
from 師範代Shinya(英語学習のヒントをYouTubeでも発信中)
前回の記事では、第二言語論の専門家の川崎あゆみ先生の3冊の本を比較しながら、今回の新刊『マンガでわかる!万年初心者でもパッと出る英会話』の特徴をご紹介しました。
今回からは、実際に本の中身を詳しくレビューしていきたいと思います。
まず、僕がこの本を読んでいいなと思ったのは、英語学習の初心者が「これなら自分にもできそう!」と感じられるような作りになっていることです。
最初から難しい英単語や文法を覚えさせるのではなく、今持っている英語力を使って、できることから始めていく方法です。
マンガの主人公は、英語が苦手な大人
この本は、マンガ家のあきばさやかさんと、第二言語習得論の専門家である川崎あゆみ先生の掛け合いで進んでいきます。
あきばさんは、英語が苦手な初心者代表という立ち位置です。
冒頭では、外国人から突然道を聞かれて、うまく英語が出てこない場面が描かれています。
あゆみ先生がサッと英語で道案内をする姿を見て、あきばさんは「自分にはこんなことできない」と感じるわけです。
でも、ここからあゆみ先生のアドバイスを受けながら、少しずつ英語を使う練習を始めていきます。
このマンガの良いところは、あきばさんが初心者の気持ちを代弁してくれることです。
「そんなこと言われても、英語を話す相手がいないんですけど。」
「やっぱり、正しい英文を作らないとダメなんじゃないですか?」
といった疑問が出てくるたびに、あゆみ先生がわかりやすく説明してくれます。
読者も、自分がその場で教えてもらっているような感覚で読み進められると思います。
この本の全体の作り
この本の作りは、1つのユニットが4部構成になっています。
①最初にマンガパートを読む。(二人の掛け合いでストーリーの中で英語の練習法を知る)
②習った方法を使って、あゆみ先生のプチレッスンを受ける。
③レッスンで習ったことをベースに、プチエクササイズをやってみる。
④最後に、自分ごとに当てはめてしゃべってみる。
という流れです。
一番最初のステップ①で新しい知識を得る部分でマンガを使っているので、頭に入りやすくなっています。
また、読みながら出てくる「そうは言っても・・・」という読者の反論を、あきばさんが代弁し、あゆみ先生が答える。その流れがあることで、共感しながら読み進められる作りになっているのです。
とにかく、すべてのステップを「読者の負荷を軽くすること」に全振りした構成が、初心者にも優しいと感じます。
ここから先は、この本の中のユニットの中から、一部をご紹介します。
最初は単語だけでもいい
この本の最初のチャプターでは、いきなり英文を作るところからは始めません。
まずは、目の前に見えているものを英語で言ってみるところからスタートします。
最初のマンガパートで、あきばさんが電車に乗っている時に、窓の外に木が見えたら「tree」、犬が見えたら「dog」と言ってみるシーンが描かれます。茶色い犬がいたら、「brown dog」と言う。
これだけです。
本来は英文にした方がいいのでは?と思うかもしれませんが、最初はそこまで考えない。
まずは、自分の頭の中に浮かんだイメージを、知っている英語に変えてみることが目的だからです。
ちなみに、この時に大事なのは、日本語の文章を一字一句英語に翻訳しようとしないことです。
たとえば、「犬を散歩させている男性がいる」という日本語を最初に作って、それを正確に英訳しようとすると、けっこう難しいですよね。
でも、見えているものから直接「man」「walk」「dog」と英単語を思い浮かべるなら、ハードルがかなり下がります。
この段階では、まだ文法的に正しい英文を完成させることが目的ではない、とマンガの中であゆみ先生は言います。
少しずつ自分のことを話してみる
目の前にあるものを英語にすることに慣れてきたら、今度は自分の行動を英語で実況してみます。
たとえば、
I get up at seven.
「7時に起きます。」
I work in Tokyo.
「東京で働いています。」
といった簡単な英文です。
その次の段階では、自分の気持ちも英語にしてみます。
It was fun.
「楽しかったです。」
I really like it.
「これ、本当に気に入っています。」
こんな感じですね。
さらに慣れてきたら、自分の意見を言ったり、映画や本の内容を説明したりする練習へと進んでいきます。
これらの練習は、英会話の相手がいなくても、一人でできるところがいいですね。
「言えないこと」に気付くのも練習のうち
もう一つ、僕がいいなと思ったのは、英語で言えなかった場合の考え方です。
普通は、英語が出てこないと「まだまだ単語力が足りないな」と感じてしまいますよね。
でも、この本では、「まず自分が知っている英語だけで何とか言ってみる」ことをすすめています。
たとえば、「快速電車」という単語がわからなかったら、ひとまず「fast train」と言ってみる。
その後で、もっと適切な言い方を調べてみるわけです。
最初から辞書で正解を探すのではなく、一度自分の頭で考えてみる。
すると、「ああ、これは英語で何て言うんだろう?」という疑問が生まれるので、その後に調べた単語も印象に残りやすくなると思います。
本の中には、このような小さなエクササイズが用意されていて、学んだことをその場ですぐ試せるようになっています。
僕は、この作りが気に入りました。
英語を話す練習というと、つい身構えてしまう人もいると思いますが、まずは目の前にあるものを英語で言ってみるだけなら、今すぐ始められますよね。
次回は、この本の表紙にも大きく書かれている「単語はたった721でいい」という考え方について、詳しく見ていきたいと思います。
P.S.
今回レビューしている本はこちらです。
今回ご紹介したような練習は、英語の勉強を始めたばかりの方にも取り入れやすいと思います。
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