【少年時代の「バック転ができるようになりたい夢」を31才になって叶えた話⑦】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が子供の頃から夢見ていた「バック転ができるようになりたい!」という願望を叶えた時の体験談のつづきです。
 
 
オーナーの手の支えがない状態で、僕は思いきり後ろに飛びました。
 
 
すると、さっきまでと同じ感覚で目の前の景色がグルッと高速で回転しました。
 
 
そして、気付いたら着地していました。
 
 
僕:「おぉ!!できた!!」
 
 
オーナー:「おめでとう!」
 
 
僕:「ありがとうございます!!」
 
 
オーナー:「ここへ来た目的は達成しましたね。」
 
 
僕:「まさか、本当に今日中にバック転ができるようになっちゃうなんて、驚きです!!」
 
 
オーナー:「体操技の中では初歩の初歩ですからね。まあ、ここから連続で何度も後ろに回り続けるのは、けっこう練習がいるんですけどね。進む方向がだんだん横にそれてきちゃったり、途中でリズムが狂ったり。」
 
 
僕:「さっき、小さな子達が練習していた流れですね。」
 
 
オーナー:「そうそう。」
 
 
僕:「いや~でも今日は最高の気分です!子供の頃からずっと夢だったバック転ができるようになったのが嬉しいです!!ありがとうございます!!」
 
 
オーナー:「良かったですね!」
 
 
僕:「ところで、この先はどうしたらいいですか?ここに入学して通って、さっきみたいな練習を続けされてもらうことはできますか?」
 
 
オーナー:「今できるようになったんだから、後は家で練習できますよ。フトンでも敷いて今の動きを忘れないうちに練習すれば、1人でも練習できますよ。」
 
 
僕:「そうなんですか!でも、家に帰ったらまた飛ぶのが恐くなっちゃって、1人でできるか分かりません・・・」
 
 
オーナー:「大丈夫!今できた感覚を忘れずにいれば、大丈夫ですよ!それに、この教室では今みたいな練習だけをするメニューがないから、どっちみち通えないんです。
 
 
やるならガッツリ体操選手になるためのメニューをこなすしかないですよ。ただ、年齢的にこのメニューをこなすには、遅くとも小学生ぐらいにはスタートしないとキツいですね。
 
 
だから、新村さんが入学できるコースはありません。」
 
 
僕:「なるほど!そうでしたか!わかりました。今日は特別メニューで教えていただき、ありがとうございます!では、今日のレッスン料をお支払いしますね。いくらになりますか?」
 
 
オーナー:「いやいや、料金はいただきませんよ。」
 
 
僕:「え??いえいえ、ちゃんとお支払いしますよ。だってすごい価値を受け取ったんですから!」
 
 
オーナー:「今回は、私の趣味みたいなもんです。新村さんの熱い気持ちが伝わってきたんで、久しぶりに自分で教えてみたくなっただけです。いつもは生徒の指導は他のトレーナーに任せていますからね。
 
 
今日の内容はふだんの練習とは違いすぎて、値段はつけられません(笑)」
 
 
僕:「そうなんですか。無料でこんなに丁寧に教えてもらえるなんて・・・ありがたく受け取らせていただきます。本当にありがとうございます!!」
 
 
オーナー:「どういたしまして!がんばってくださいね!」
 
 

名残惜しさ

僕はオーナーと一緒に広い体操教室のすみの通路を回って事務所の方面へ向かって歩いていきました。
 
 
教室内では、さっきまでと同じように幼稚園~中学生ぐらいまでの子供達が、鉄棒でグルグル回ったり、空中を何回転もしたり、超人技を披露していました。
 
 
「あ~、この光景ともお別れか・・・・居心地が良かったなぁ・・・」
 
 
滞在時間はわずか数時間ですが、すごく名残惜しさを感じました。
 
 
この環境にいたら、「バック転なんてできて当たり前」のマインドが身に付くに違いありません。
 
 
でも、確かにこの中に僕が混じったら、明らかに浮いてしまいます。
 
 
事務所を通って帰ろうとすると、オーナーの奥さんがすごいニコニコした笑顔であいさつしてくれました。
 
 
奥さん:「良かったですね!」
 
 
僕:「ありがとうございます!今日1日で夢が叶いました!」
 
 
たぶん奥さんは、僕とオーナーの練習風景を事務所の窓から見ていたのでしょう。
 
 
オーナーは相変わらず険しい表情ですが、本当はめちゃくちゃ太っ腹で良い人だということが分かりました。
 
僕は何度もお礼を言ってから、クルマに乗り込みました。
 
 
・・・つづく。
 
 
 
 

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