from 師範代Shinya
今年も、セミのシーズンがやって来ました。
日本人は、セミに対して情緒を感じ、夏の風物詩としてアニメにも描かれることが多いです。
これは、世界的には珍しいようです。
僕がこれまで話したアメリカ人、カナダ人、オーストラリア人、イギリス人、南アフリカ人など、英語圏の人たちに聞いても、セミを日本のように風物詩として捉える文化はないそうです。
セミの音色のことを、英語では「noise(雑音・騒音)」と表現されます。風情も何もないですね。
だから、よく日本のアニメの中で、夏のシーンにセミの鳴き声が合成され、セミが鳴いているイラストまで描かれることがあるのが驚きだ!というコメントを聞くことが多いです。
だから僕はよく英会話のネタとして、「日本では昆虫とりの文化があって、夏休みに親子で山や林に行って、セミやカブトムシをつかまえるんだよ。」と教えてあげます。
すると、9割以上の人が「え~!そうなの?!何のために?」というリアクションが返ってきます。
日本ではメジャーな夏休み活動としての虫とりは、かなり独特な文化のようです。(アジア系の国の人たちには、まだ聞き込み調査していませんが)
セミの幼虫狩り
僕も少年時代から、夏休みには虫とりしまくっていました。
中でも、セミ取りが一番好きでした。
クラスの他の男子たちは、王道のカブトムシ&クワガタにばかり興味があるようでしたが、僕はセミ派でした。
僕がセミ派だった理由は、いくつかあります。
①カブトムシ&クワガタと違って、朝早起きして捕まえに行く必要がない。(友達の親子は朝3時~4時頃に起きて、懐中電灯片手に林に行っていました)
②セミは鳴き声を発するので、どこにいるか分かりやすい。子どもでもカンタンに見付けられる。
③セミは種類が豊富なので、ワンパターンになりづらい。虫かごの中に色んな種類のセミが入っていくのを眺めるのも楽しい。
④セミは種類によって捕まえる時の難易度が変わる。たとえば、
・アブラゼミは目立つ上に反応が鈍くて捕まえやすいので、初心者向け。
・ニイニイゼミは身体が小さくて、見た目も木に溶け込むので見付けづらく、中級者向け。
・ツクツクボウシはすばしっこくて反応が早いので、上級者向け。
・さらにヒグラシは夕方にならないと鳴かない上に、高い木に止まることが多く、見付けてもすぐ逃げられるので、超上級者向け。
というように、自分のレベルに応じて種類を選べるのが楽しい。
ヒグラシやツクツクボウシなどの難易度の高い種類のセミをつかまえた時には、何とも言えない達成感がある。
⑤セミは素手で触っても安全。噛みついたいり、刺したりといった攻撃的なパーツが身体に付いていないので、安心して捕まえられる。
以上5点が、僕がセミを気に入っていた理由です。
さらに魅力的なオマケ要素
さらに、セミには魅力的なオマケ要素があります。
それは、「幼虫から成虫になる瞬間を、リアルタイムでじっくり観察できる」ということです。
これが、他の虫ではなかなかできません。
カブトムシやクワガタの場合、幼虫からサナギになり、サナギから羽化するまでが、すべて土(おがくず)の中で行われます。
土から出てきた時には、もう成虫になっているのです。
正直、とても観察しづらいです。
サナギの様子を観察するための「人口蛹室」という部屋を作る方法もありますが、子どもにはけっこうハードルが高いです。
また、サナギの期間も長くて、いつ殻を破って出てくるかが予測できません。
一方、セミの場合は分かりやすいです。
時間どおりに動くセミの幼虫
セミの幼虫は夜7時~9時ぐらいの間に、土の中から地上に出てきます。
そして、ゆっくり歩きながら地面をつたって、木や草に登っていきます。
9時~11時ぐらいの間にポジションを定めて、羽化が始まります。
その後はすぐに殻を破って、2時間ぐらいかけて成虫の形になります。
それから一晩かけて身体が乾いて、ゆっくり堅くなっていき、変色して保護色になります。
そして翌日の朝10時ぐらいには、元気よく飛び立っていくのです。
このように、セミは行動の時間帯がバッチリ決まっているので、とても観察がしやすいのです。
どうやって時間を守っているのか不思議なくらい、時間通りに動きます。
おそらく体内時計のようなものが備わっているのでしょう。
「何時間も粘って観察したけど、結局今日は、羽化しなかった・・・」
ということがありません。
もし羽化しなかった場合、それは失敗なので、悲しいのですが死んでしまいます。
ということで、セミは子どもにとって、「夏休みの研究課題」としても最適なのです。
さらに、セミの羽化は驚くほど美しく、「これを見ないうちに人生を終えるのはもったいない!」と感じるほどです。
ちなみに、「羽化」を英語で何というか辞書で調べると、色々な英単語が出てきますが、どうやら専門的な用語のようで、英会話で使ってもあまり通じないことが多いです。
次回の記事で、「100%通じる羽化の言い方」もお伝えします。
・・・つづく。
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