【中南米のダンス・サルサの世界③:ダンス編138】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
 
※僕が20代の頃、初めてサルサダンスを経験した時の体験談の続きです。ダンス編は毎週日曜日に更新中。

 

「さあ、それでは、いよいよ音楽に合わせて動いてみましょう!」

と先生が言いました。

体験レッスンの最初は、ずっと先生が口でリズムを取りながら動いていましたが、ついに音楽に合わせることになりました。

3人ぐらいペアをスイッチして基礎練習をした後なので、ある程度の動きは身体に馴染み始めている気がします。

DJの人が、先生の合図を受けて音楽をプレイしました。

すると、バーの店内に、独特の音楽が流れ始めました。

初めて聞くタイプの音楽でした。

僕が慣れ親しんだHIPHOPなどのストリートダンスとは、全く違う種類の音楽です。

ストリートダンスで使う曲は、初心者でもリズムが取りやすい、タテ乗りのリズムの音楽です。

タン!タン!タン!タン!と、分かりやすい音が入っていることが多いので、そこに注目していれば、どこで動けばいいのか分かります。

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8

というように、8カウントで1区切りになっているのですが、心の中でリズムを取りやすいのです。

僕はこれまで、ストリートダンスの音楽のリズムの取り方で迷ったことが一度もありませんでした。

でも・・・サルサ音楽では、まったくリズムが分かりません!

流れるような音楽

サルサは、流れるような音楽で、ハッキリした楽器の音、たとえば、

ポン!ポン!ポン!

とか、

タン!タン!タン!

みたいな音が聞こえないのです。

代わりに、マラカスのようなシャカシャカした音が、背景で鳴っています。

でも、そのマラカス音もなんだか不規則に鳴っているような気がして、まったくリズムが見えてこないのです。

ただ、先生の耳にはリズムが聞こえているようで、音楽に合わせて、口でリズムを取っていました。

先生のリズムの取り方は、さっきのアカペラでやっていた時よりよりだいぶ早いです。

どうやらサルサというのは、スピードの速いダンスのようです。

僕は自分の耳にはまったくリズムが聞こえないまま、とりあえず先生の口のリズムに合わせて通りに動きました。

でも、音楽に乗っている感はゼロです。

しかも、先生のリズムの取り方を聞いていて気付いたのですが、どうやらサルサはHIPHOPダンスのように8カウントで1区切りというわけでもなさそうです。

僕は頭が混乱していきました。

HIPHOPダンスの経験が有利に働くと思っていましたが、どうやらサルサではまったく役に立たないようです。

むしろ、先入観がある分、不利に働いているかもしれません。

音楽が流れ初めてしばらくすると、歌詞が聞こえてきました。

その歌詞も、これまで聞いたことがない独特の発音でした。

全然聞き取れません。

最初は、自分の英語力が低いから聞き取れないんだと思っていました。

実際、何度も聞いているHIPHOP音楽も、黒人の早口のラップは何を言っているのかまったく分かりません。

でも、しばらく聞いているうちに気付きました。

(ん?これは英語ではない気がする・・・なんだ?どこの国の言語だ?)

と。

スペイン語の歌詞

これは後から知ったのですが、どうやらサルサ音楽の歌詞はスペイン語で歌われているそうです。

というのも、サルサの発祥はキューバなどの南米地域で、そこではスペイン語が公用語だからです。

僕はこれまでの人生でスペイン語を聞いたことがありませんでした。

大人になってから初めて聞く言語というのは、すごく不思議に聞こえます。

英語は聞き取れなくても、音としては馴染みがあります。

日本では、英語の洋楽が街のお店のBGMで流れているし、中学&高校でリスニングの授業もあるからです。

さらに僕の場合、小学生時代からジャッキー・チェンにハマッていたせいで、中国語を聞く機会はたくさんありました。

ジャッキーの歌を集めたCDも持っていたので、耳コピーで「プロジェクトA」の主題歌を歌ったりしていました。

また、ジャッキーのCDには、同じ歌を広東語バージョンと北京語バージョンの2種類で収録したものもありました。

もちろん、歌詞はまったく聞き取れませんが、広東語と北京語の音の違いは耳に馴染みがあります。

対して、スペイン語はまったく初めて聞く音です。

これはサルサ音楽の歌詞だからかもしれませんが、

毎回の語尾に、

「モゲ~ラ~」

「アゲ~ラ~」

みたいな、独特の発音が聞こえてきます。(たぶん正確な音は違うと思いますが)

・独特の曲調

・独特のリズム(僕の耳には不規則に聞こえる)

・独特の歌詞の発音(スペイン語)

この3つに圧倒されて、僕は、ダンスにも、目の前の女性にも、まったく集中できなくなりました。

サルサ、おそるべし!

 

・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む

 

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