【僕が「習い事」に感じた夢と希望38~演技編35】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
僕が演技を習い始めてから、初めての夏休みがやってきました。
 
 
ふだんは週に1度のペースでしか来れませんが、この連休に一気にスキルアップすべく、僕は夏期集中ゼミに2種類申し込みました。
 
 
午前中3時間はHIPHOPダンスコース、午後3時間はアクションの殺陣コースです。コースは5日間続きます。
 
僕はアクションに関しては、これまで独学でかなり研究してきました。
 
 
ジャパンアクションクラブのオーディションでも褒められたことがあったので、ちょっとした自信がありました。
 
 
でも、ダンスに関しては、まったくのど素人で知識もありません。
 
 
特にHIPHOPダンスは、当時は今ほど有名ではなく、なんとなく「アンダーグラウンドの文化」というイメージでした。
 
 
「ちょいワル風のオシャレでイケてる美男美女」がやっている感じがしました。
 
 
これまで武道の世界に生きてきた自分が、HIPHOPのレッスンに行くのは場違いではないだろうか?
 
 
という不安でいっぱいでした。
 
 

ドキドキのHIPHOPダンスレッスン初日

いよいよ、夏期集中ゼミの初日がやってきました。
 
 
午前中がHIPHOPダンスなので、僕は行く前から緊張しまくっていました。
 
 
いつも通っている演技スクールに着くと、レッスン会場のダンススタジオに案内されました。
 
 
初めてダンススタジオに入りましたが、ちょっと前まで通っていた空手の道場に似ていました。
 
 
全面と左右のカベが鏡張りになっていて、自分の姿が全部映せます。
 
 
空手道場も、スポーツジムの2階を借りていたので、おそらくダンスのレッスンでも使われていたんだと思います。
 
 
会場の作りは馴染みがあったので、ちょっと安心しました。
 
 
僕が一番乗りだったようで、誰もいません。僕は、せっかくの全身鏡を活用すべく、ひとりでアクションの技の練習を始めました。
 
 
 

クラスメイト登場!

しばらくすると、ドアが開きました。
 
 
僕はすぐにアクションの練習をやめて、ドアの方を見ました。
 
 
どんな不良っぽい人が入ってくるのだろう?とドキドキしながら見ていると・・・
 
 
入ってきたのは、ひとりの女の子でした。
 
 
年齢は小学校高学年~中学生ぐらいでしょうか。
 
 
「不良っぽさ」はみじんも感じません。
 
 
その女の子は僕に気付くと、小さな声で「こんにちは~」と言いました。
 
 
僕はほっとして「こんにちは~」と返しました。
 
 
てっきり10代後半~20代前半の人たちが参加者のメイン年齢層だと思っていたので、意外でした。
 
 
 

自己紹介の極意

僕は以前通っていた空手道場の先輩で、ふだんは会社の経営をしている人から「自己紹介の極意」を教わりました。
 
 
その極意はとてもシンプルで、
 
 
「新しい習いごとを始めた時には、自分からクラスメイトに近づいて、あいさつと自己紹介をする」
 
 
というものでした。
 
 
つまり、「相手が自分に話しかけてくれるのをじっと待っていてはいけない」ということです。
 
 
「相手が年下か年上か?男か女か?に関係なく、自分から笑顔で声をかけることが、相手への敬意になる。」
 
 
と教わりました。
 
 
そこで、僕はその女の子に自分から話しかけて、空手道場の先輩に接する時と同じノリで自己紹介してみました。
 
 
お互い床に座った状態だったので、僕は姿勢を正して正座をして、相手に身体全体を向けながら、話しかけました。
 
 
「こんにちは!僕は新村真也と言います。静岡から週一で通っています。ふだん取っているコースは、演技クラスと実技クラスです。
 
 
将来の夢は、アクション俳優を目指しています。今日は、リズム感を身につけたくて、このダンスコースに入りました。よろしくお願いします!」
 
 
そう言いながら、両手をついて深く頭を下げました。
 
 
空手道場では、毎回の稽古の最初と最後にこのスタイルで全員であいさつをしていたので、自然に身体が動いてしまいました。
 
 
その女の子は最初は僕の「武道のノリ」に驚いていたようでしたが、僕が話し終わると笑顔になって、小さな声で自分のことをポツポツと話し始めました。
 
 
話を聞くと、どうやら僕らはほぼ同じ時期にスクールに通い始めたことが分かりました。
 
 
今は小学6年生で、来年から中学に入ると夏休みも部活で忙しくなるので、今回このゼミに参加したとのことでした。
 
 
僕のように「俳優になるぞ!」という感じではなく、習い事の一環としてここに通っているようでした。
 
 
僕が予想していた「ちょいワルの不良」イメージとはかけ離れた、素朴な雰囲気にホッとしました。
 
 
場が和んだ頃に、ドアが開いて、次の人が入ってきました。
 
 
僕らは再び、緊張しました。
 
 
・・・つづく。
 
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