【幼児が母国語を身に付ける流れ:娘の観察日記⑤】

from 師範代Shinya

(→前回のつづき)

※2才の娘が日本語を習得する過程を観察した内容のシェアの続きです。

娘が順調に言語能力を伸ばしている中、1つだけ「常に変わらないこと」を発見しました。
それは、言語能力が著しく落ちて、赤ちゃん状態に戻ってしまうことがあるのです。

では、いつそれが起こるかといういうと、「感情が乱れている時」です。

・泣いている時

・怒っている時

・お腹がすいたり喉が乾いている時

この3つの状況では、程度の差に関係なく、言語が赤ちゃんレベルに戻ってしまうのです。

それまで完全な文章で話せていたのが、突然、単語を1つだけ発音するだけになってしまいます。

泣いている時は仕方ないとしても、機嫌が悪かったり怒っているだけでも、まったく文章を作れなくなってしまいます。

また、こちらが話す言葉の理解度も落ちます。

僕が話しかけても、おそらく娘は内容を理解できなくなっています。

まったく聞こえている気配がありません。

理解度がほぼゼロになってしまい、ひたすら顔をゆがめながら単語を1つだけ発します。

その単語は、

・「バナナ!」など、今食べたいもの。

・「降りる!(ベビーカーから)」など、今したいこと。

・「やだ!」と単に気持ちを表す言葉。

など、種類はさまざまです。

でも共通することは、感情が乱れると、言語能力が著しく落ちるのです。
リスニングもスピーキングも、能力が機能しなくなるようです。

大人の英語学習でも同じ

そしてこれは、大人の英語学習でも同じことが言えると思います。

ふだんの瞬間英作文トレーニングでは言えているカンタンな作文でも、英会話レッスンで外国人の先生を前に緊張していると、まったく口から英語が出てこなくなることがあります。

また、文型が乱れてめちゃくちゃな語順になってしまったり。

英単語もカンタンなものがすぐに思い出せなかったり。

緊張だけではなく、ちょっとした心の乱れ、肉体的な疲れ、心配事があるだけでも、英語のスピーキング力は大きく落ちることがあります。

また、リスニング力も同じです。

心が乱れると、リスニング力は一時的にガクンと落ちます。

特に分かりやすいのは、英検やTOEICなどの資格試験を受けている時です。

それまで順調にリスニングできていたのに、一問分からない問題に出会うと、そこで気持ちが乱れることがよくあります。

「あれ?聞き取れない?!なぜだー!!こんなところでつまずいている場合ではないのに!!」

といった感じで、心の乱れが出てしまうのです。

すると、その先のリスニング問題がまったく聞き取れなくなってしまうことがよくあります。

頭の中が真っ白になってしまい、カンタンなはずのリスニング問題でさえ、まったく理解できなくなってしまうのです。

このスパイラルに入ってしまうと、そこから抜け出すのはかなり難しくなります。

4~5問ぐらい連続で間違えると、大きく気持ちが落ちてしまい、「今回のテストは、もうダメかも・・・」とあきらめモードに突入します。

そうなると、リスニング問題でけではなく、リーディング問題も頭に入ってこなくなります。

冷静な時には読める英文が、まったく読めなくなってしまうのです。

第1優先は「心を戻す」こと

僕も英検やTOEICの受験中に同じ状況になったことが、何度もあります。

何度も点数が落ちる悔しさを味わった後、優先順位を決めました。

つまずいたら、とにかく第1優先は「乱れた心を戻すこと」にしたのです。

リスニング問題で1回つまずいたとします。

「あっ!今のは聞き逃した!回答文を読んでも分からない!自信がない!」

そしたら、その問題はすぐに捨てて、次の問題に集中します。

その時に集中しようとしても、心の中で「もったいないオバケ」の声が聞こえてきます。

「この問題を落とすなんて、もったいないぞ~!ちゃんと戻って考えてみたらどうだ~?」

そんな声が心の中に聞こえてきたら、「ぬん!」と気合いを入れて、もったいないオバケを心の中から追い払います。

集中力が落ちて頭の中が真っ白になるのを防ぐために、心の中を真っ白に戻すのです。

今、この瞬間の自分のタスクは、「とにかく落ち着いて集中力を取り戻すこと」と決めて、そこだけに集中します。

これには慣れが必要なので、最初からうまくいくとは限りません。

でも、うまくできるようになると、だんだん楽しくなってきます。

これはスキルなので、訓練を積めばどんどん上達していきます。

本番の試験だけではなく、練習問題でも練習できます。

ただし、本番テストの方が「もったいないオバケ」が強くなって出てくるので、やはり本番の場数を増やすことが重要です。

多少落としても大丈夫

僕の経験上、「試験中に最初から最後までつっかえずに解けた時」よりも、「途中で苦戦して、その後すぐ心の乱れを戻した時」の方が、結果の点数が良いことが多いです。

実際、自分のTOEICスコアの自己ベストの975点が出た時も、リスニングとリーディングの両方で何問か捨てました。

TOEICは偏差値制なので、自分がつっかかった問題では、他の受験者もつっかえている可能性が高いです。

その時に、自分だけメンタルを立て直して次の問題に集中できれば、集団の中での順位が上がりやすくなるのです。

その結果、「捨てた問題が多い時ほど、なぜか点数が高い」という現象が起こるのでは?と予想しています。

これは僕だけではなく、僕が教えてきた生徒さん達に共通することです。
「今回は、自信がないです・・・」

とコメントした時に、自己ベストのスコアが出ることが多いのです。

「心が乱れると、言語能力が落ちる」

これは、子どもも大人も同じようです。

次回は最終回として、娘の日本語習得の流れを観察して気付いた「リスニングとスピーキングのスキルの差」についてお伝えします。

 

・・・つづく

 

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