【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編116】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
K君とマンツーマンでしばらく話して、さらにK君の「取り巻きの人達」としばらく話す機会を得た僕は、これまでモヤッとしてた理由がなんとなく分かってきました。
 
 
K君のグループは、
 
 
「何のためにスクールに通ってレッスンを受けているのか?」
 
 
が良く分からなくなってしまった人達の集まりなのかもしれません。
 
 
きっと彼らも今の僕と同じように
 
 
「いつになったらデビューできるんだろう?」
 
 
とヤキモキしていた頃があったはずです。
 
 
でも、最上級クラスにずっと通っていてもデビューできず、だんだんその現実が当たり前になってきて、いつの間にか「レッスンに通うのが目的」になってしまっているような気がします。
 
 
だからこそ、「レッスンそのものを楽しもうとしている」のではないか?と気付きました。
 
 
 

手を抜いているわけではないのに、真剣ではない雰囲気

僕を含めた「ヒゲ先生グループ」の人達が感じていた「最上級クラスへの違和感」が、ようやく分かりました。
 
 
最上級クラスの長いメンバーは、レッスン中に手を抜いているようには見えません。
 
 
自分の番が来ると、しっかり演技をしています。
 
 
でも、どこか「真剣ではない雰囲気」がありました。
 
 
その理由が分かりました。
 
 
ヒゲ先生のクラスでは、常に「今やっていることが、将来どこにつながるか?」を強烈に意識させられました。
 
 
いつもヒゲ先生がそれを口に出して言っていたからです。
 
 
「小説の朗読をするのは、小道具やBGMなしでも聞いている人を感動させられるスキルを身につけるためだ!」
 
 
「台本を暗記できない役者は、脚本家や監督から嫌われる。嫌われたら、次の役はもらえないぞ!」
 
 
「その程度では、オーディションで役を勝ち取ることはできない!何百人の候補者の中から選ばれる役者になるためには、審査員をビビらせるぐらいのインパクトが必要だ!」
 
 
などなど、色んな言葉を使ってハッパをかけられてきました。
 
 
でも、最上級クラスのレッスン中はそういう言葉は出てきません。
 
 
先生も生徒も、「とりあえず今日のレッスンをこなすこと」を目的にしているように見えました。
 
 
レッスン自体が目的なら、レッスン時間をできるだけ楽しもうとするのが当然です。
 
 
その結果、あまり緊張感のない雰囲気のクラスが出来上がったのかもしれません。
 
 

もしヒゲ先生だったら・・・

もしヒゲ先生がこのクラスの担任になったら、おそらく初日のレッスンでゲキが飛ばされるに違いありません。
 
 
「おまえら、何年ここに通ってんだ?」
 
 
「いつまで今の生活を続けるつもりだ?おまえらにとって演技は何だ?趣味か?お遊びか?だったら違うクラスに行け!」
 
 
「プロの役者になる覚悟がないやつは、今すぐこの居室から出て行け!」
 
 
そんなセリフが僕の頭の中で聞こえてきました。
 
 
ヒゲ先生!!頼むからこの最上級クラスの担任になって、もう一度僕らを指導してください!
 
 
そう頼み込みたくなるほど、この最上級クラスは「たるんでいる」感じでした。
 
 
 

趣味の習い事とは違う

これがもし英会話スクールなどの趣味性の高い習い事だったら、何十年通っている生徒を見ても文句を言いたくなることはありません。
 
 
むしろ「そんなに長く続けてスゴいですね!」と素直に賞賛したくなります。
 
 
でもここは、演技スクールです。
 
 
演技スクールは「プロの役者になりたい人達が集まる場所」だと僕は思っていました。
 
 
実際、これまでのクラスではクラスメイトは全員「いつ自分はデビューできるか?」をいつも気にしている雰囲気でした。
 
 
でもこの最上級クラスは、そんな熱い想いを忘れてしまっている人達の集まりでした。
 
 
担任の先生もこのクラスに長くいすぎたせいか、
 
 
「こいつらを本気でデビューさせてやろう!」
 
 
「来年までにデビューできるだけの実力をつけさせるぞ!」
 
 
といった気合いは全く感じられませんでした。
 
 
クラスのレベルが上がったのに、意識は下がる・・・皮肉なものです。
 
 
もちろん、演技を学ぶ人全員が必ずプロの役者としてデビューしなければならないとは思いません。
 
 
でもせめて、「1日も早くプロになりたい人達」と「趣味で楽しみたい人達」を分けて欲しいと思いました。
 
 
目的が違えば、やることも変わってきます。
 
 
熱量も変わってきます。
 
 
違う目的を持った人達が、同じクラスでやること自体にムリがあります。
 
 
僕が最上級クラスになってからずっと感じていた違和感が、だんだんハッキリしてきました。
 
 
・・・つづく。
 
 
 
 

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