From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
 
誰もいない待合ロビーでの長い待ち時間の後、ついに動きがありました。
 
 
診察室へ続くドアが開いて、中から緑色の服を着た女性が出てきました。
 
 
先生なのか、看護師さんなのかの判別はつきません。
 
 
そして、僕の方に近寄ってきて言いました。
 
 
「旦那さんですね。処置は無事成功しましたので、ご安心ください。今は完全に血が止まりました。」
 
 
僕:「そうですか!ありがとうございます!」
 
 
僕はホッと一安心しました。
 
 
とはいえ、さっきの病院でも最初は「大丈夫です」と言われた後にこの事態に陥ったので、完全に安心はできません。
 
 
でもこの病院は明らかに「救急患者に対応し慣れている」という雰囲気が漂っていました。
 
 
おそらく先生たちもこういったケースの経験が豊富で、色んな器具も揃っていそうなので、もしまた何かあっても、すぐに対応してもらえるという点では安心できます。
 
 
続けてその先生(看護師さん?)が言いました。
 
 
「今、奥様は意識がしっかりしてらっしゃるので、ご安心ください。」
 
 
僕:「そうですか!良かったです。ところで僕は、病室に入れるのでしょうか?」
 
 
「そうですね。入れるには入れるんですが・・・ちょっと周りに血がたくさんついているので・・・奥様から、旦那さんは血に弱いと聞いているんですが、大丈夫ですか?」
 
 
僕:「あっ・・・そうですか・・・確かに、僕は自分の血を見てビックリして貧血になったことが何度かあります。」
 
 
「じゃあ、血が見えないようにしてからお呼びしますね。もう少しお待ちください。」
 
 
僕:「分かりました。ありがとうございます。」
 
 
とりあえず病室に入れることが分かって、ホッとしました。
 
 
もし入れなくても、ロビーで一晩待つ覚悟で来たので、サヤの顔が見れるだけでもここまで来た甲斐がありました。
 
 
それからさらに30分ぐらいの待ち時間の後、ついに病室に呼ばれました。
 
 
 

サヤの姿

病室に入ってサヤの顔を見たとき、僕は一瞬、言葉を失いました。
 
 
サヤの顔は、さっきのLINE越しで見たのとはまったく違っていました。
 
 
全身が完全に真っ白で、血の気がなくなっています。
 
 
同じ白でも、化粧品のCMで見るような「美白」とは違うのが一目で分かりました。
 
 
真っ白ながらもちょっと黄色みがかっているというか、今までに見たことのないような色です。
 
 
酸素マスク越しに見える唇の色も、薄い紫がかった白になっていて、表面がカサカサに乾いていました。
 
 

ドラマでしか見たことのない光景

僕は刑事ドラマが大好きなのでよく見るのですが、「殺人事件の被害者家族が、遺体確認の時に布を取って顔を見て泣き崩れるシーン」がよく出てきます。
 
 
こういうシーンでは、被害者役の役者さんがメイクで顔と唇を白くしています。
 
 
今のサヤは、僕が見慣れた「ドラマの中の死人」と同じ顔の色をしていました。
 
 
顔色だけではありません。サヤの身体中には、たくさんのチューブがつながれていました。
 
 
そのチューブが、点滴やら輸血やらのパックとつながっています。
 
 
さらに、サヤの周りには血圧や心拍数を計る機械が数台つながっていました。
 
 
それらの機械が、無機質に「ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・」とリズムを刻んでいます。
 
 
ドラマでしか見たことのないような、壮絶な光景の中にサヤがいるのが、僕にはいまだに信じられませんでした。
 
 
サヤは僕の方を見ながら、意識をしっかり保っているようでした。
 
 
ただ、まぶたが腫れて目を開いているのがツラそうに見えました。
 
 
最初の通話からわずか数時間で、こんな姿になってしまうとは・・・
 
 

血を失う恐怖

人間の身体にとって、血液を失うことがどれだけ危険か?を痛感しました。
 
 
サヤは僕に向かって弱々しく手を振りました。そして何かブツブツ言いました。
 
 
でも僕はサヤの弱った姿に圧倒されてしまい、しばらくは返す言葉が出てきませんでした。
 
 
家にいる間にさんざん泣いたせいか、今はもう涙が枯れて何も出てきません。
 
 
でも、サヤのあまりに痛々しい姿を見て、僕は心の中で泣いていました。
 
 
 
・・・つづく。
 
 
 
 

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