From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
最近、僕が弟と2人で行った「ラスベガス1週間の旅」の体験談の続きです。
全米で一番人気のマジシャン、「クリス・エンジェル」のライブマジックショーを見に行った僕は、クリスの話す英語の聞き取りやすさに気付きました。
その前に見たデビッド・カッパーフィールド(デビカパ)のしゃべりは、8割ぐらいは聞き取れませんでした。
この2人のしゃべり方の違いを考えしながらクリスのしゃべりを観察しました。
すると、3つのポイントに気付きました。
①声の大きさ&出し方
②表情の豊かさ
③全体のイントネーションの強弱
この3つが絡み合って、わかりやすさに繋がっていると気付きました。
①声の大きさ&出し方
まず、クリスはしゃべる時のエネルギー値が高いです。腹の底から力を入れて、ものすごい大きな声を出します。
もちろん、ヘッドマイクを着けているので、声を届かせるだけなら、そんなに大声を出す必要はありません。
でもあえて、地声でも会場中に響き渡るぐらいの声量で話すことで、聞いている僕らの方にも、ビリビリと腹の底に響くような迫力になります。
そして、クリスはいつも大きな声を出しているわけではありません。演じるマジックの雰囲気に合わせて、ささやくような小声で話すこともあります。
その場合でも、しっかり聞こえるように話します。
なぜだろう?なぜ、大きな声と小さな声の両方が聞きやすいんだろう?と不思議に思いながら観察していました。
そして、分かったことがあります。
声が「こもって」いないのです。
声がもごもごこもっていると、いくらマイクで声量をアップしても、全体的に聞き取りづらく感じます。
クリスは、大きな声を出すときにも、小さな声を出すときにも、必ず声を前の方に出しているのを感じます。
だから、聞き取りやすいのです。
②表情の豊かさ
クリスは、話す内容によって、声のトーンと一緒に顔の表情も激しく変えてきます。
ものすごい大きく目を見開いて、観客をにらめつけるような表情をすることもあれば、仏様のような優しく包み込むような笑顔で見てくることもあります。
この大きな変化が、クリスの話すセリフ全体を聞き取りやすくしている気がします。表情から言いたいことのほとんどが伝わってくるのです。
③全体のイントネーションの強弱
クリスの話し方は、ものすごい極端なイントネーションの付け方が印象に残りました。
強く発音する場所と、弱く発音する場所のメリハリがスゴいのです!
たとえば、平坦に、
ロックンロール
と発音するのと、
ゥロッッッッックンローーーール!!
と発音するのとでは、だいぶ印象が違ってきます。もともと英語は、「大事なポイントを強く発音する」言語です。
なので、その強弱をさらに強めることで、「クリスが伝えたい英単語」が順番に頭に入ってきます。
そうすることで、たとえ文章全体が聞き取れなくても、言いたいことはしっかり伝わってくるのです。
日本人の英語が聞き取られにくい理由
今回のクリスの話し方を聞いていると、「日本人の英語がネイティブや他の国の人たちに聞き取られにくい理由」が見えてきます。
日本語は、もともとイントネーションが平坦な言語です。英語のような極端な強弱がありません。
なので、平坦なトーンで英語を話すと、相手に聞き取ってもらえる率が下がります。
さらに、僕ら日本人はどうしても自分の英語に自信が持てないので、声が小さくなりがちです。
さらに、Rの発音を意識しすぎて、声が後ろにこもり続けた状態で話してしまうことがたまにあります。これも、相手にとっては聞きづらくなる理由のひとつです。
そして最後は、顔の表情です。日本人は、人前で感情を出すのに慣れていません。
なので、英語を話すときにも、どうしても表情が固定してしまいがちです。
すると、西洋人にとっては「僕ら日本人の表情からメッセージを読み取る」ことができないので、なおさらこちらの英語が通じにくくなります。
①声の大きさ&出し方
②表情の豊かさ
③全体のイントネーションの強弱
この3つを意識するだけで、僕らの話す英語は聞き取ってもらいやすくなるのではないか?
そんなことを感じさせられた、クリスのマジックショーでした。
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