From 師範代Shinya(新村真也)
前回に続き、今日は、「瞬間英作文トレーニング」用のオススメ本の最後の1冊をご紹介します。
「会話できる英文法大特訓」
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可愛らしい外見のカバーですが、中身はかなりの骨太です!
良いところ①例文が自然で実戦的
この本の最大のウリは、例文の自然さです。
瞬間英作文用の本は、どうしても例文が不自然で教科書的になりがちです。
その欠点をカバーしてきた本だと言えます。
例文には「こなれた話し言葉」が多く、ネイティブが日常生活で使う表現がたくさん盛り込まれています。
覚えたフレーズをそのまま日常会話ですぐに使うことができます。
よく、「これって英語で何て言うの?」という疑問が出てくるようなフレーズが満載です。
たとえば、
「どうだっていいよ」
「まいった!」
「どう?」
といった、日常でよく使うけど意外に英語で何て言うか分からない表現がたくさん入っています。
良いところ②一冊で会話に必要な文法を全てカバー
見開きで1つの文型が載っているのですが、わずか200ページ弱の中で、会話に必要な文法をほとんど全てカバーしています。
大学受験用の英文法レベルまで入っているので、相当高いレベルまで含みます。
以前紹介した「中学英語で24時間話せる」は中学英語の範囲内でした。
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」の本は、中学英語+アルファのレベルでした。
でも、この「会話できる英文法大特訓」の本は、ガッツリ大学受験英文法まで含んでいます。
仮定法過去完了や倒置法まで入っているので、かなりのハイレベル学習者でも手応えのある内容になっています。
良いところ③付属CDが使いやすい
付属のCDは、本なしでも瞬間英作文ができるようになっています。
①日本語文
↓
②ポーズ(空白)
↓
③英文
という順番で読み上げるので、ポーズの間に自分で瞬間英作文をして、合っているかどうかを、その後に流れる英文を聞いて確認することができます。
以上、良いポイントを3つお伝えしました。
では、ここから残念なポイントを3つお伝えします。
残念なところ①日本語訳がわかりづらい
この本は、日本語訳も自然になるようにしてあります。
それが裏目に出て、瞬間英作文トレーニングをやりづらくしています。
たとえば、
日本語文:いいですか。英文:Do you mind?
という例文があります。
日本語の「いいですか?」は、色んなシチュエーションで使えます。
なので、場面に応じて英文のフレーズは大きく変わります。
Do you mind? を正確に瞬間英作文するためには、日本語の例文は、
「あなたは気にしますか?」
の方がやりやすいです。
日本語訳としては不自然でも、瞬間英作文トレーニング用の日本語文としては、そっちの方が役立つのです。
他にも、日本語文で「主語や目的語」を抜いているものがあります。
たとえば、
日本語文:そこにいるとは思いますが、もしいなかったら電話してください。英文:I should be there, but if not, please give me a call.
という例文があります。
この日本語文には、「誰がいないのか」という情報が欠けています。
これでは、正確な瞬間英作文はできません。
瞬間英作文用に言い換えるなら、
日本語文:私はそこにいると思いますが、もしいなかったら、私に電話してください。
という風に、しっかり主語と目的語を「私」にして入れた日本語文にして欲しいところです。
たとえ日本語訳としては不自然になっても、その方が正しいトレーニングができます。
「そんなの、『この例文の主語は、私』っていう風に覚えてしまえばいいんじゃない?」
という意見もあるでしょうが、瞬間英作文トレーニングは、「フレーズ丸暗記型」のトレーニングとは違います。
「日本語文→英文」と丸暗記するのではなく、あくまで日本語文は英作文のヒントを与える「引き金」に過ぎません。
なので、日本語文が「日本語として自然な表現」である必要はないのです。
英文に忠実に直訳すれば、むしろ不自然な日本語文になるのがふつうです。
残念なところ②例文の難易度の差が大きい
ひとつの見開きページに1文型でまとまっているのですが、その中での英文のレベル差が大きいです。
たとえば、
最初の1ページ目は、中学英語の基礎中の基礎、「第1文型」の例文が9本載っています。
最初の例文は、
日本語文:それは机の上にあります。英文:It’s on the table.
という感じで、とてもシンプルです。
ところが、同じページの8文目には、
日本語文:どうだっていいよ。英文:Who cares?
という、こなれた口語表現が出てきたり、その次の9文目には、
日本語文:オーストラリアに行ったことがあります。英文:I’ve been to Austuralia.
といった感じで、現在完了形が使われていたりします。
これでは、時制などに振り回されてしまい、本来の第1文型の「型」の習得に専念できません。
ある程度すべての文法と型を身につけた人がやるならいいですが、初心者がこの本をやったら、1ページ目から挫折するかもしれません。
残念なところ③余計なヒントがある
日本語文の最後に、赤い文字でヒントがあります。
たとえば、
日本語文:シルビアはお酒をまったく飲みません。(ヒント:doesn’t)英文:Silvia doesn’t drink at all.
みたいな感じです。
でも、この例文で一番大事なのは、自分自身の力で「doesn’t」を引き出せるかどうか?です。
ここは、「don’t」とか、「isn’t」とか言ってしまいがちなので、ここが一番乗り越えたいポイントなのです。
そこに「doesn’t」というヒントを出してしまっては、意味がありません。(ヒントというより、むしろ「答え」と言った方がいいかもしれません)
なので、実際に瞬間英作文をするときには、ここを見ないようする必要がありますが、どうしても赤文字で目立つので見えてしまいます。
付属シートで隠しながらやると、両手がふさがってしまうので、不便です。
面倒ですが、ひとつひとつ修正ペンで消していくしかありません。
以上、この本の良いところ&残念なところをお伝えしました。
どんな人に向いているか?
以上の点から、この本が向いているのは、こんな人です。
・中学英語レベルの瞬間英作文トレーニングをひととおり終えて、次の負荷の高いレベルの本を探している人
・瞬間英作文用の本のような、不自然な例文ではどうしてもモチベーションが上がらず困っている人
・TOEICの点数は900点前後だけど、会話になるとなかなか口から言葉が出てこない人
この3つのうち、あなたがひとつでも当てはまるなら、この本は超オススメです!
どんなに優秀な本でも、万能なものは存在しません。
どんな教材にも、一長一短があります。
大事なのは、あなた自身の性格や、今の自分のステージに合ったものを選ぶことです。
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