【人生初の歌舞伎②】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
先日、生まれて初めての歌舞伎を見に行った体験談の続きです。
 
 
僕にとって歌舞伎のセリフは、「英語初心者の頃に初めて聞いて衝撃を受けたTOEICのリスニング」と似た感覚でした。
 
 
何を言っているのか、なんとなく予想すらできないレベルです。
 
 
1つ目は、明智光秀の物語でしたが、セリフがまったく聞き取れなくて、理解度は10%以下でした。
 
 
おそらく今回の僕のリスニング力は「日本語が話せない外国人観光客」とたいして変わらなかったと思います。
 
 
その点では、「外国人観光客の視点」に近かったと思います。
 
 

外国人視点

セリフが聞き取れない外国人視点で歌舞伎を見ると、やはり面白いのは「衣装」でした。
 
 
歌舞伎の衣装は、とても派手です。
 
 
鎧はピカピカ光る素材でできていて、日本刀や槍などの武器もたくさん出てきます。
 
 
武士の頭はちょんまげです。
 
 
「海外から見た典型的な日本のイメージ」を、完全に再現しているように感じました。
 
 
また、メイクも顔を真っ白や真っ赤に塗った上に、放射線状に線が入っていて、非日常感が漂っています。
 
 
きっと海外の人たちにとっては舞台上の世界は「これぞ日本!」という典型例なのでしょう。
 
 
僕も子供の頃ジャッキー・チェンの映画に影響されて、「これぞ中国!」というイメージが頭の中にありました。それは、
 
 
・ピカピカ光る素材のチャイナ服を着た男女が、毎朝カンフーを練習している姿
 
 
・ご飯はいつも「皮をむいたまんじゅう」
 
 
・ひょうたんに入った酒を小柄なおじいさんが飲んでいる
 
 
みたいな感じです。
 
 
だから、もし僕が中国に観光に行ってこういう世界観を再現しているステージをやっていたら、たとえセリフが聞き取れなくても見に行きたいです。
 
 
きっと、外国人観光客にとっての歌舞伎も同じような感覚なのかもしれません。
 
 

東洋の神秘性

あともう一つ、西洋の人たちには「東洋の神秘性に対する憧れ」というのがあると思います。
 
 
何でも効率よく、スピーディーにこなすことが良しとされる傾向がある西洋文化では、歌舞伎のようなスローな動きやしゃべり方に対して、神秘性を感じやすいのではないか?と思います。
 
 
また、日常的に銃がある社会で生きている国の人たちにとっては、「日本刀を使ったちゃんばら」を見ると、それもまた神秘的に見えるのではないでしょうか。
 
 

日本人視点

次に、僕自身が日本人として感じたことをお伝えします。
 
 
僕は、自分が日本人にも関わらず、セリフがまったく聞き取れなかったことに衝撃を受けました。
 
 
「江戸時代の人たちは、このセリフを耳だけで聞き取って、笑ったり泣いたりしていたってことか?なんてこった!!」
 
 
日本語という言語も、時代と共に発音やボキャブラリーが大きく変化しているということがよく分かりました。
 
 
もちろん、当時の日本人が歌舞伎のセリフようなしゃべり方をしていたわけではないと思います。
 
 
歌舞伎のセリフはイントネーションを誇張しているとは思いますが、それでも当時の人たちが「歌舞伎のセリフを聞き取れた」ということは、ある程度「日常会話で使われている表現だった」ということの証明だと思うのです。
 
 
ということは、時代劇などのセリフはかなり現代風にアレンジされて発音されていることになります。
 
 
僕が好きな映画のジャンルのひとつは、
 
 
「現代の日本人が、江戸時代や戦国時代にタイムスリップして活躍する」
 
 
ストーリーです。
 
 
自分も江戸時代や戦国時代にタイムスリップして、当時の人たちと話してみたいなぁ~
 
 
と想いを巡らせたことが何度もあります。
 
 
でも、歌舞伎を見た今は、「もしタイムスリップしたら、この時代の人たちとはぜんぜんコミュニケーションを取れないんじゃないか?」と思います。
 
 
おそらく僕は外国人扱いされて捕まってしまうかもしれません。
 
 
そんなことを考えながら歌舞伎の舞台を見ていました。
 
 

背景知識が理解度を助ける

僕にとって歌舞伎のセリフは、「英語初心者の頃に初めて聞いて衝撃を受けたTOEICのリスニング」と似た感覚でした。
 
 
1話目の明智光秀のストーリーでは、最初から最後まで話の流れがまったくつかめない状況でした。
 
 
動きがないシーンでは、途中で何度も眠くなってしまいました。
 
 
でも、2話目の忠臣蔵のストーリーでは、1話目に比べると、ところどころセリフが聞き取れました。
 
 
それには理由があります。
 
 
事前にストーリーのざっくりした解説を読んでいたのです。
 
 
こんな感じで、歌舞伎初心者にも分かりやすい解説ページを読んでいました。
 
↓↓↓
 
 
つまり、僕の頭の中には「背景知識」がありました。
 
 
ストーリーの大まかな流れが分かった上でリスニングをしたら、セリフが聞き取れるようになったのです!
 
 
これは英語でも同じです。
 
 
まったく知らないストーリーをいきなり英語で聞いた場合は、TOEIC900点以上の上級者でも理解度は下がります。
 
 
対して、ストーリーをよく知っている人は、英語初心者でもリスニング理解度は高いです。
 
 
背景知識は英語のリスニング力に大きな影響を与えます。
 
 
今回の歌舞伎の舞台を見ながら、改めて言語のリスニング能力について深く考えさせられました。
 
 
そして何より、これでひとつ、外国人との会話のネタが増えました。
 
 
初対面の外国人からたまに聞かれる、
 
 
Have you seen a Kabuki show? 
 
(歌舞伎の舞台見たことありますか?)
 
 
の質問に「Yes!!」と答えられるようになりました。
 
その後の感想を言い合えるようになったのです。
 
今回の歌舞伎から得られたものは大きかったです。
 
今後も、能や狂言などにもトライしていこうかな・・・と思った1日でした。
 
 
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