
from 師範代Shinya(英語学習のヒントをYouTubeでも発信中)
英語を勉強していると、
「この単語帳をやれば、TOEICの点数は上がるのか?」
「この文法書を最後までやれば、英会話で使えるようになるのか?」
「この勉強法を続ければ、どのくらいで話せるようになるのか?」
と考えることがあります。
大人の英語学習では、特にこういう「費用対効果」のようなものを気にしやすいと思います。
僕自身もそうです。
せっかく時間を使うなら、できるだけ効果の高い勉強をしたい。
遠回りするより、最短ルートで上達したい。
これはとても自然な考え方です。
ただ、英語を20年以上続けてきた今は、
「英語学習も、少しくらい寄り道した方がおもしろい。」
と感じています。
むしろ、振り返ってみると、一見ムダに見えた寄り道が、その後の英語力やモチベーションにつながっていることがかなり多いのです。
英語学習では、つい「この勉強は何点につながる?」と考えてしまう。
たとえば、新しい英単語帳を買ったとします。
すると、
「この単語帳を1冊覚えれば、TOEICは何点上がるんだろう?」
と考えたくなります。
英会話教材なら、
「このフレーズ集を全部覚えれば、外国人とスムーズに話せるようになるのか?」
と考えます。
もちろん、目標から逆算して教材を選ぶことは大切です。
フォーマルなビジネス英語がメインのTOEICテストで800点を取りたい人が、TOEICにまったく出ないラフな俗語や、アカデミックな英単語ばかり覚えていても、効率がいいとは言えません。
でも、英語学習のすべてに、
「これは何点アップにつながるのか?」
「これは会話の中で本当に使えるのか?」
と意味を求め始めると、だんだん英語が苦しくなってきます。
僕も昔は、
「この単語、本当に使うかな?」
「この表現を覚える意味あるかな?」
と考えることがありました。
でも今は、昔ほど気にしません。
オンライン英会話で知らない表現が出てきたら調べます。
海外ドラマで気になる言い回しが出てきたらメモします。
最近なら昆虫について英語で話したくて、ふつうの英語教材にはまず出てこないような単語を調べることもあります。
これらの表現は、TOEICや英検にも出てきません。
でも、僕にとってはすごく楽しい英語学習です。
最短ルートだけでは「もっと知りたい」が生まれにくい。
英語学習には、効率のいい順番があります。
会話が目的の場合は、
①文法を理解する(イメージ英文法)
↓↓↓
②英文を何度も音読する(音読&瞬間英作文)
↓↓↓
③実際に英語を使う(英会話)
↓↓↓
④足りない英単語を覚える(ボキャビル)
↓↓↓
⑤英文を大量にインプットする(多読)
という流れです。
もし目的がTOEICなどの試験の短期点数アップなら、④のボキャビルを最初に持ってくることもあります。
僕も英語を教える立場なので、学習者にはできるだけ効率のいい方法を伝えたいと思っています。
ただ、効率だけで英語を続けるのは難しいとも感じています。
なぜなら、人間は機械ではないからです。
たとえば、
「この教材を1日1時間、半年間やれば伸びます。」
と言われても、その教材にまったく興味を持てなければ、半年続けるのはかなり大変です。
逆に、多少効率が悪くても、
「この英語、おもしろい。」
「これを英語で言えるようになりたい。」
と思えたら、勝手に調べます。
何度も聞きます。
何度も口に出します。
その結果、集中力が上がり、勉強時間は自然に増えていきます。
ちなみに僕は今、オンライン英会話では基本的にフリートークをしています。
レッスンが始まるまで、何を話すかまったく考えないことも多いです。
だから当然、話題によっては知らない単語も出てきますし、言いたいことが言えずに詰まることもあります。
効率だけを考えるなら、
「今日はこの表現を練習する。」
とテーマを決めて、その表現だけを集中的に使った方がいいかもしれません。
でも僕は、話が思わぬ方向へ転がっていく時間が好きです。
アメリカの学生生活の話になったり、仕事の話になったり、子育ての話になったり、格闘技の話になったり、昆虫の話になったりします。
その途中で、
「これ英語で何て言うんだろう?」
という疑問が出てきます。
僕にとっては、この寄り道がかなり重要です。
なぜなら、自分がその瞬間に本当に言いたかった英語だからです。
僕が英語を始めたこと自体、大きな寄り道だった。
そもそも僕が英語を始めた時も、
「将来、英語を仕事にしよう。」
と思っていたわけではありません。
当時はジーンズショップで働いていて、店長になったばかりでした。
毎月の売上目標やスタッフ育成など、仕事ではかなりプレッシャーを感じていました。
もちろん、この時点では転職など考えたこともありませんでした。
仕事で英語を使う機会もゼロです。
そんな中で始めた英会話は、キャリアアップのためではなく、「仕事とは違う世界に行ける息抜き時間」でした。
休日に英会話スクールへ行く。
外国人の先生と話す。
知らない表現を覚える。
当時の僕に、
「その英語学習は将来何につながるんですか?」
と聞いても、答えられなかったと思います。
TOEIC何点を目指していたわけでもありません。
英語講師になろうとも思っていませんでした。
ただ、おもしろかったから続けていました。
その寄り道を20年以上続けた結果、英語を教えるようになり、本を出版し、YouTubeで英語について発信するようになりました。
海外へ行く機会も増えました。
娘と2人でボルネオ島へ昆虫を見に行った時にも、英語がかなり役立ちました。
最初から全部つながっていたわけではありません。
後から振り返ると、つながっていたのです。
「役に立たない英語」もあっていい。
英語学習者の方と話していると、
「これは覚える必要ありますか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、覚える優先順位はあります。
英語初心者が非常に珍しい単語ばかり覚える必要はありません。
でも僕は、
「役に立つかどうかだけで、全部を判断しなくてもいいですよ。」
とも思っています。
洋楽が好きなら、歌詞を調べてみる。
海外ドラマが好きなら、気になったセリフを真似してみる。
料理が好きなら、海外の料理動画を見る。
昆虫が好きなら、昆虫の英単語を覚える。
それが試験に出なくてもいいのです。
むしろ、
「こんな単語、いつ使うんだ?」
と思っていたものが、数年後の海外旅行や外国人との会話で突然出てくることもあります。
その瞬間はかなりうれしいです。
そして、「もっと英語を知りたい。」という気持ちがまた生まれます。
この感覚は、英語学習を長く続ける上ではかなり大切だと思っています。
大人こそ、英語学習に少し余白を作る。
大人は忙しいです。
仕事や家事、子育ても・・・
だからこそ、「限られた時間をムダにしたくない」と思います。
僕も同じです。
ただ、効率を追い求めすぎると、英語学習そのものがおもしろくなくなります。
今日は単語帳から少し外れてみる。
オンライン英会話で教材を閉じて雑談してみる。
海外YouTubeをなんとなく見てみる。
知らない表現を、試験に出るかどうか考えずに調べてみる。
そんな寄り道があってもいいと思います。
最短ルートを走り続けることだけが、英語学習ではありません。
僕自身、20年以上英語を続けてきましたが、振り返ると記憶に残っているのは、効率よく教材をこなした時間だけではありません。
外国人と話してうまく伝わらなかったこと。
海外で初めて聞いた表現。
好きな映画から覚えた言葉。
自分の趣味について英語で話そうとして苦戦したこと。
英語でマジックを外国人相手に披露した時、事前に用意した英語のセリフが伝わらず焦ったこと。
そういう寄り道の一つ一つが、今の僕の英語につながっています。
「この勉強をしたら、何点上がるんだろう?」
と考えることも必要です。
でも時々は、
「これ、なんかおもしろそう。」
だけで英語に触れてみる。
大人の英語学習には、そのくらいの余白があった方が、結果的に長く楽しめるのではないかと思います。
そして、長い目で見れば、寄り道したことで英語力全体の上達スピードが早まることもあると感じています。
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