
from 師範代Shinya
大人になってから、もう一度何かを学びたいと思う人は多いです。
英語を話せるようになりたい。
資格を取りたい。
仕事に必要な知識を身につけたい。
昔から興味があったことに挑戦したい。
ところが、いざ始めてみると、思ったほど続きません。
教材を買ったまま開かなくなったり、オンライン講座を申し込んだだけで満足してしまったり、忙しい日が何日か続いたところで、そのまま遠ざかってしまいます。
そして最後には、
「自分には根性がない。」
「やっぱり年齢的に厳しいのかもしれない。」
と、自分を責めてしまいます。
でも、大人の学び直しがうまくいかない理由は、やる気や能力が足りないからとは限りません。
むしろ僕は、大人が若い頃と同じ感覚で学ぼうとしてしまうことに、つまずきの原因があると思っています。
大人には、すでに埋まっている生活がある
学生時代は、勉強すること自体が生活の中心でした。
学校へ行き、授業を受け、宿題をして、試験に備える。
もちろん部活やアルバイトもありますが、基本的には「学ぶための時間」が最初から用意されています。
一方で、大人の生活には仕事があります。
家事があります。
子育てがあります。
人間関係もあります。
さらに、疲れた心と身体を回復させる時間も必要です。
つまり大人の学び直しは、何も入っていないスケジュールに勉強を足すのではなく、すでにいっぱいになっている生活の中へ、何とか学習時間を入れる作業になります。
ここを見落として、
「毎日1時間やろう。」
「朝5時に起きよう。」
「休日にまとめて取り戻そう。」
と決めても、なかなか予定通りには進みません。
できない自分が悪いのではなく、最初の計画が、今の暮らしに合っていない可能性があります。
僕自身、今は午前中に英語をインプットして、夕方にオンライン英会話でアウトプットする流れを作っています。
でも、これは突然できるようになったわけではありません。
仕事や家族との時間を考えながら、どこなら無理なく英語を入れられるかを何度も試して、少しずつ今の形になりました。
大人の勉強は、空いている時間を探すことよりも、生活の中に置いても崩れにくい場所を見つけることが大切です。
学んだことを、すぐに使えるとは限らない
大人は、学ぶことに対して結果を急ぎやすいです。
英語を勉強したら、すぐに話せるようになりたい。
本を読んだら、すぐに仕事に生かしたい。
講座を受けたら、すぐに変化を感じたい。
お金も時間も使っているので、そう思うのは当然です。
ただ、学習した内容が自分の中に定着して、自然に使えるようになるまでには、想像以上に時間がかかります。
僕も英語を始めた頃、覚えた表現を英会話スクールで使おうとしても、なかなか口から出てきませんでした。
家では分かっていたはずなのに、先生を前にすると頭が真っ白になる。
レッスンが終わってから、
「あの時、あの表現を使えばよかった。」
と気づくことも何度もありました。
でも、これは勉強したことが無駄だったわけではありません。
まだ、知っている英語が使える英語に変わる途中だっただけです。
大人は、結果が見えない期間を失敗だと判断しがちです。
けれども、外から変化が見えない時にも、頭の中では少しずつ整理が進んでいます。
同じ英文を繰り返し音読していると、最初は読むだけで精いっぱいだったものが、だんだん意味を感じながら言えるようになります。
さらに続けると、オンライン英会話の中で、似た表現がふと口から出る瞬間があります。
その小さな変化に気づけるようになると、学び直しは続きやすくなります。
正解の勉強法を探しすぎてしまう
大人は、できるだけ効率よく学びたいと思います。
遠回りを避けたい。
時間を無駄にしたくない。
できるだけ早く結果を出したい。
そのため、勉強を始める前に方法を調べます。
おすすめの教材。
効率の良い暗記法。
最短で身につく学習法。
検索すれば、たくさんの情報が出てきます。
ところが、調べれば調べるほど、どれを選べばいいのか分からなくなることがあります。
一つの教材を始めても、別の人がおすすめする方法を見つけると、そちらの方が良く見えてくる。
そして、まだ十分に取り組んでいないのに、教材ややり方を変えてしまいます。
僕も英語学習の初期には、もっと効率の良い方法があるのではないかと思い、いろいろな教材に目移りした時期がありました。
でも、英語力が伸びたと感じられたのは、特別なメソッドを見つけた時よりも、同じ教材を繰り返し使い込んだ時でした。
一度で覚えられなかった英文が、何度も触れるうちに自分の中へ入ってくる。
前は聞き取れなかった音が、ある日少しだけ聞こえる。
この積み重ねが、結果として一番大きな変化につながりました。
学び直しがうまくいかない時、方法が悪いとは限りません。
単純に、まだ変化が出るところまで続けていないだけかもしれません。
大人は、できない自分を許しにくい
子どもが何かを始めた時、最初から上手にできるとは思いません。
転びながら自転車を覚えたり、間違えながら文字を書いたりする姿を見ても、
「才能がないからやめた方がいい。」
とは考えないはずです。
ところが、自分のことになると、大人は急に厳しくなります。
一度覚えた単語を忘れただけで落ち込む。
前にできたことが今日はできないと不安になる。
周りの人より進みが遅いと、自分には向いていないと思ってしまう。
僕も英語を始めた頃は、同じミスを繰り返す自分にがっかりしました。
何度練習しても言えない表現があると、
「自分は英語のセンスがないのでは。」
と感じることもありました。
でも、今振り返ると、その間違いや停滞も含めて、すべてが学習の途中でした。
大人の学び直しに必要なのは、間違えないことではありません。
分からない自分や、忘れてしまう自分を、そのまま学習の場に置き続けることです。
できない日があっても、そこで終わりにしない。
計画が崩れても、小さく戻ってくる。
この柔軟さが、長く続けるためには欠かせません。
学び直しを成功させるのは、意志よりも設計
大人の学び直しがうまくいかない本当の理由は、意志が弱いからではありません。
すでに忙しい生活の中で、結果を急ぎ、正解の方法を探し、できない自分に厳しくしすぎるからです。
必要なのは、もっと気合いを入れることではありません。
今の生活に合わせて、続けられる形に調整することです。
毎日1時間できないなら、10分にする。
全部覚えようとせず、同じ内容を何度も繰り返す。
結果だけではなく、前より少し分かるようになった変化を見る。
できなかった日があっても、翌日に静かに戻る。
大人には、子どもの頃にはなかった経験があります。
自分がどんな時に疲れるのか、何なら続けやすいのか、どんな環境なら集中できるのかも、少しずつ分かっています。
その経験を無視して、理想的な学習者になろうとする必要はありません。
大人の学び直しは、若い頃と同じように頑張ることではなく、今の自分に合う学び方を作り直すことです。
うまくいかない時は、自分の能力を疑う前に、学習の置き方を見直してみてください。
続かない自分を責めるよりも、続けやすい形に組み替える。
そこから、大人の学び直しは少しずつ動き始めます。
P.S.
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