From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダにビジネス留学していた頃の体験談の続きです)
ある日、副社長が珍しく、オフィスの中をぐるぐる歩き回っていました。
いつもは副社長は自分の部屋のこもっていて、めったに出てきません。
外出することも多いので、あまり話す機会がないのですが、今日はめずらしく僕にも話しかけてきました。
社内には、僕の他にもうひとり、ガブリエルというブラジルからの留学生がいました。
僕とガブリエルの2人が、この会社のインターン生です。
その日、僕とガブリエルは同じ場所で仕事をしていました。
僕のいつものデスクのパソコンが調子悪くなり、業者を呼んでメンテナンスをしてもらっていました。
その最中も僕はパソコンで仕事を進めなければならないので、ガブリエルのいつもの作業スペースにお邪魔して、そこにあるパソコンを使わせてもらっていました。
僕がパソコンでリサーチの仕事をしている間、ガブリエルは届いた荷物の段ボールを仕訳する作業をしていました。
そこへ副社長がやってきました。
日本人は勤勉
副社長は、僕を見るなり、ご機嫌な表情で,
「How are you?」
とあいさつしてきました。
僕も元気良く返しました。
すると、副社長はニコニコしながら、
「君はたしか、日本から来たんだっけ?」
と聞いてきました。
「はい!そうです!」
と僕が答えると、副社長はこんなことを言ってきました。
副社長:「日本人は優秀で勤勉だからね。放っておいても、いい仕事をする。名前は何て言ったっけ?」
僕:「あ、Shinyaです。」
副社長:「Shinya!期待しているよ!いつまで働いてくれるの?」
僕:「今月末までの予定です。」
副社長:「そうか!よろしく頼むよ!きっと君になら、大きな仕事を任せられる。」
そう言って廊下を歩いていきました。
僕は少し驚きました。
というのも、今まで僕が日本で働いてきた会社の上司は、ほとんどが「部下を褒めずにいつもキビしく接する」ことをモットーにしていたからです。
(これが欧米式かぁ・・・やっぱり、怒られるより褒められる方が、ヤル気が出るな!)
と思い、僕のモチベーションは上がりました。
とはいえ、これはマネジメントスタイル的にそういう「褒める方針」なんだろうと思いました。
新人のインターン全員に同じように優しい言葉をかけて、モチベーションを上げているに違いない。と思いました。
態度の違い
副社長が廊下を歩いて離れようとしたとき、少し離れた部屋からブラジル人のガブリエルが出てきました。
すると、副社長はガブリエルを見て、急に声のトーンが変わりました。
「怒鳴る」ところまではいきませんが、しゃべり方が鋭く、声が大きくなりました。
そして、
「その箱はもっと大事に扱え!」
だの、
「のんびりやってるんじゃない!」
だのと、厳しい態度に変わりました。
さっきまでとはまるで別人です!!
ガブリエルも緊張しているのが伝わってきます。
どういうことだ?
僕は副社長のキャラが分からなくなりました。
副社長が去っていくと、僕のところへ先輩社員のデイビッドがやってきました。
そして、僕に言いました。
「今日は副社長はどうやらご機嫌ななめだね。でも、シンヤはさすがだな!あんなに褒められるなんて!」
僕がなぜ褒められたのか?
でも僕は、なぜ褒められたのかが疑問でした。
なぜなら、副社長が今まで僕の仕事っぷりを見たことは一度もなかったからです。
さっき褒められた時でさえ、副社長は僕が何をやっているのかを確認しませんでした。
それなのに、なぜ僕は副社長に褒められたのか?
それをデイビッドに聞いてみました。すると、デイビッドに口からこんな言葉が飛び出しました。
デイビッド:「あぁ、それはきっと、シンヤが日本人だからだよ。」
僕:「え?僕は日本人てだけで、ちゃんと働くと思われてるってことですか?」
デイビッド:「そうだね。副社長は特に、日本人を高く評価しているんだよ。日本人は仕事の手を抜かず、いつでも最高のパフォーマンスを発揮しようとする。
そういう文化を持つ民族だって思ってる。これは副社長だけじゃないよ。おそらくある程度の年齢の人にとっては、日本人はすごい仕事に前向きで、デキる人種だって思われてる。現にシンヤはいい仕事してるしね!」
同じマーケティング部で僕の働く姿を毎日見ているデイビッドに褒められて、僕はさっき副社長に褒められた時より嬉しくなりました。
と同時に、副社長の中での日本人のイメージの良さに驚きました!
日本人のイメージ
その後、いろんな人と話す中で、やはり世界の人たちにとって日本人のイメージは、
「勤勉で仕事がデキるやつら」
というものだということが分かりました。
僕は、そんな風に見られているとはまったく思っていなかったので、すごく意外でした。
日本人はナメられてる!意志が弱くて煮え切らない態度を取る民族だと思われているに違いない!
と思っていたので、ぞんざいな扱いを受ける日が来るのではないか?という考えが、いつも頭の片隅にありました。
でも、少なくとも僕の働いている会社では、それは大きな勘違いでした。
日本人は高く評価されているようです。そして、僕はこの時、自分が日本人であることを初めて誇りに思いました。
と同時に、ここまで日本を短期間で進化させた先人たちに対する感謝の気持ちがわいてきました。
「日本を大きくしてくれてありがとう!おかげで自分は今、日本人だというだけで、ここカナダで高く評価されている!この期待に応えねば!
カナダの人たちの日本人に対する良いイメージを自分が壊さないようにせねば!」
という責任感のようなものが芽生えてきました。
・・・つづく。
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(英語の達人養成ジム 師範代)
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