From 師範代Shinya(新村真也)
音読トレーニングを始めてしばらくした方から、たまにいただく質問があります。
それは、
「なんだかリスニングが伸びている気がしないんです。リスニングを伸ばすためのトレーニングメニューを加えた方がいいでしょうか?」
というものです。
今回の記事から数回に渡って、このご質問に詳しくお答えしていきます。
#リスニングトレーニングは必要ない
まず最初に結論をお伝えすると、リスニング用のトレーニングは必要ありません。
リスニングの練習で代表的なものは、「英語を聞き流す」という作業ですが、これは効果がある人のレベルが限定されます。
英語音声を聞き流すことで効果が得られるのは、
①まったく英語に触れたことがない完全初心者
②TOEIC950点以上の上級者
の2パターンです。
完全初心者の場合は、「へぇ~!英語ってこういう発音をする言語なんだ!」と知ることができます。その点で効果があると言われています。
ただ、僕たち日本人の大人は①には当てはまりません。中学~高校で英語を聞く機会があり、日常生活でも英語の歌がお店などで流れているのを聞くことがあります。
今の時点で①の完全初心者の状態ではないからです。
次に、②のTOEIC950点以上の上級者の場合は、聞き流している英語の大半を聞き取ることができます。
すでに脳内に太い「英語回路」が蓄積されているので、聞き流した英語の記憶が残りやすくなります。
その結果、聞いているだけで新しい英単語を覚えられることもあります。
また、これまで積み上げた英語回路の処理スピードを上げる効果があります。聞き流すことで、より速いスピードの英語を聞き取れるようになるのです。
でも、TOEIC受験者の中で950点以上を取る人は、全体の1%です。
つまり、残りの99%の人たちにとっては、リスニングは効果がないのです。
聞き取れない英語を何回聞いても、脳はBGMとして処理してしまいます。
音声が片耳から入って、脳を通らずに反対側の耳から抜けていくようなイメージです。
#日本語を読み上げてくれる聞き流しCDはどうか?
この話をするとよく聞かれるのが、
「英語を言った後に日本語訳を読み上げてくれるCD教材がありますよね?あれは効果ありますか?」
というご質問です。
答えは、「ほぼNO」です。
なぜかと言うと、英文→日本語訳という流れで覚えようと思った場合、それは単なる「フレーズ丸暗記」になってしまうからです。
フレーズ丸暗記型の勉強法は、リスニングにはあまり効果がありません。(効果ゼロとは言いませんが、効率が悪すぎます)
たとえば、聞き流し教材の中でこんな風に英語と日本語訳が流れたとします。
英文:May I help you?
日本語訳:いらっしゃいませ。
これを丸暗記した場合、海外旅行で洋服屋さんに入って店員さんがまったく同じフレーズ「May I help you?」を言った場合にのみ、聞き取れるようになります。
#同じフレーズを言ってくるとは限らない
でも、店員さんは必ず「May I help you?」を最初に言ってくるとは限りません。
Hi, How are you?
とあいさつで来ることもあります。また、
Are you looking for something?
(何かお探しですか?)
Is thre anything I can help you with?
(何かお手伝いできることがありますか?)
など、変形バリエーションで話しかけてくることもあります。
そうなると、「May I help you?」の音声しか覚えてない場合はもうお手上げです。
#同じ構文のバリエーションに対応できない
さらに、フレーズ丸暗記で覚えている場合は「同じ構文のバリエーション」に対応できません。
たとえば、レストランに入った場合、さっきと同じ May I ~?から始まる構文で店員さんに話しかけらることがあります。
May I take your order?
(ご注文はお決まりですか?)
と聞かれたときに、フレーズ丸暗記型ではとっさに脳が反応して聞き取ることができません。
文法がまったく理解できない状態で日本語訳だけ丸暗記しても、リスニング出来るようにはならないのです。
・・・つづく。
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