From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕がジーンズショップで働いていた頃、初めて英語学習に挫折した時のエピソードの続きです。
僕は店長として他の店に異動になって以来、忙しい毎日の中で英語のことなどすっかり忘れ去っていました。
英語を忘れたまま仕事に追われているうちに、あっという間に2年間が過ぎました。
英語から離れて2年半ぐらいたっていました。もう、自分が英語を勉強していた時期があったこと自体を忘れてしまうほど、遠い記憶になっていました。
当時、数か月間で丸暗記して頭に詰め込んだ「接客英会話フレーズ」は、当然、忘れ去っていました。
自分がかつて米軍兵士たちを相手に英語で接客したことが、夢だったのではないか?と感じるぐらい、記憶が薄れて現実味がなくなっていました。
英語を使う機会ゼロ
僕が店長として赴任したお店は、以前のお店のように米軍基地のそばにあるわけでもなく、駅からも遠く離れていました。
お客さんがクルマで来ることを想定して作られた店なので、交通量の多い大きな道路沿いにありました。
一応、エリアとしては富士山の近くだったので、夏になると登山する外国人観光客が増える地域ではあります。
でも、外国人観光客の移動手段は基本的には電車かバスです。
なので、僕のお店に外国人観光客が来ることは、2年間で一度もありませんでした。
日常で使う機会がなければ、必要性も感じません。
この時の僕の生活の中で「英語」に触れる時間があったとすれば、それは「店内BGM」だけでした。
一応、ジーンズショップで「アメリカンカジュアル服」をウリにしていたので、店内BGMは英語の歌にするという社内ルールがありました。
なので、毎日開店から閉店までの11時間、ずっと英語の歌が僕の耳に入ってきていました。
「聞き流し」は効果ある??
よく、「英語を聞き流しているだけで、ある日突然、しゃべれるようになる!」というコンセプトの英語教材の広告を見かけます。
もし、この理論が本当なら、ジーンズショップで働いているスタッフや店長はみんな自然に英語がしゃべれるようになるはずです。
でも、僕を含めてエリア内の店長仲間と各店スタッフトータル100人以上の中で、英語を話せる人はゼロでした。
当時の僕は、「1日11時間×週5日間=週55時間」英語の歌を聞き流していました。
当然、「歌詞を聞き取ろう!」と思いながら聞いていたわけではありません。特に意識せずに、「聞き流し」ていただけです。
それを2年間続けたら、5,720時間です。
英語の歌を聞き流しても、聞き取れない?!
僕は当時、2年間で5,720時間も英語を聞き続けた計算になります。
これはものすごい時間の長さです!
でも、「ある日突然、英語が口から出てくる」ようにはなりませんでした。
しゃべれるどころか、聞き取れるようにもなりませんでした。
大げさではなく、ひと言も歌詞を聞き取れませんでした。
英語の聞き流し教材を1日11時間も聞く人はいないと思います。せいぜい、通勤途中や家で家事をしながら聞くぐらいでしょう。
1日2~3時間聞き流せれば良い方だと思います。
僕が1日11時間×2年間、英語を聞き流してもムリだったのに、1日2~3時間×数か月間で急に英語が聞き取れるようになったり、しゃべれるようになるというのは、とても信じられない理屈です。
もちろん、聞き流し教材は、
「英語と日本語が交互に流れる」
とか、
「学習効果を高めるため、脳にα波を出させるBGMが収録されている」
とか、素人目には魅力的に見える工夫がされています。
でも、僕も当時は自分が毎日聞いている英語の歌の歌詞が「何を言っているのか?」ぐらいは知りたいと思ったので、すごく流行っている歌の歌詞の日本語訳はネットで調べました。
英語の歌詞を見ても全然意味が取れなかったので、日本語訳の歌詞だけを見ました。
でも、日本語訳を調べてから英語の歌を聞いても、ちっとも何を言っているのか分かりませんでした。
おそらく、英語を聞き流しているだけでは、脳は英語を単なる「BGM」として処理してしまうため、記憶に残らないようにできているんだと思います。
そんな状態だったので、僕の英語力は2年間でまったく変化がないどころか、むしろ落ちている状態でした。
この時は、また自分の中に英語に対する情熱がよみがえる日が来るとは、全く想像できませんでした。
・・・つづく。
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