From 師範代Shinya(新村真也)
先日、妻と国内旅行に行ってきました。行き先は、高知県です。
旅先を高知にした理由は、
・お互いに一度も行ったことがない場所
・妻が自然の中が好きなので、山、川、海がある場所
・妻の弟が「高知に行きたいんだよねぇ~川の水がキレイで、すごく良いらしいよ。」と言うのを聞いて、興味がわいた。
という3つでした。
2泊3日の短い期間だったので、羽田から飛行機で行き、高知に着いたらレンタカーで移動する計画を立てました。
妻が事前に行き先をチェックして選んでいたので、僕は高知のことをあまり下調べすることなく、上陸しました。
高知の歴史人
高知に着くと、いたるところに「坂本龍馬」という文字がありました。
レストランのメニューには、「龍馬が愛した○○」などの表記があったりして、やはり、坂本龍馬は観光客にも地元人にも一番人気のようです。
そしてもうひとり、僕らが泊まったホテルの周辺でよく見かけた名前がありました。
それが、「ジョン万次郎」です。
日本初の帰国子女
ジョン万次郎は、何年か前に僕が見たNHKの英語の歴史番組の中でも取り上げられていて、とても興味深いストーリーだったので、よく覚えていました。
そこではたしか、ジョン万次郎は「日本初の帰国子女」と紹介されていました。
ジョン万次郎は今から192年前、漁師の家に生まれました。
14才の時に漁に出て、遭難してしまいました。
その後、無人島に漂着して、そこで生活を始めました。
無人島に着いてから約5ヶ月たった後、アメリカの船が通りかかって助けられました。
でも当時は、日本は鎖国状態だったので、アメリカの船は近づけませんでした。
そこで、船長に頼んでそのまま船の乗組員として10年間働いたそうです。
船が行く先々でアメリカの街の雰囲気を経験し、英語も身につけていきました。
一度も英語を学んだ経験がないまま、いきなり英語漬けの世界に飛び込んだジョン万次郎。
今の日本人で言えば、「Hello も言えない状態でいきなりアメリカに留学する」ようなものです。
きっと、最初の頃はすごく苦労したと思います。
ジョン万次郎は、アメリカで約10年間過ごしてから帰国して、日本初の帰国子女になったそうです。
鎖国中の当時は、海外経験のある日本人はゼロなので、「海の外の世界を見てきた貴重な存在」だったに違いありません。
坂本龍馬も、ジョン万次郎から海外での体験談を聞いて影響を受けた、と言われているそうです。
その後、ジョン万次郎は日本で初の英会話教本を書きました。
その本の名前は、「英米対話捷径(えいべいたいわしょうけい)」です。
捷径(しょうけい)という文字の意味を辞書で調べてみると、「目的地に早く行ける道。近道。」と載っています。
「英米の人たちと対話するための近道本」という意味ですね。
キャッチーで良いネーミングセンスだと思います。
ジョン万次郎の地元
そんなジョン万次郎の地元が、たまたま僕らが泊まったホテルの地域でした。
朝、ホテルから車で3分の「足摺岬(あしずりみさき)」というところに行きました。
足摺岬には、ジョン万次郎の大きな銅像が立っていました。
「初めて日本人に英語を教えた日本人」のジョン万次郎は、僕にとっては大先輩のような存在です。
大先輩の志を分けてもらいながら、銅像の前で写真を撮りました。
「日本初の英会話本」がホテルに!!
その日の夕方、ホテルに戻ってから図書館スペースをウロウロしていたら、ジョン万次郎の書いた「英米対話捷径」が、なんと復刻版として置いてありました!
さっそく読んでみると、よく使われる英語の日常フレーズが並んでいて、その発音方法がカタカナで書かれていて、当時の日本語訳が書かれていました。
たとえば、
善き 日で ござる
グーリ デイ シャアー
Good day Sir.
とか、
わたくし は ことのほかに こころよひ
アイ アム プロテ ウワエル
I am pretty wll.
みたいな感じです。
ジョン万次郎は「耳で英語を覚えて、使う」という学習法を、当時の日本人に広めたようです。
カタカナ表記も、今の僕らが学校で学ぶ音とは違い、「文章の中で素早く読まれた時のつながった音」に近い表記になっています。
さらに面白いのは、日本語訳が「直訳」になっていることです。
英語を英語の語順のまま訳した日本語が載っているのが、実戦的だなと感じます。
文法的な解説はなく、ひたすら「よく使われるフレーズ」を収録したこの本は、現代で言えば、「旅行フレーズ集」のような感じです。
英米対話捷径にはイラストはありませんが、全体の作り的には「旅の指さし会話帳」が近い雰囲気だなと感じました。
黒船と同じ時期
この本が出版されたのは、黒船が日本に来た6年後だそうです。
江戸時代の人々は、この時期には、「西洋」「海外」の存在を強く感じていたに違いありません。
そのタイミングで出版された「英米対話捷径」の本は、きっとみんなの注目を浴びたことでしょう。
僕もいつか、歴史に残るような英語学習本を書いてみたい!
そんな気持ちにさせられた高知旅行でした。
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