【欧米ビジネス文化の厳しさ】

From  師範代Shinya(新村真也)

(※僕がカナダにビジネス留学していた頃の体験談の続きです)

 

(→前回のつづき)

同僚のメリッサが隣にいないのが気になりながらも、僕は受付で自分の仕事を始めました。

 

メリッサは怖い人ですが、無断欠勤するようなタイプには見えません。

 

自分の仕事はきっちりこなすので、体調不良以外で休むとは思えませんでした。

 

誰かにメリッサのことについて聞きたいのですが、なぜか今日に限って受付のそばを誰も通りません。

 

僕にとって一番聞きやすいのが同僚のデイビッドですが、今日はデイビッドは外出している日です。

 

僕はひとりで静かな空間で仕事をしていました。そのうち僕は、「メリッサはきっと、カゼで休んでいるんだろう」という結論に達しました。

 

衝撃の事実!!

静かな環境なので、集中力が高まってきた頃、大学教授のひとりが受付を通りかかりました。

 

その教授は、30代後半くらいのスラッとした体型をした黒髪の女性で、たぶんメキシコなどの南米系の出身かなと思われる顔立ちをしていました。

 

その教授は、いつも受付にフレンドリーにあいさつしてくれる人でした。

 

僕はいつもの調子で明るくあいさつしました。

 

すると、いつも明るく返してくれる彼女が、静かにこっちに近づいてきました。

 

ちょっと雰囲気が違います。顔がこわばっています。

 

そして、僕にかなり近づくと、小さな声でささやきました。

 

教授:「メリッサのこと、聞いた?」

 

僕:「いえ、聞いてません。」

 

やっぱり何かあったのか??僕は急にドキドキしてきました!

 

教授:「メリッサはね、今朝私が来た時には出勤してたのよ。いつものようにそこにいたの。」

 

僕:「え?そうなんですか?今日来てたんですか?」

 

教授:「そうなの。でもね、ちょっとした頃に、副社長に呼び出されて、部屋でしばらく話をしていたのね。」

 

僕:「はい。」

 

教授:「10分くらい話をした後、泣きながら部屋から出てきたのよ。」

 

僕:「え?何があったんですか?」

 

教授:「彼女はひどく取り乱した状態で私に言ったわ。自分は今日、クビになったって!」

 

僕:「えーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

いきなりクビ?!

僕は仰天しました!!昨日まで横でふつうに働いてたのに、急にクビになるとは!!そんなことってあるのか!!

 

僕はビックリして教授に聞きました。

 

僕:「でも、出勤した日にいきなり今日クビなんてこと、あるんですか?」

 

教授:「実際には、法律的には2週間前に言わなきゃいけないことになっているの。

 

だから、正式に解雇されるのは2週間後のはずよ。

 

でも、メリッサは自分がクビにされた会社であと2週間も働くのは耐えられない苦痛だと思ったのよ。

 

だから、自分の意志で今日、会社を去っていったの。」

 

僕:「な・・・なんてこった!!僕が来る前にそんなことがあったとは!!」

 

教授:「その時間帯に会社にいたのは、私とメリッサと副社長だけだったから、たぶん他のみんなはまだ知らないと思うわ。

 

このことは、まだ他のメンバーには言わないでおいてね。」

 

僕:「わかりました。秘密にしておきます。誰かに聞かれても、知らないふりをします。」

 

教授:「じゃあ、私は授業があるから、これで。」

 

僕:「はい。じゃあ、また。」

 

欧米ビジネス文化の厳しさ

僕はこの事実を知らされたあと、しばらく放心状態になってしまいました。

 

たしかに、欧米のビジネス文化では、クビになるのは当たり前のようにあると聞いたことがありました。

 

今まで見たアメリカ映画などで、「ある日突然、クビになる」というシーンを見たこともあります。

 

でも、実際に自分がこうして目の前で同僚が1日でいなくなる体験してみると、その衝撃はずっと大きいものです。

 

昨日の夕方には、

 

See you tomorrow!(また明日ね!)

 

と言いながら去っていった同僚のメリッサが、今日の朝にはクビになる・・・

 

そして、おそらくもう二度と会うことはない・・・

 

これは、かなりのインパクトがあります。

 

突然、オフィスにポッカリと穴があいたような気分になりました。

 

自分ひとり

午後になり心が落ち着いてくると、僕はあることに気づきました。

 

(あれ?これから俺は、受付でひとりだけなのか?

 

誰か人員補充はあるのか?

 

今までメリッサが受けていた電話をこれから全部俺が受けるのか??

 

これは俺にとっても大ピンチだ!!)

 

その後、電話が鳴るたびに僕はドキドキしながら出ました。

 

今までも何度かメリッサの昼休み中に電話に出て対応していたので、何とか聞き取れるようにはなっていました。

 

でも、それでも分からない時はあります。

 

僕より受付での仕事経験が長いメリッサがいないのは、かなりの不安です。

 

電話対応で一番困ったのは、「あれ?今日はメリッサは休みかい?」という質問です。

 

いつまでシラを切り通せばいいのか?

 

僕はとりあえず、「分かりません」でごまかしていましたが、自分でもまだ、この事実を受け入れられていないのを感じていました。

 

プラスとマイナス

わずか1ヶ月間のインターンシップ期間の間に、

 

「同僚がある日突然クビになる」

 

という欧米ビジネス文化のネガティブな側面を見れたことは、ある意味僕にとってはラッキーでした。

 

どんなシステムや、どんな文化にも、必ず「光と陰」があります。

 

その両方を体験したときに、初めてそれを理解したことになります。

 

それまでの僕は、欧米ビジネス文化のポジティブな面しか見れていなかったので、ここで初めてバランスの取れた見方ができるようになった気がしました。

 

メリッサがクビになった理由は?

メリッサがクビになったことについて話すことは、職場ではタブーみたいな雰囲気が漂っていました。

 

ただ、みんな「可哀そうだよね。」みたいなことを一言コメントして、後は違う話題に切り替えていきました。

 

あのおしゃべりなデイビッドでさえも、メリッサに関してはあまり多くを語りませんでした。

 

なんというか、この「ネガティブな側面は見ないようにする」ような感覚に、僕は違和感を覚えましたが、こういう点も含めて欧米文化なんだろうなと思いました。

 

結局、メリッサがクビになった理由は分からずじまいでした。

 

いつも隣の席で近くで見ていて、メリッサが大きなミスをやらかしたような雰囲気は感じませんでした。

 

真相は誰にも分かりませんが、僕の予想では、副社長に対するメリッサの強い態度が引き金になったのかな?と思っています。

 

が、決めつけはよくありません。どちらにしても、日本の職場では目撃したことのない状況に、僕はしばらく衝撃を受けていました。

 

・・・つづく。

 

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