答例】

都市の開発を促すために、世界中の水域から砂が取られています。

砂を活用することで色々なメリットがある反面、砂の採掘が自然の生態系に悪影響を与えていることがわかってきました。

色々な生物を危機にさらしているのです。

これを受けて、一部の国々の政府が砂の輸出を禁止する法律を作りました。砂の採掘による被害を軽減するためです。

でも残念ながら、砂の採掘を禁止することは、一時的な解決策に過ぎないようです。

1つのエリアで禁止しても、採掘場が他のエリアに移るだけになってしまうからです。

以上です。

さすがに1級になると、トピックの難易度&英文の長さともに、かなり負荷が上がりますね。

今回は長くなったので、僕の考察は次回の記事でお伝えします。

 

・・・つづく

 

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