from 師範代Shinya
(→前回の続き)
前回の記事では、英語を日本語に意訳する場合に、「どうしても文字数が増えてしまいがち」ということをお伝えしました。
かといって、内容を翻訳者が勝手に要約して短くまとめてしまっては、原書のニュアンスが失われてれてしまうかもしれません。
そもそも、文章の中身を勝手に変えたら、作者に怒られてしまうでしょう。
・できるだけ原書に忠実に訳す
・ページ数を日本基準に合わせて減らす
という制約がある中で洋書を翻訳する側の立場で考えてみると、ページ数を減らすためにはおそらく「章ごとごっそり抜く」というのがベストだと思われます。
「この章は、文字スペースの関係上どうしても入らないので、抜いてもいいですか?」
というような依頼なら、外国人の著者も理解しやすく、GOサインが出る確率が上がります。
ところが、読者視点からすると、この「章ごと抜く」という作業は大きな損失になることがあるのです。
それを最近痛感する出来事があったので、ご紹介します。
僕が読んでいる本
これまでにも何度かブログやYouTube動画などでもご紹介していますが、「The 5 Love Languages」というタイトルの本を、僕は今自分の音読用教材として使い続けています。
内容をざっくり要約すると、
「結婚生活が冷め切った状態、離婚寸前の状態から脱出して幸せになる方法」
を伝える本です。
しかも、離婚して新しいパートナーをゲットするのではなく、「今のパートナーとやり直して、心の豊かさを手に入れる方法」が書かれています。
アメリカを中心に全世界で2,000万部以上も売れているこの本は、日本ではまだ有名ではありません。
お金の本は、日本では有名
同じように世界的に2,000万部以上売れた本では、「金持ち父さん 貧乏父さん」という翻訳本があります。
この本は、ビジネスや投資で「お金が自動的に入ってくる仕組みの作り方」を分かりやすくストーリーで解説する形式の内容です。
こちらは日本でもそこそこ有名です。
全国にこの本の読者が集まって、著者が作ったボードゲームを一緒にプレイする会が立ち上がっているぐらいです。(僕も何度か参加したことがありますが、毎回負けまくってヘコんで、フェードアウトしました)
でも、世界で「金持ち父さん 貧乏父さん」と同じぐらい売れている「The 5 Love Languages」の日本語版の知名度は、僕に知る限りでは低いと思います。(日本語タイトルは「愛を伝える5つの方法」)
全国にこの本の読者の会があるという話も聞いたことがありません。
でも、これまで日本はアメリカなどの西洋の国と同じ道を10年~20年遅れぐらいでたどっているので、おそらくこの本が注目される時が必ずやって来ると思っています。
今でこそ、日本も学校や会社での「男女平等」の概念が当たり前になって、職場でもセクハラ発言がかなり厳しく取り締まられるようになりました。
また、女性の政治家や経営者の数を増やそうという動きも増えています。
これらは、西洋文化では20年以上前から一般化されているものです。
と考えると、僕が読んでいる「The 5 Love Languages」の本の考え方も、いずれ日本でも広まる日が来るかもしれません。
今の若い世代の人たちは、僕の世代&上の世代に比べると、物質的な豊かさに対する興味が薄いと言われています。
この世代の人たちが結婚する頃には、お互いの心の豊かさを求めて勉強したり、マリッジカウンセリングを受けて結婚生活の質を上げる活動が普通になっていくかもしれません。
日本語版と英語版を読み比べて気付いたこと
僕がこの本の原書と日本語版の両方を読んで気付いたことがあります。
それは、日本語版にはなかった章が、原書には多いことです。
特に僕が感動したのが、最後の「FAQコーナー」でした。
FAQというのは、
Frequently
Asked
Questions
の略で、「よく聞かれる質問」という意味です。
この章は、本の一番最後に収録されています。
これまで読んできた内容を元に、
「え?じゃあ、こういう場合はどうなの?」
「もしこうなったら、どうすればいいの?」
「自分の夫はこんな予想外の反応をしてきたんだけど、私はどうすればいいの?」
といった、実践するにあたって浮かんでくる疑問に、著者のチャップマン博士が片っ端から答えていく、という章です。
これは、この本を2年近く音読し続けてきた僕にとってすごく興味深く、ぜひとも知りたいことが詰まっていました。
日本語翻訳版では、この章はないのですが、おそらく翻訳者や編集者の方は、涙を飲んでカットされたと思われます。
たしかに、このFAQコーナーを日本語訳すると、それだけでかなりのページ数が増えてしまうからです。
でも、僕はこれを読めたことに感動しました!
英語版を買って音読し続けてきた自分へのご褒美のように感じたのです。
どこがそんなに感動したのか?
この詳細を伝えずに洋書が読めるメリットを語ることはできない!と思っているので、次回の記事で、僕が「FAQコーナーが読めて良かった!」と感動した理由をお伝えします。
・・・つづく。
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