From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
僕が演技のレッスンを受け始めて、ちょうど3ヶ月ぐらいたった頃のこと。
40人以上いるクラス内では、「家でトレーニングをしてくる派」と、「レッスンを受けるだけ派」の二極化が進んでいました。
「家でトレーニングをしてくる派」の人は、僕のように遠方から時間とお金をかけて東京に通ってくる人が多くいました。
「レッスンを受けるだけ派」の人は、東京都内に家があったり、東京にすぐ出てこれる地域に住んでいる人が多くいました。
これは、「かけたコストを回収しようとする心理」から来る違いだと思います。
よく、習い事を始めるときは「できるだけ家に近くて通いやすい場所」や、「少しでも月謝が安い場所」を探します。
でも、もし家から近くて月謝が安い場所を選ぶと、「時間的&金銭的コストが低い状態」になるので、かえってモチベーションが上がらずに、投資がムダになってしまう危険もあります。
僕は、地元の養成所を選ばなくて良かった!と思いました。
クラスメイトはライバル
「家でトレーニングをしてくる派」の人たちと、「レッスンを受けるだけ派」の違いは、もうひとつありました。
「レッスンを受けるだけ派」の人たちは、同じぐらいの軽めのモチベーションの人たちとつるんで行動する傾向がありました。
毎週のレッスンが終わったら、グループで東京の街に繰り出して、遊んだり買い物をしてから帰っているようでした。
一方、「家でトレーニングをしてくる派」の人たちは、スクールの外では一切つるまない傾向がありました。
「クラスメイトはライバルだ」と思っているようで、必要以上に距離を縮めてくる人はいませんでした。
男性も女性も、一匹狼的な雰囲気を持っていました。
僕は「家でトレーニングをしてくる派」でしたが、競争には興味がないので、中立の立場で行動していました。
軽い人たちのマインドと、本気の人たちのマインドの「違い」に興味があったので、両方のタイプの人たちに話しかけて、軽いマインドの人たちとも駅までは一緒に帰ったりしていました。
発見したこと
その結果、僕が発見したことがあります。
それは、軽いマインドの人たちは、「レッスンに通うこと自体が目的になっている」ことでした。
「とりあえず毎週休まずマジメにここに通っていれば、あとは先生や事務所が自分をデビューさせてくれるはずだ」
と思っている人が多くいました。
彼らの口ぐせは、
「あ~、俺はいつになったらデビューできるのかなぁ~・・・」
でした。このセリフをお互いに言い合いながら、レッスン後は繁華街へ繰り出していました。
一方、本気マインドの人たちは、基本的にクラスメイトとつるまないため、僕から話しかけられるのは休憩時間やレッスン前後のわずかな時間でした。
わずかな時間だけのトークでも、中身が濃いので色々なことが分かりました。
本気マインドの人たちは、「このスクールや事務所はあくまで利用しているだけ」という感じでした。
ここがダメだと思ったら、すぐに違うスクールや事務所に移るつもりでいる人が多くいました。
スクールや事務所に依存していないので、「自分のスキルは自分で磨く」という感じでした。そして、
「自分がデビューできるかどうかは、自分次第」
というマインドを持っていました。
僕はただ一方で、常に周りのクラスメイトを「ライバル視」することで、焦りや切迫感を感じているようにも見えました。
このあたりに、ふつうの習い事とタレントスクールのクラスの大きな違いを感じました。
僕は、周りをライバル視はしていませんでしたが、性格的には自立型の人たちとウマが合ったので、休み時間だけ自立型の一匹狼たちにチョコチョコ声をかけながら、楽しむことにしました。
・・・つづく。
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