From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が子供の頃から夢見ていた「バック転ができるようになりたい!」という願望を叶えた時の体験談のつづきです。
僕はフカフカの分厚いマットに向かって、「後ろ飛び」を繰り返しました。
それにしても、この練習がどうバック転の動きにつながるのか?いまいち想像できません。
今やっていることは、ただ後ろに向かってまっすぐ飛んでマットに沈んでいるだけです。
たしかに、手のフォームは上にまっすぐ伸ばしているので、床に手をつくためのものだということは分かります。
後ろに向かって飛ぶというのも、バック転に必要な動きだということは分かります。
でも今やっていることは、バック転する時のようにクルッと回るわけではなく、ただ後ろにまっすぐ飛んでいるだけなのです。
ベストキッドのダニエル
僕はふと、子供の頃に流行った映画「ベストキッド」のダニエルを思い出しました。
空手の達人のミヤギさんに弟子入りした高校生ダニエル。
最初ミヤギさんは「空手の修行」と称して、ダニエルに家の雑用をやらせ続けます。
・クルマのワックスがけ
・木の廊下のやすりがけ
・庭の囲い板のニス塗り
・家のカベのペンキ塗り
などを1日中やらされる日々を送ります。
ミヤギさんは、ダニエルに早朝に来させて、一度やり方を教えた後は、外へ出かけて夜まで帰ってきません。
ある日、ついに堪忍袋の緒が切れたダニエルは、ミヤギさんに怒りをぶちまけます。
「毎日僕に雑用ばかりさせて!!いつになったら空手を教えてくれるの!!」
すると、ミヤギさんが言います。
「もう、教えとる。もう、君の身体には空手の技が身に付いておる。」
信じられないダニエルに向かって、ミヤギさんは突然、気合いと共にパンチとキックを連続で繰り出します。
すると、ダニエルの身体が勝手に動いて、ミヤギさんのすべての攻撃を振り払ってしまうのです!
これまでやってきた「ワックスがけ」や「ペンキ塗り」などの雑用の動きの中には、実は空手の極意が詰まっていたのです!
ダニエルは驚きます。いつの間にか、自分がすごく強くなっていたことに・・・
というのが、映画ベストキッドの中で最も印象に残るシーンです。
僕は今、まさにダニエルの気分でした。
バック転にどうつながるのか?よく分からない動きを、1人でひたすら練習しているのです。
最初の頃はマットにボフッと飛び込むのが楽しくてワクワクしましたが、何十回も繰り返しているうちに慣れてきて、だんだん飽きてきました。
ダニエル状態
ひとり練習を始めて20分ぐらいたった頃、オーナーが戻ってきました。
オーナー:「後ろに飛ぶ感覚はつかめましたか?」
僕:「はい。だいぶ慣れてきました。」
オーナー:「一度やって見せてください。」
僕:「はい。」
ボフッ!!
オーナー:「OK!もう感覚はつかめたようですね。」
僕:「ありがとうございます!」
(次はどんな練習をするんだろう?)
オーナー:「じゃあ、そろそろバック転してみましょうか。」
僕:「え??」
オーナー:「もう新村さんはバック転できるようになっているはずですよ。」
(ど、どういうことだ??ただ後ろにまっすぐ飛ぶ練習しかしてないのに??)
じゃあ、こっちに移動しましょう。
オーナーは分厚いマットから離れて、普通の薄いマットの上に僕を連れて行きました。
オーナー:「じゃあ、ここに来て立ってください。」
僕:「はい。」
オーナー:「さっきの動きを覚えていますね?まったく同じ動きをここでやってください。」
僕:「え??ここでですか?でも、同じ動きだったら後頭部から落ちてしまうんじゃないですか?」
オーナー:「大丈夫!そうはならないから。」
僕:「え・・・恐いです。」
オーナー:「私が腰を支えているので、床に落ちることはありませんよ。大丈夫。安心して。」
そう言うとオーナーは、僕の腰のあたりのズボンとTシャツの両方をガッチリつかんで支えてくれました。
そうだとしても、この堅いマットの上でさっきの後ろ飛びをするのは、メチャクチャ恐いです!!
オーナー:「怖がって中途半端に飛ぶと、かえってケガしますよ。さっきとまったく同じように、思いきって真後ろに飛んで。」
僕:「は、はい。」
僕は恐怖でドキドキしながらも、さっきの動きを思い出しながら、両手を上にまっすぐ伸ばして、全力で真後ろに飛びました。
すると、次の瞬間!!
目の前の景色がグルッと高速回転しました。
そして突然、床が目の前に現れました!!
伸ばしていた僕の両手に体重がズシッとかかりました。
うっ!重いっ!
と思った瞬間、また手がフワッと楽になり、気付いたらまた足に体重が乗っていました。
僕は一瞬、何が起きたのか分かりませんでした。
でも、今マットの上に両足で立っていることは間違いありません。
ふと横を振り向くと、オーナーが笑顔で言いました。
オーナー:「ほら、できた!」
僕:「え??今、僕はバック転したんですか?」
オーナー:「そうですよ!今、ちゃんと一回転しました。」
僕:「えーーー??信じられない!!」
さっきまでの「分厚いマットに向かって後ろ飛びする練習」は、実はちゃんとバック転の動きにつながっていたのです!!
僕はこの時、初めて「ダニエル状態」をリアルに経験しました。
自分の身体が勝手に動いて、何が起きたか分からないうちにバック転ができてしまったのです!!
・・・つづく。
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