【中南米のダンス・サルサの世界⑬ダンス編148】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
 
※僕が20代の頃、初めてサルサダンスを経験した時の体験談の続きです。ダンス編は毎週日曜日に更新中。

 

3つ目のスクールの体験レッスンを受けて気に入った僕は、さっそくその日のうちに入学して、次の週から通い始めることにしました。

また楽しみが1つ増えました。

レッスンは週1回だったので、ムリなく通うことができます。

すでに英会話スクールにも通っていましたが、英会話レッスンとサルサレッスンが同じ日にあるので、僕にとってはとても通いやすい状況でした。

平日の昼間に英会話レッスンを受けて、夜にサルサレッスンを受ける流れです。

これは僕にとって、2つの異文化体験でした。

英会話スクールでは、カナダ人やアメリカ人などの英語圏の国の先生がいます。

サルサレッスンでは日本人しかいませんが、スペイン語の音楽や踊りを通じて、南米の文化を体感することができました。

英語とは違う発音と独特のリズムが、異国情緒を感じさせます。

レッスンで流れる音楽の歌詞は何を言っているのかまったく分かりませんが、声のトーンや歌い方から、「男と女の情熱的な恋」みたいなテーマで歌っているのでは?という気がします。

今サルサの曲を聴いたら、おそらく僕はスペイン語で何と言っているのかまでを調べると思います。

でも当時の僕は、英語を学ぶだけでいっぱいいっぱいだったので、さすがにスペイン語の歌詞まで勉強しようという気にはなりませんでした。

ただ、英語とは違う音を聞いて楽しんでいました。

HIPHOPのスキルがまったく使えない

サルサレッスンに本格的に通い始めて改めて気付いたのですが、長年HIPHOPダンスで培った動きが、サルサではまったく役に立ちません。

さすがにゼロとは言いませんが、自分が意識できるレベルではまったく応用できませんでした。

これは外国人バーで初めて体験レッスンを受けた時にも感じたのですが、
①リズムの取り方の違い

②足の運び方の違い

③上半身の使い方の違い

この3つが違うせいで、両者にまったく共通点がないのです。

中でも僕が一番苦手だったのが、リズムでした。

リズムが取れないと、ペアを組んだ女性と息を合わせることができません。

どんなに意識して音を聞いても、どこにリズムがあるのか分かりませんでした。

もちろん、最初は曲に合わせて先生がカウントを口で言ってくれるのですが、先生のガイドが消えた瞬間に、リズムが分からなくなるのです。

HIPHOPの曲は、ドン!ドン!ドン!と分かりやすい打楽器の音でタテ乗りのリズムですが、サルサの曲は後ろでマラカスがシャカシャカ鳴っているだけで、ヨコ乗りでヌルッと流れるように進んでいく気がするのです。

ダンスの醍醐味の1つは「リズムに乗る気持ちよさ」だと思います。

それができないのは、けっこう苦しいです。

「他の人たちはリズムを取れているんだろうか?」

僕は不思議でなりませんでした。

そこで、何人かの男女のクラスメイトに「リズムに乗れているか?」「リズムは具体的にどこにあるのか?」を聞いて回ってみました。

その結果、

サルサ歴半年以内の初心者男性は、

「そもそも自分がリズムに乗れているかすら、分からないよ。だって他のダンスやったことないしね(笑)」

という回答でした。

そしてサルサ歴の長いベテラン女性は、

女性:「え?リズムはこれじゃん。ほら、タン・タン・タン・・・聞こえない?」

僕:「う~ん、聞こえないです・・・リズムを取っているメインは何の楽器の音ですか?マラカス?」

女性:「マラカスじゃないと思うよ。楽器って言われても分からないなぁ~何だろう?でも、この音聞こえない?」

僕:「き、聞こえないッス・・・」

女性:「う~ん、まあ、適当に動いてればいいよ。そのうち分かると思うよ。」

と言われました。

初心者=そもそもリズムに乗れているかよく分からない

ベテラン=リズムが身体にしみついているので、口で説明できない

という感じでした。

ちなみに先生に聞いてみたら、

「細かいこと気にしないで、バーン!と踊れば良いのよ!サルサは楽しんでナンボよ!」

という答えが返ってきました。

ある意味、先生の答えが、南米文化の象徴なのかも知れません。

「なるほど、リズムを気にしないのもサルサ文化なのか!」

と僕は思うことにしました。

最初はペアを組む女性とリズムが合わないことも気にせず、自分のペースで踊ればいいのね!と解釈しました。

日本とはだいぶ違う文化です。

 

・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む

 

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