From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
指さすだけで英単語の発音&意味が分かる「Yiidaスキャン式電子辞書」のレビューの続きです。
前回に引き続き、「ここがこうなったら良いのにな」と感じた改善点をお伝えしていきます。
改善点②熟語(成句)が読み取れない
この電子辞書でスキャンできる英単語は1度に1つだけです。
get on (乗り込む)
take off(離陸する)
put up(ガマンする)
など、「基本動詞+前置詞」の2語の組み合わせで1つの意味になる「熟語(成句)」は、残念ながら読み取ってくれません。
getを指さしたら、getの意味と発音が表示されます。
onを指さしたら、onの意味と発音が表示されます。
でも、get on を両方指さしても反応しません。
もし熟語が読み取れるようになったら、この辞書の利便性は一気にアップすると思います。
熟語は日常生活で使う範囲のものだけでも1,000種類ぐらいはあるので、英文を読んでいても必ず出てきます。
本体カメラの文字読み取り精度は高く、短いスペルのin, on, at などの前置詞や、a, the などの冠詞までしっかり区別して読み取ってくれます。
ということは、ハード面では「get on」を熟語として認識することもできる気がします。
ソフト面(スマホアプリ側)でも、従来型のタイピング式電子辞書の「成句検索」と同じ結果を表示させることはできそうな気がしています。
広がる可能性
この「Yiidaスキャン式電子辞書」は、A4用紙2枚分までの範囲の英文の中の英単語をすべて読み取る力があります。
その力を応用すれば、こんな夢のようなことが可能になるかもしれません。
①熟語の意味を「文脈」から判断して翻訳してくれる。
②開いた本の見開きページの英文すべてを一瞬で翻訳して、適切な日本語で表示したり読み上げてくれる。
もしこの2つが実現したら、電子辞書業界に「革命」が起こるでしょう。
②はグーグル翻訳のカメラ機能が進化することで実現できそうです。ただ、②は英語ができない人達にはウケそうですが、英語学習者視点では②よりも①の熟語の理解の方が魅力的です。
僕ら英語学習者は、英文の日本語訳を知りたくて英語の本を読むわけではありません。
英文の構造をしっかり理解しながら、英語を英語の語順のまま理解するために英文を読みます。
その視点で見ると、①の熟語の意味を文脈から教えてくれる方が助かります。
1つの熟語には、たくさんの意味があります。
get on の意味だけ調べても、何種類も出てきます。
従来型のタイピング式電子辞書では、「get on」と打ち込んで出てくる何十種類もの意味の中から、「文脈的にしっくる来るもの」を自分で選び取るしかありません。
この「選ぶ作業」はかなり時間がかかります。そして、自分の選択が合っているのか?もよく分からないことがあります。
この「文脈からベストな意味を選ぶ作業」をAIが自動でやってくれたら、学習時間の大幅な短縮になるでしょう。
カメラで文字を読み取るスキャン式電子辞書が進化すれば、近い将来こんなことも可能になる気がしています。
僕がこの記事を書いているのは2020年の4月です。
あと数年後~10年ぐらいの間には、これが実現していたら嬉しいです。
従来型のタイピング式電子辞書はこの十数年ずっと形が変わっていません。
同じ形の中で、
・ネイティブ発音読み上げ機能が誕生
・モノクロ画面からカラー画面へ
・収録辞書の数がアップ
・音声録音機能&発音ジャッジ機能が誕生
といった感じで進化してきました。そしてここ数年は成熟期に入って進化のスピードが遅くなってきた気がします。
決まった形の中では、もうだいぶ「やり尽くした感」があります。
この「Yiidaスキャン式電子辞書」は、そんな電子辞書業界に新しいアイデアを吹き込むような存在になる予感がします。
学校に導入されたら・・・
ところで、英語の達人養成ジム五反田スクールの受講生の方が、これを見て面白いアイデアを話していました。
「学校の教室の天井にこのカメラをつけて、生徒たちや先生が指さした英単語が、教室内のスピーカーから発音される」
という未来予想図です。
なんとなく技術的には実現できそうな気がします。
教室で辞書を引く手間が省ければ、学習効率も上がるかもしれませんね。
・・・つづく。
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