From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事では、街ですれ違う外国人の会話が聞き取れない理由のひとつ、「内輪ネタ&スラング」を詳しく検証しました。
今回は、②いいかげん発音を見ていきましょう。
②いいかげん発音
話している相手がネイティブ同士の場合、いいかげんな発音になっていることが多いです。
相手との関係が親密になればなるほど、話し方はぞんざいになっていきます。(特に男性同士はこの傾向が強いです)
僕ら日本人も、家族や親しい友人に話しかける時のしゃべり方やスピードの速さと、初めて会う人と話す時のしゃべり方やスピードの速さは違うはずです。
たとえば、街で迷ったときに、道を聞こうとして、知らない人に話しかけるときには、いつもよりゆっくり&ハッキリ発音するはずです。
また、ザワザワした場所であれば、できるだけ大きめの声で話して、相手に聞こえるようにすると思います。
でも、こういった配慮は、関係性が近くなればなるほど、減っていきます。
いつも話している相手は、お互いの発音のクセや話し方を知っているので、すべてをハッキリ発音しなくても、ちゃんと聞き取ってもらえます。
ネイティブ or ノンネイティブ
さらに、「ネイティブ同士での会話なのか?」「ネイティブ&ノンネイティブでの会話なのか?」によっても、発音やスピードは変わってきます。
もしあなたが、街で外国人にカタコトの日本語で話しかけられたら、答える時にどう話すでしょうか?
おそらく、日本人同士で話す時よりも、ゆっくり&ハッキリ話すのではないでしょうか?
僕はたまに、「Meetup」というスマホアプリを使って、「言語交換イベント」に参加します。
「英語を話す練習をしたい日本人」と、「日本語を話す練習をしたい外国人」が集まって、ひたすら会話していくイベントです。
「今から20分、日本語タイム!」
「今から20分、英語タイム!」
という感じで、切り替わります。
この時のみんなの話し方を見ていると分かるのですが、日本語タイムになると、日本人はみんな外国人に対して「ゆっくり&ハッキリ発音」になります。
これはもう、無意識レベルだと思うのですが、みんな面白いほどにゆっくり分かりやすく話しています。
相手によって話し方やスピードが変わるのは、ある意味当たり前なのかもしれません。
英会話スクールは役に立たない?!
よく、英会話スクールに通っている方から、
「英会話スクールの先生とマンツーマンでは聞き取れるのに、外ではぜんぜん聞き取れない」
という声を聞きます。
実はこれ、まったく同じことを「外国人の日本語学習者」も感じているようです。
僕の周りには、「日本語を学んでいる外国人」がいますが、彼らが口をそろえて言うのは、
「1対1なら聞き取れるけど、日本人同士の会話に混じると、とたんについていけなくなる・・・」
ということです。
人間は、1対1で話すときには、無意識レベルで相手に合わせて話しています。
英会話スクールのネイティブの先生も、生徒を相手にする時に「わざとゆっくり話している」というよりも、「無意識レベルでゆっくり&ハッキリ話している」ようです。
僕らが外国人を相手に話すときに、無意識にゆっくり&ハッキリ話してしまうのと同じですね。
僕は前職の英会話スクールの講師をしていたときに、同僚のネイティブ講師たちを見ていて気付きました。
生徒さん相手に話す時と、僕ら講師仲間に話す時では、明らかにスピードとクリアさが違うのです。
彼らはロビーや教室内ではゆっくり話しているのですが、バックルームに入ってくると、明らかにスピードが速くなり、発音もぞんざいになります。
しかも、そのことに本人たちも気付いていないようなのです。
この発音の違いが、僕らが「街ですれ違う外国人の会話が聞き取れない理由」だと思います。
聞き取れなくても、気にすることはありません。
街の会話が聞き取れなかったとしても、1対1ではちゃんと聞き取れます。
いずれ「ぞんざいな発音」を聞き取れるようになるのが目標だったとしても、その前の段階として、「まずはクリアな発音をしっかり聞き取って意味が取れるようになる」というステップを必ず踏む必要があります。
英会話スクールでのトレーニングが実戦に役立たないわけではないので、安心してください。
次回の記事では、最後の③を解説します。
・・・つづく。
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