From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
僕にとって初めての、ストリートダンスの先生のレッスン1回目が始まりました。
「ヒゲ先生みたく恐い先生だったらどうしよう?」
教室内でドキドキしながら待っていると、ドアがガラッと開いて、若いイケメン男性が無言で入ってきました。
見た瞬間、「この人が先生だ!」というのが一瞬で分かるオーラを放っていました。
年齢はおそらく僕らに近いぐらい(20代前半)に見えます。
顔立ちがハッキリしていて、ダパンプのイッサにそっくりです。(ダパンプは当時デビューしたばかりで、色んな音楽番組によく出ていました)
白っぽい色のハンチング帽をかぶっていて、オシャレな雰囲気です。
上はジャストサイズのTシャツを着ていて、下は少しゆったりしたカーゴパンツのようなズボンをはいています。
いかにも「東京の最先端のストリートファッション」という感じです。
当時はまったくファッションに興味のなかった僕の目にも、明らかに違いが分かりました。
「カッコいい!!」
僕は初めて、「都会のイケメン」を目にした衝撃を受けました。
僕はクラスメイトのT君とSさんと顔を見合わせました。2人とも目を大きく開いてこっちを見ました。僕らは小さなヒソヒソ声で、
僕:「イッサだ!ダパンプのイッサっぽくない?」
T君:「うん!似てる!似てる!」
Sさん:「何あの人?!めっちゃイケメン過ぎない?超カッコいんだけど!」
と話しました。
パーフェクト・ガイ
イッサ先生は体系的にもバランスが良く見えます。
中肉中背で、太すぎず、細すぎずといった感じです。
ファッションでバランス良く見せているのか?それとも元の体型のバランスが良いのか?
分かりませんが、とにかく僕ら3人の目から見て、
・顔
・体型
・ファッション
の3拍子が揃った超イケメンでした。
まさにパーフェクト・ガイです。
これまでの演技の先生や実技の先生は、40~60代ぐらいのベテランの人達が多かったので、自分に年が近い先生は新鮮でした。
また、これまでのダンスクラスの先生は全員女性だったので、僕の中では「ダンスの先生=女性」という図式が出来上がっていました。
今回のイッサ先生の登場で、その図式が崩れました。
無口なイッサ先生
イッサ先生はひと言もしゃべらずに、持ってきたバッグの中からCDのたくさん入ったケースを取り出し、その中から1枚選んで教室内のCDプレーヤーに入れました。
CDプレーヤーが読み込むと、教室内に音楽が流れ始めました。
ストリートダンス用の音楽は、これまでのジャズダンスクラスの「女性的な美しい音色」ではなく、「男性的で力強いサウンド」に聞こえます。
イッサ先生は、ひと言も発することなく、教室の全面鏡の前に立って、動き始めました。
みんなに「自分のマネをしてね」というような合図を手で送った後、クルッと前を向いてリズムを取り始めました。
自己紹介も何もなしで、僕らはイッサ先生の声をひと言も聞くことなく、いきなりレッスンが始まりました。
これまでのジャズダンスクラスの女性の先生たちは、けっこうしゃべる人が多くて、教室に入ってきたら女性生徒たちとおしゃべりをして、レッスンが始まると大きな声で、
「はい!みんな始めるよ~!まずはウォーミングアップから!」
というように、指示を出していました。
でも、イッサ先生はまったくしゃべりませんでした。
僕らはとりあえず、急いでイッサ先生のマネをして動き始めました。
・・・つづく。
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