From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が24才の時にHIPHOPダンススクールに通い始めた頃の体験談の続きです。
クラスメイトのY君とI君と仲良くなった僕は、毎週のレッスンがさらに楽しく感じられるようになりました。
僕らはレッスン中、後ろの方で男3人で固まって踊っていました。
ダンススクールあるあるだと思いますが、最前列には「一番上手な生徒」「一番長く通っている生徒」が踊っていました。
中でも、金髪でショートカットの高校生が、群を抜いてキレのある動きをしていました。
「ぬぉ~!レベルが高い!!」
と僕は思いました。
僕が以前受けたことのあるHIPHOPダンスクラスは、東京の演技スクールの実技クラスの中だけでした。
演技スクールの生徒たちは、別にダンスがやりたくてスクールに入ったわけではありません。
ただ「リズム感を養っておく」ぐらいの目的でやらされている、とうのが正直なところです。
みんなレッスン中は楽しく受けているのですが、かといって家で練習してきて、先週習った振りを完璧に仕上げてくるような人はいませんでした。
でも、ダンススクールは違います。ダンススクールはダンス以外のことは教えません。そのため、
「ダンスをやりたい!」という強い意志を持った人達が、自分の意思で入ってくるのです。
もちろん、小さな子供は自分の意思とは関係なく、親が「うちの子に習わせたい」ということで通わされている、というケースも一定数はあると思います。
ただ、僕の入った「大人クラス」は、中高生ばかりとはいえ、親に強制的にやらされている感じの子は1人もいませんでした。
むしろ「親を説得して入学した」という子がほとんどでした。(後から実際にみんなに聞いて判明しました)
ダークなイメージのHIPHOP
今でこそHIPHOPダンスはEXILEなどの活躍で、市民権を得ています。
NHKのテレビ番組でEXILEのウサさんが明るく爽やかにキッズにダンスを教えることで、HIPHOPのダークなイメージは一変しました。
でも僕がこのダンススクールに入った当時は、HIPHOPダンスはまだマイナーでアンダーグラウンドな雰囲気が漂う若者文化でした。
以前も記事で書いた通り、HIPHOPダンスの元祖であるブレイキン(ブレイクダンス)はスラム街の不良文化から生まれたものだからです。
でもそのダークな部分が、10代~20代の若者の「ワル=カッコいい」と感じる心をとらえていたんだと思います。
好きでやっている人達のエネルギー
当時のダンスクラスメイトたちからは「好きでやっている人達が集まる時の独特のエネルギー」が出ていました。
みんな先生に必死でついていこうとして、ガンバっていました。
うまくできないと、くやしがりました。
たいていはレッスン時間内ではうまくできるようにならないので、みんな家で復習してきます。
そして来週のレッスン時には、みんなそこそこ踊れるようになっている、という状態でした。
演技のスクールと違う光景
これは僕が演技スクールに通っていた時には見られなかった光景でした。
ダンスだけではなく、演技のクラスでも、復習をしてくる人はほとんどいませんでした。
なぜか?を今振り返ると、その理由は「みんな演技がやりたくてタレントスクールに通っていたわけではない」というのが本音だからだと思います。
演技スクールに通う人達がやりたかったのは演技そのものではなく、
・有名人になって、ファンからキャーキャー言われる生活。
・大好きなあの女優とドラマで共演して、そのまま恋に落ちて結婚しちゃう、イケてる人生。
みたいな感じです。
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テレビで人気者になるためには、ドラマでカッコいい役を演じる必要がある。
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カッコいい役を演じるためには、演技を習わなければならない。
という図式になってたと思います。
その結果、演技を習うことは「やらねばならぬこと」「本当はやりたくないけど、やらないと夢が手に入らないこと」になっていました。
この心境だと、レッスン中はプレッシャーがあるのでしっかりやりますが、家に帰って強制力が働かない状況では、演技の練習をしようという気力は湧いてきません。
一方で、ダンススクールに通ってくる生徒たちは「ダンスがやりたくて仕方ない」という人がほとんどでした。
この気持ちの違いが、レベルの違いを生んでいたんだと思います。
・・・つづく。
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