僕は、内心ブルブル震えつつも、冷静に装いながら、2つの戦略を試してみることにしました。
なんとか対話で解決する方向に持っていくことにしたのです。
僕:「まず、何があったのか?教えてもらえる?」
ヤンキー高校生のリーダー(以下リーダー):「こいつらが、俺たちにガンつけてきたんだよ!」
僕:「それは、ゲーセンの前で?」
リーダー:「そうだよ!店の中から何度もガンつけてきやがった!」
僕:「先に見てきたのは、どっち?」
リーダー:「こいつらからだよ!」
僕:「そうか。なるほど。それで、ナメられてると思ったわけね。」
リーダー:「そう。」
僕:「それは申し訳ない!」
リーダー:「・・・」
続けて、僕は大きめの声で言いました。
僕:「謝るよ。不快な思いをさせてゴメン!」
すると、リーダーの表情が少し和らぎました。
リーダー:「・・・あんたはガンつけてないから、関係ないだろ。ケンカ売ってきたのはこいつらだから。」
僕:「でも、一応この中では俺が一番年長者だからさ。どうして欲しい?」
リーダー:「こいつらをぶっ飛ばさないと気が済まねー!」
僕:「分かった。そりゃケンカ売られたら怒るよね。気持ちはよく分かった。でも、ここで乱闘騒ぎになったら、きっと俺たち全員警察に捕まることになるよ?それはさすがに面倒じゃない?」
リーダー:「・・・」
僕:「ほら、俺たち他のお客さんから注目されてるよ。あそこにいる店員さんは電話に手をかけてるから、もうすぐ警備員を呼ばれるかもしれない。」
リーダー:「・・・」
僕:「何とか話し合いで解決できないだろうか?俺たち全員が謝ったら、許してもらえないだろうか?」
リーダー:「まぁ・・・じゃあ、この2人が謝るなら。」
僕:「ありがとう。じゃあ、ウッチー、Y君。」
ウッチー:「ゴ・・・ゴメン・・・」
Y君:「すいませんでした!」
それを聞いたリーダーは、周りのメンバーに目配せして、解散の合図を出しました。
すると、それまで僕らを取り囲んでいたヤンキー高校生たちが、スーッと全員離れていきました。
無事に帰れる喜び
彼らが店から出ると、僕ら3人は、どっと緊張感が抜けて、疲れが吹きだしてきました。
僕:「あ~危ないところだったぁ~!もーウッチー、Y君、頼むよ~カンベンしてよ~!!」
ウッチー:「すんません!でも、新村さん、さすがっすね!うまく話をまとめましたね!俺、絶対乱闘になるかと思ってましたもん。」
Y君:「いや、俺は乱闘イヤッすよ!走って逃げる準備してました。」
僕:「俺も交渉がうまくいかなかったら、ダッシュで逃げるつもりだったよ。」
ウッチー:「え~そんなぁ~!」
僕:「もちろん、ウッチーの手を引っ張りながらね!見捨たりしないよ。」
ウッチー:「2人とも空手やってたのに、なんで逃げるんすか!」
僕:「いや、空手やってたからこそ、逃げるんだよ。空手の教えは、相手と戦わない道を探すことだからね。戦うのは最終手段で、その前に逃げ道を探すように教わるさ。」
Y君:「そうそう!」
ウッチー:「え?そうなんですか?」
僕:「それに、空手の試合を経験するとわかるけど、自分の突きとか蹴りが相手に当たると、自分もダメージを受けるんだよ。手の皮がズルむけたり、拳の骨を骨折したり、手首をねんざしたり。」
ウッチー:「いや~痛そう!」
僕:「現実の肉弾戦は、格闘ゲームのようにはいかないからね。たとえ勝負に勝っても、自分も無傷では済まないさ。だから、護身の極意は、戦わずに済む道を探すことなんだよね。
こっちが逃げれば相手もメンツが保てるから、報復される確率が減って、一石二鳥!」
ウッチー:「そっかぁ~深いっすね!」
僕:「でも、ウッチーのその怖いもの知らずのチャレンジ魂は、きっと学校を卒業して仕事をする時には役立つと思うよ。初めての就職とか、転職とか、めちゃくちゃ勇気がいるからね。」
そんなやりとりが終わった後、僕らはすぐにショッピングセンターを出て、僕の家でダンスの練習をして、ストレスを解消しました。
とりあえず、3人とも五体満足で無事に帰れたことを祝いました。
言葉の持つパワー
僕はこの一件で、言葉の持つパワーを感じました。
もし、不良リーダーと対話ができなかったら、きっと乱闘することでしか、お互いの気持ちを晴らすことはできなかったでしょう。
対話することで、お互いの落としどころを見付けることができました。
また、いきなり謝るのではなく、相手が何に対して怒っているのか?まずは確認作業をしたのも、怒りを静めるのに効果があったと思います。
自分の気持ちを理解してもらえないまま、いきなり謝られても、許す気にはなれないからです。
気持ちをしっかり理解し合うためには、言葉のやりとりが絶対に必要です。
「言葉が通じるって何てすばらしいことなんだ!」
と僕は思いました。
もし、相手がスラム街の黒人不良リーダーだったら・・・きっと僕が言えた言葉は、
「I’m sorry!」
だけを連発することだったでしょう。
でも、おそらくそれでは相手の怒りは収まらなかったと思います。
また、謝る場合も相手の文化への理解が欠かせません。
僕の場合は、自分の高校時代にヤンキー文化を目の前で見てきたので、彼らの使う言葉や、大事にしている部分が直感的に分かりました。
その学びを、交渉の言葉の中で使うことで、うまく収めることができました。
今思い返すと、僕はこの時に「言葉の持つパワー」を身をもって実感することで、数年後に英語学習に興味が出る種まきになったのかもしれません。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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