From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
長時間の輸血を続けたことで、サヤの顔色はだんだん元に戻ってきました。
夜中の2時を回っても、まだ血液検査の結果が返ってきませんでした。
僕は「今ならもう、旦那さんは朝までここにいてもいいですよ、と言われるのでは?」と希望の光を感じ始めました。
そこで、次に看護師さんが見回りに来たタイミングで、聞いてみました。
僕:「もうあと数時間で夜が明けるので、今夜はここにいてもいいですか?」
看護師さん:「そうですね。たしかにもう夜中ですもんね。電車もないし。」
僕:「はい。タクシーで帰っても片道1時間はかかると思います。それで明日またここに来たら、トータル2時間です。ここにいた方がずっとラクなんですが・・・」
看護師さん:「分かりました。ルール上は宿泊禁止なんですが、今回は特別のケースになるかもしれません。ちょっと確認してきますね。」
僕:「ありがとうございます!お願いします。」
その後しばらくして、看護師さんが戻ってきました。
例外でOK!
看護師さん:「今回だけ泊まってOKといことになりましたので、今夜はここにいてください。」
僕:「そうですか!良かったです!ありがとうございます!」
看護師さん:「ただ、他の方々には付き添いの方の宿泊をお断りしているので、明日の朝9時までは、あまり院内をうろつかないようにしてください。お手洗いに行く時以外は、できるだけこの部屋の中にいるようにしてください。」
僕:「分かりました。ここにいます。」
看護師さん:「じゃあ、ちょっと簡易的なベッドになるイスを持ってきますね。」
僕:「ありがとうございます!」
その後、看護師さんが持ってきてくれた、背もたれが倒れる大きめのイスの上で、仮眠を取ることにしました。
サヤは安心した表情で言いました。
サヤ:「あぁ~良かった!ずっと隣にいてもらえるのは、安心感がある。」
僕:「何かあったら、すぐ起こしてくれ。」
その後、サヤは気がゆるんで一気に疲れが出たのか、すぐに寝入りました。
マシンの音
僕も寝ようとしましたが、僕の頭のすぐ隣にある測定マシンが定期的に「ピーッ!」と大きな音を出します。
この測定マシンはおそらく、サヤの血圧や心拍などを計り続けている装置のようです。
大事な装置のせいか、とにかく音が大きいです。
しかも、ずっと音がしているわけではありません。
しばらく無音で、忘れた頃に急に「ピーッ!」と鳴るので、うとうとしていても目が覚めてしまいます。
まるで、定期的に鳴る目覚まし時計のようです。
サヤは完全に寝入っているので、この音でも目覚めることはなさそうでした。
僕はなかなか寝れませんでしたが、とりあえず横になっているだけでも、重力から解放されて身体の疲れが取れます。
奇跡の快復力
翌朝6時に、やっと血液検査の結果が出ました。
とりあえず数値は問題ないということで、ホッとしました。
結果が良かったので、救急処置のための部屋から、普通の部屋(出産直後の人達が泊まる部屋)に移動しました。
今までいた部屋にはたくさんの機械があり、ものものしい雰囲気でした。
でも、新しく移った部屋は普通の感じで、窓もあって外の景気が見れて、リラックスできる雰囲気でした。
この部屋の雰囲気が、「とりあえず危険な状況は乗り越えた!」という安心感を与えてくれました。
その後は、サヤは奇跡の快復力を見せました。
出されたご飯もしっかり食べられて、顔色はどんどん良くなっていきました。
ただ、血液の中の「ヘモグロビン」という数値は、安定するまでに時間がかかります。
いくら食事で栄養が取れるようになっても、急に回復するようなものではないそうです。
このヘモグロビンの数値が安定しないと、ふらついて歩くのが難しかったりするそうです。
さすがに今日中に元の病院に戻るのは難しいだろうということで、もう一日この病院に泊まることになりました。
僕はとりあえず、夕方に一度家に帰って、翌日また来ることにしました。
とりあえずここまで回復したことに、僕はホッと胸をなで下ろしていました。
家に帰るとどっと疲れが押し寄せてきて、そのまま爆睡してしまいました。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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痛み入って読んでいます。
なかなか患者さんサイドからのお言葉って、直にお聞きする機会がないので…
血圧も心拍数も、出血の指標になるし、輸血でのトラブルなどもモニタリングして発見せねばならないので、モニターは必須ですが、腕も定期的に締め付けられるし、ご家族の睡眠も阻害されますよね。また、こういった場合はナースステーションに近い個室だったと思いますが、家族に泊まっていただけるよう気を回すことができればよかったですね。患者さんから言ってもらえてよかったと思います。
日本では、数年前から助産師は、1年に1回、新生児蘇生と母親の出血についての訓練を受けることになっています。私はずっと日本を離れているので、訓練は受けていませんが、研修に来たネパール人に付き添って通訳したことがあります。開業助産師でも、病棟助産師でも、クリニックの助産師でも、この訓練は受けておくべきだと強く感じました。
出産でも、子育ての途中でも、女性は「自分はどうなってもいい」と思う瞬間があるようです。例えば「授乳に必死になってしまい、自分が栄養を摂らなくても、この子だけは母乳を」とやせ細ってしまった助産師の友達がいます。専門職でも、自分や家族のこととなると、このようになってしまうこともあるんですね。
子育ても大変になると思いますが、明るいShinya先生とサヤさんなら、笑顔で楽しいご家庭を!応援しています。
Yasuyoさん
ありがとうございます!助産師さん目線からの考え方、とっても参考になります。
授乳に必死になって自分がやせ細るというのは、スゴいですね!
でも、サヤを見ていると、やはり「本能は人を行動に駆り立てる」ということが伝わってきます。
男女で自分の子供の見方が全然違うもんだなぁ〜とも感じます。
だからこそ、お互いにすれ違うこともあれば、補い合うこともできるんだなとも感じている日々です。